横田めぐみさんたちを取り戻す最後の戦いが始まろうとしている −西岡 力−

西岡力
「救う会」
北朝鮮に拉致された日本人を救出する全国協議会 会長
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY- 主筆

 

● 6月21日(木)、都内で持たれた「横田早紀江さんを囲む祈り会」で西岡力「救う会」会長が行った報告です。


横田めぐみさんたちを取り戻す最後の戦いが始まろうとしている

 6月12日の米朝首脳会談を終えて、マスコミの中でもいろんな評価があるといいます。私も、いくつか書いたりしています。
勿論、目に見えて北朝鮮側から、被害者を返すとか出てきたわけではないですが、拉致問題の観点からみると一定程度前進したと、断言できると思っています。


日本人拉致問題について言及したトランプ大統領

 トランプ大統領は、日本人拉致問題について言及しました。これは報道されている通りです。安倍総理に6月14日面会したとき、トランプ大統領の言及の中身については教えてくれるのかなと思ったのですが、それについては教えてくれませんでした。
しかし、安倍総理はこういう言い方をしていました。「自分のメッセージをトランプ大統領は金正恩氏につたえてくれた」ということでした。トランプ大統領の拉致に対する考えを伝えたのではなくて、安倍総理が伝えて欲しい内容を、安倍がこう言っているという形で伝えてくれたということでした。
それについて、金正恩氏がどう反応したかという説明は総理からはありませんでした。

 マスコミから漏れ伝わってくることを総合すると、金正恩は少なくとも拉致は解決済みだとは言わなかったということです。
米朝首脳会談の後も、北朝鮮のラジオなどで「拉致は解決済み」ということが出ていますけれども、最高指導者の口からそれは出ていない、ということは間違いない。

 今、トランプ政権は、北朝鮮が核廃棄に踏み切ったと、そういう約束をしたと言っています。アメリカは核を完全に廃棄させる、廃棄させるものにはミサイルも入っていますし、毒ガスや化学兵器、生物兵器も入っている。アメリカ側からするとそれが実現する可能性があると、そういう約束ができたと言っているんです。
じゃあ、北朝鮮は多額のお金を使って開発した核ミサイルをただで引き渡すのかということなんです。彼らは必ず廃棄にともない開発費を補償せよと要求するはずです。それに対してトランプ大統領は、米国は払わないと明言している。

 総理が今年4月、フロリダで日米首脳会談をしたあと、繰り返し言い始めたフレーズがある。それは、拉致と核ミサイル問題が解決すれば日本は平壌宣言に基づいて、不幸な過去を清算して、国交正常化をして、経済協力をする準備があるということです。それはアメリカに言う話しではなく、北朝鮮に対していうことですけれども、フロリダの会見でもそのことを強調しました。北朝鮮に伝わるように、繰り返し公の場で言っているのです。
トランプ大統領はカネを出さないと言っている。日本は経済協力をする準備があると言っている。
トランプ大統領に伝えた安倍総理のメッセージの中にも経済協力をする準備があるという言葉が入っていたのではないかと、私は推測しています。

 トランプは北朝鮮に安全を約束した。体制の保障ではなく安全の保障です。英語でセキュリティです。普通安全を保障するという言葉は、日米安保条約とかそういう時に使うのです。アメリカが日本を守ってくれるという意味です。
じゃあ、アメリカが北朝鮮を守るのか。同盟じゃないので、そんなことは無いです。では、何故安全という言葉になっているかというと、アメリカが北朝鮮を攻撃しないと保証している。そう読める。私はそう読んでいるのです。
攻撃しないと約束はしたけれども、核を廃棄したらその分のお金は出さない。

 それじゃあ、ディール(取引)は完結しないのです。完結するためには誰かがカネを出さなければならない。安倍総理が経済協力すると言っているということと、セットになっている。
日本は核、ミサイルが解決しただけではカネを出さない。拉致問題が解決することが、日本の経済協力する条件だと強調してきました。アメリカは北朝鮮に核、ミサイルを廃棄してその見返りを日本から取れと言った。一方、拉致が解決しない限り日本はカネを出さない、とこういう大きな取引の枠組みができているということなんです。
これを作るのも大変だったわけです。


