日本の人口減少問題から見る危機迫る教会(教団)教勢 -後藤献児朗-

後藤献児朗
日本キリスト者オピニオンサイト-SALTY 
代表
有限会社サーブ介護センター 代表取締役

 立場上、多くの方と仕事をすることがあります。その中には「お寺のご住職」もおられます。檀家が激減し生計を立てることが困難となり、やむなく介護の資格を取得し、介護の業界で働かざるを得ないのです。そのような方を数名知っていますが、彼らはいつの間にか「本業が介護職」となり「住職が副業」となってしまっているのです。本堂を改修してくても資金がなく手付かずのままだと聞きます。

キリスト教界の現在と今後はどうなっていくのでしょうか? 27年後(2045年)の教会(教団)の教勢について考えてみます。

日本の人口は27年後2000万人(約15%)減少すると言われています。

下記の「人口ピラミッド」は、1980年と2017年のものです。

 日本の多くの教会は、現在少子高齢化が進んでおり、一般的な年齢分布図に比べ高齢者の数が多いのではないでしょうか?つまり教会の減少率は一般の減少率よりも高いと言えます。

 間もなく「第1次ベビーブーム世代」の方々が、後期高齢者ゾーンに突入致します。年間死亡者数も激増することになりますが、「第2次ベビーブーム世代」を軸として、何とかこの危機を脱しますが、軸となっていた「第2次ベビーブーム世代」がこの世を去る頃には、日本の社会そのものが大きな危機を迎えることになるでしょう。この人口減少に伴い、教会(教団)の教勢にも大きな影響が出始めます。

作表:後藤献児朗
参考資料:東京基督教大学国際宣教センター 日本宣教リサーチの調査資料

 

 上の資料は、2017年4月東京基督教大学国際宣教センター日本宣教リサーチの調査資料を基に、教派教団ごとに「1教会あたりの礼拝出席者数」を算出した資料です。教職者の謝儀(給与)平均額300万円(年間献金額に対し人件費率を50%で計算した場合)を捻出するためには、600万円必要となります。礼拝出席者一人あたりの献金額がひと月2万円程度と仮定した場合、礼拝出席者数が25名を下回ると、人件費が捻出できない計算となります。

2045年には、一般的な人口減少率で算出をしても、ここにある教派・教団の内40%が組織運営の存続の危機に陥る可能性があるのです。

 私たちの子供や孫たちの世代には、「教会の維持存続が困難となり、その負担感から教会を離れる者たちが激増する」かもしれないのです。
子供や孫たちの時代に「負債(金銭的負担)」を残してはなりません。

 別の角度から考えてみます。

現代社会に蔓延る「異端・カルト団体(組織)」のターゲットは若者です。彼ら組織は「若者が中心」となっていますから、27年後は「最も働き盛り」の年齢の者たちが勢力を強めているのです。
昔からある古い教会(教団)は、今後益々弱まっていきますから、気を付けなければ「異端・カルト組織」に、私たちの教会が簡単に飲み込まれてしまいます。

 「自力で何とかする」時代は終息を迎えた、と言っても過言ではありません。「27年後の教会」を想像しながら、「今だからできること」「今しかできないこと」を教派を超えて共に考え、歩んで行く必要を感じます。