三木パウロの十字架上からのメッセージ   −久保田 Ukon 典彦−

『キリシタン史からのメッセージ』

高槻・Ukon:第14回

 

 

 

 

久保田 Ukon 典彦
阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

三木パウロの十字架上からのメッセージ

 「 河内キリシタン 」の 三木半太夫の息子で、「 日本二十六聖人 」の一人となった 三木パウロ が、十字架上から語った 最後の言葉が ルイス・フロイス神父によって記録されていますが、どのような内容だったのでしょうか。

 「 日本二十六聖人 」と言われている人たちが、長崎の 西坂の丘で十字架にかけられ 殉教したのは、1597年2月5日。

 当時、長崎にいた ルイス・フロイス神父が、1か月後の 3月15日付で、殉教者たちの 最後の様子を 記録にとどめてくれています。

 フロイス自身 病状が進んでいく中で、「 日本二十六聖人 」の死刑執行 5か月後の 7月8日には 召天していますので、フロイス神父が残した 最後の貴重な報告書となりました。

 その報告書に記されている、刑執行直前の、十字架上から 大声で人々に語りかけた、三木パウロ修道士の 最後の言葉です。

● 「 ここに おいでになる すべての人々よ。私の言うことを お聴きください。

 私は、ルソンからやって来た者ではありません。
れっきとした日本人であって、イエズス会の イルマン(修道士)です。

 私は 何の罪も犯してはいませんが、ただ 我が主イエス・キリストの教えを説いたということで、死ぬのです。

 私は、この理由で死ぬことを喜びとし、これは、神が 私に授け給うた 大いなる御恵みであると思っております。

 今、この最後の時を前にして、皆さん方を欺こうとは思いませんので、
“ 人間の救いのためには、キリシタンの道以外の 他の道は ない ”
と断言し、説明いたします。

 キリシタンの教えが、
“ 敵 及び 自分に害を加えた人々を 許すように ” と教えています故、私は、太閤様と この私の死刑に関わった すべての人々を許します。

 太閤様に対して、憎しみは ありません。
むしろ、太閤様をはじめ、すべての日本人が、キリスト信者になることを 切望いたします。」

 

[参考図書]  「日本二十六聖人殉教記」
(ルイス・フロイス 著、結城了悟 訳)

  • 出版社: 聖母の騎士社 (1997/08)

*写真は、「日本二十六聖人記念館」の「三木パウロ殉教像」

 

久保田 Ukon 典彦

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰
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