1994年の米朝枠組み合意と2007年の6者協議

 1994年の米朝枠組み合意というのがある。北朝鮮が核爆弾を作っているということが発覚して、クリントン政権が爆撃を準備して、最終的にカーター元大統領が平壌に行って、作った枠組みです。今とちょっと似ている。

 その時金日成はプルトニウムを作る原子炉を凍結すると約束した。つまり、プルトニウムを作ることを止めた。その見返りに米国は45億ドル分ぐらいの原爆を作りにくい原子力発電所、軽水炉を作ってあげると約束したんです。
でも、アメリカはお金を払わない。請求書は韓国と日本とヨーロッパに行った。
その時、村山政権は10億ドルを払うと約束した。実際5億ドルぐらい払いました。拉致問題は全く議題にならないのに、核問題でアメリカと北朝鮮が取引をしたら、日本に請求書が来て、日本が払ったという前例がある。

 あるいは、6者協議の中で、第一次安倍政権の時だったと記憶していますが、
北朝鮮が核を止めると言って今と同じ約束をしたのです。
それに対して、原子炉が止まると電気が無くなるとか、色々言ったので、じゃあ、火力発電用の重油を出してあげるということになった。5か国が20万トンずつ合計100万トン出すことになった。

 その時は、日本を含む5か国は核を止めるという北朝鮮を信じるという立場だったんですが、しかし、日本は、北朝鮮が核を廃棄すると約束をしただけではだめだと。拉致が何も解決していないんだったら石油は出せませんと言って、日本だけが出さなかった。だから80万トンしかいかなかった。
でも、その時も他の4か国は、拉致が条件でと言わなかった。拉致はある意味邪魔だった。日本が拉致で頑張るから、せっかくまとまったものがまとまらなくなるとされた。


今回の米朝首脳会談

 でも、今回は話しをまとめようとしたトランプ大統領が拉致のことを出した。
トランプ大統領の取引の中に拉致が入っている。
トランプ大統領が満足する水準で核ミサイルが廃棄されなければいけませんけれども、それだけではダメだと、拉致も解決しなさいと、そうすれば日本がお金を出すとなったんですね。
これがそうじゃなかったら、拉致問題が何も動かないのに、核が動いたからと言って、日本に請求書がきたかもしれない。

 核が無くなることは日本にとっていいことでしょう。それを俺がやってやったんだぞ、同盟国である日本がお金を払うのは当たり前でしょと言われたかもしれない。しかし、トランプ大統領の頭の中に拉致問題が入っていたから、取引の中に入れ込むことができた。

 その取引うまく行くかどうかわかりません。相手は、何回も嘘をついて来た国だということは確かだからです。ですけれども、しかし、米国は北朝鮮を爆撃する準備をすでに去年済ましていて、その上で交渉に行ったということも事実です。最後の取引なんです。その取引の中に拉致問題も入った。

 94年の時は、そもそも拉致問題は議題にも上がらなかった。2007年の6者協議の時は、日本だけ拉致問題を取り上げたけれども、他の国は邪魔もの扱いした。
でも、今回は、取引をしているトランプ大統領自身が安倍はこういっていると、
拉致を解決しろと、そうしたらお金が出ると、言っているぞという話をしたと
思われる。

取引の枠に入った、取引の枠に入れるということを目標にしてきたわけですから、大きな成果があったという風に思っています。

 国際社会の圧力を拉致に使う枠組みができた。トランプ大統領は自分はお金を払わないで、核を止めされる枠組みができたと思っているでしょうが、我々はトランプ大統領の圧力を核だけじゃなく、拉致解決に使う枠組みを作れたと評価している。両方にとって利益だから、いいことなんです。これを外交用語でwin winと言う。両方勝つと。それが同盟関係です。

 トランプ大統領が人道主義者で、拉致被害家族に会って感動したから、出してくれただけではないんです。そのことも作用したと思いますが、それだけじゃなくて、利害関係があって、特にトランプ大統領、お金の計算が早い人ですから、自分のお金は出さないで北朝鮮から絶対に核を廃棄すると計算している。
こういう枠組みが今できたことを私は評価しています。

しかし、今後のシナリオは楽観できません。いくつかのシナリオがありますけれども、核問題がうまく行かないという可能性もまだ残っている。
そうなった場合は、また軍事緊張が高まるでしょう。7月ぐらいにわかると思います。

 北朝鮮は今、中国が怖くてしょうがないので、アメリカと交渉する前に、まず中国へ行きますから、中国とも調整したうえで、どこまで核についてアメリカに譲歩するのかということを近く、ポンペオさんと話しをして出してくると思います。
実験場を破壊するということだけでは、トランプ大統領は失敗したということになりますから。北朝鮮がもっていると言った、
ひょうたん型の核弾頭、球形の核弾頭が出てくるかもしれない。それなしには成功とは言えない。


拉致問題を解決する最後の戦い

 米朝がうまく進んだ場合に、当然に日朝になります。
私が北の内部から聞いた話しでは、北では今回の米朝会議は成功だったと評価している。米朝が成功すれば、日朝をやるというのが今年の初めからの彼らが言っていたことなので、日本に接近してくると思います。

彼らは核廃棄するならその見返りのお金が欲しい。1兆円という金額が言われています。100億ドルです。小泉総理が訪朝した時に日本の外務省は内々に約束した金額だと言われていて、日本の外務省は否定していますが、2001年9月に平壌にいた高官級の複数の亡命者、今ソウルにいる人達はその話を聞いていると言っています。
それだけじゃなくて、日本政府系の人がリークしているのかもしれませんが、
大手の新聞、日本経済新聞や産経新聞や朝日新聞は1兆円という金額を書きはじめました。
北朝鮮の経済関係者と最近話をしたという、韓国のジャーナリストの話しを聞いたんですが、韓国銀行は北朝鮮のGNP全体を400憶ドルから500憶ドルとみているが、北の専門家はその半分ぐらいと観ている。200億ドルぐらいです。
200憶ドルしかないところに100憶ドルがくるかもしれない。その金額は大変魅力的に感じるはずだという。

 勿論、日本は100憶ドルを現金で払うことはしない。国交正常化のあと経済協力をすると言っているのですから、ODAという形で、投資をすることになると思います。ダムを造ったり、道路を作ったり、鉄道を造ったりすることに投資をすると。それを韓国に対しては1966年から75年まで10年にわけてやりましたから、そういうことになると思いますけど、金額が大きいので、魅力はあると思います。

 これからが最後の勝負で、今度は日本が、お金を出す側ですから、何をしたらお金をだすかという取引を日本がする。これはアメリカに代わってもらうことはできない。日本がすることです。
日本が決定権を握っている、出すか出さないかを決めるのは日本です。

 拉致を解決したら出すと言っていますが、その解決の定義をどう見るのかが問題になる。
全員と言っているけど、警察が疑いのある事案だとしている約900人の人を全員返せと言うのが日本の主張だと伝えるのか。もしもそういう風に金正恩氏に伝わったら、日本は拉致問題を解決する気はないと誤解される恐れがあります。
拉致問題を使って金正恩政権を倒そうとしているんじゃないかと、誤解されると思うのです。
拉致被害者が900人もいないことは事実です。今リストに挙がっている人の中で、違う人がいることは間違いありません。
何人か日本で見つかっていますし、時期とか状況などをみると断定は出来ないが、たぶん違うだろうという人もいる。900人全員返せと要求したら、日本は違う者まで返せということは、解決する気がないんだと誤解される。
安倍はやっぱり、俺を倒しにきているんだと、取引する気はないんだと、いう風に誤解されてしまう。

 だから、認定できていない被害者が全部で何人いるかは判らないという風にいうしかない。
私たちは判らない。あなたたちは知っているんだから、正直に話しをしなさいと求める。そういう言い方をするしかない。

 そう思っていましたら、先週の土曜日(6月16日)、安倍総理がTVに出てですね、何人返せと言うんですかと司会者が聞いたら、「私たちは判りません。北朝鮮は判っている」「北朝鮮と信頼関係を築き直し、北朝鮮に正直に全員を出させるしかありません」と、言っていました。総理も良くわかっているなと私は思いました。
まずそのことをしなくちゃいけない。


8人を含む全員を返すということ

そして、もう1つ、認定被害者がちゃんと帰ってこなくちゃいけませんよと伝えなければならない。特に北朝鮮にとって一番難しいのは、2002年に死んだといった8人についてです。いなかったという人を探したらいましたというのは相対的に楽なんです。

 しかし、8人については1度、ニセ遺骨やニセ死亡診断書、ニセ交通事故調書などをだしているんですね。だからめぐみさんが帰ってきたら、遺骨を夫がもっていたというのは嘘だったと言わなくてはならない。
ニセの遺骨まで出した責任者はだれだということになる。
本当に意図的に悪意を持って嘘をついたということを自分で認めなくちゃいけない。それをさせなくてはいけない。
一番難しい8人が、あの人達は2002年の時はまだほとんど40代ですから、死んでることはあり得ない。年齢的にあり得ない。

 もしも、8人のうち1人でも死んでいたら、その人の本物の遺骨が出して来ればよかった。DNA鑑定して本物だと判れば、それは亡くなったということ自体は否定できませんよ。殺されたかどうかということはありますが。
でも、あの時は8人死亡ということで終わらせたくて、様々な証拠や証言を出してきたり、偽の遺骨まで2人分出して来たにも関わらず、本物の死亡証拠は1人分も出せなかった。本当に死んでいたら証拠を出せば簡単なんです。

 ですから2002年の段階では生きていたという可能性は大変高い。だから、そういう人は歩いて帰ってこなければダメですよ、新しい「死亡証拠」などではだめだと強調しなければならない。

もう1回死亡という風にしたんだったら、これでは全員帰国とは言えませんよと拒否しなければならない。

 8人について秘密を知っているから、死んだと言った可能性がある。
ここでも何回も申し上げましたが、その人達が帰ったあとどういう生活をするかは、本人と家族の希望を守るというのが政府の責任だ。家族は静かに暮らしいと言っている。我々運動体も帰ってきた人を先頭に立てて、反北朝鮮運動をする気はない。公開されたくない情報があるなら記者会見をしなくてもいい。
政府が責任を持って帰国後の静かな生活を守ると約束して良い。それは政府が言論弾圧をするということではなくて、政府が本人の意思を守るということです。
ただ、北朝鮮にこれ以上日本人がいたかどうかだけは絶対に聞く。公開の場で聞く。残っている人がいたら、その人を助けなければならない。しかし、それ以外のことについて、本人の意思に反して、反北朝鮮運動の先頭に立たせることはしないと、北朝鮮に約束してほしいと政府に求めています。

 田口八重子さんは金正日の秘密パーティーに出ていたんです。そこでは、韓国の歌を歌ったり、そういうことをしていたんです。それは絶対に北朝鮮の中で、公開できないことです。そういうことを見たということについて、帰国後に話をさせないと、を約束してもいい。

 本当に最後の取引をしなくちゃいけない。
犯人と取引をして、身代金的な性格を含む経済協力をするというのは悔しいです。中国の故事で韓信の股くぐりというのがある。大事の為にはヤクザみたいな人の股もくぐるということです。今は被害者無事に帰ってくるということが一番大切なことです。

 そして、経済協力というのは、国交正常化の後、韓国にやったことを日本がやるというのは枠組みとしてはあり得る。勿論、民生に役立つことで、軍事に役立たないということは絶対に守らなくちゃいけませんけれども。
しかし、それは北朝鮮との関係が正常になった時のことです。拉致被害者が一人でも残っていたら、正常にはなりません。国交正常化の後だということを言いながらも取引をしようと。日本はこれを使って、他の政治的なことに利用しようとするつもりはないと。

 8人を含む全員を返すということを決断をするなら、こちらも条件を飲む。
できることはできる、できないことはできないけど、できることはやる。
その中には、多額の経済協力も含まれる。しかし、それは全員が帰ってきた後だという秘密交渉をやらないといけない。
こういう話をマスコミが言ったりするような外交交渉ではできないんです。
「返すから、何をくれるんだ」なんて交渉をすれば、「返す」と言った瞬間に生存者がいるということになっちゃう。それで、秘密が暴露されちゃうわけです。
秘密を暴露することとお金を交換しようとしているわけですからそういうことの交渉を表ではできないんです。絶対に、やってることも秘密になるような裏の交渉が、向こうが必要であれば始まると思います。

 そこの部分で話しが着いた後、外務省の表の交渉になり、そして、最後の詰め作業をするために総理が金正恩と会う。そして被害者を一緒に連れて帰ってくるかということになる。

いよいよ日朝の秘密協議の段階に入ったのではないかと思ってみています。
そのとき、これまで日本政府が集めてきた情報をいかに活用できるかが勝負です。


原則を曲げない

 今言いたいのは原則を曲げないということです。
トランプ大統領は、核を解決しろ、拉致を解決しろと言ってくれているのに、
日本の中の一部の学者とか専門家の中では、核、非核化の方が重要だから、
拉致が解決しなくても非核化の費用を日本が払うべきだという人がいます。
公然とそういう人がいます。あるいは拉致問題に拘りすぎだと、拉致が解決しなくても国交正常化を先にすべきだというようなことを公然と言っている著名な学者もいます。

 日朝国交促進議員連盟が、10年ぶりに活動を再開しました。そのも総会に田中均・元外務省局長と朝鮮総連のジャーナリストを講師として呼んだ。田中サンは圧力一辺倒だと安倍外交を批判し、北朝鮮といっしょに拉致に関する合同調査委委員会を作れと提案しました。

このように謀略情報や色々な工作が始まっているということは北も、日本からお金を取ろうと思い始めている。いよいよ最後、日本からとる段階になったということです。
しかし、彼らからすると、金正日が死亡とした8人は死亡したままにしたい。
それで、終わったということにしてお金を取りたい。そういう攻勢が始まってくる。

 でも、私たちは、拉致が解決するまで、勿論、核・ミサイルが解決しても、拉致が解決する、その3つが解決したあと、ODAだという原則を崩してはならない。その順番は絶対崩してはならないし、拉致の解決の定義は、少なくとも、最低限の定義は、全員の即時一括帰国だと言い続けなければならない。何人か帰ってくるんじゃだめだ。死んだと言われた、北朝鮮にとって、一番難しい8人を含む全員が歩いて帰ってこなくちゃだめだと言い続けることです。今安倍政権がとっている原則を曲げることのないように世論を盛り上げることしかない。

 北朝鮮は最近、日本批判をよくしてますよね。でも良く読むと拉致は解決済みだけど、過去の清算は終わってない、早く過去の清算をしろと言っている。拉致ばかり言い続けている日本とは付き合わないとは言わない。早く過去の清算をしろと言っている。それはODAを出せという意味です。できれば、拉致被害者は死んだというままで、お金を出しなさいということを向こうは要求をしているわけです。こっちは拉致が解決しなければ出さないと言っている。

 それがぶつかり合う、その時にこちらはこの取引をする気があるんだ。あなた達を倒そうとする気があるわけじゃないということを伝えなくてはならない。しかし取引において嘘は認めないということもつたえなくてはならない。

 犯人が人質をとって、立てこもっている時、お前捕まえて死刑だっていったら、人質を取り戻す交渉にはならないんです。まず人質を取り戻す条件を何かと聞かないといけない。いよいよそのパイプが繋がり、人質を取り戻す交渉が始まるのではないかと私は見ている。そこまで来たんじゃないかと思っています。

 ここからが最後の勝負だと思います。日本の中でも色々な人が動き始めています。北朝鮮も必死で、2002年の枠組みを崩さない中で拉致問題を終わらせようとしている。工作をしかけてくると思います。

そういう中で、できる限りのことをしながら、めぐみさん達が元気で希望を失わないで、待っていてくれることを願っています。

あと少しだと思いますけど、あんまり焦って足元を見られないようにしなければならない。

 今度は、トランプさんと金正恩の取引じゃなくて、安倍さんと金正恩の被害者を取り戻すと言う取引が始まる。
慎重にやって欲しい。被害者を1人でも残すことのないように、全員取り戻すことを目標にした慎重な取引をしてほしいと心から願い、祈っています。