安倍さんは統一協会と関係ない。(3)~敵対関係という「関係」~ −中川晴久−

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員

 世間ではまだほとんど取り上げられていない重要な問題があります。それは安倍元総理が第一次政権より「戦後レジームからの脱却」を掲げ、その後も一貫して取り組んできた教育改革です。この教育改革は、統一協会による日本人支配を阻止するために必要不可欠なものでした。本来、統一協会問題を語る上ではもっとも語られるべきテーマなのです。 “安倍さんは統一協会と関係ない。(3)~敵対関係という「関係」~ −中川晴久−” の続きを読む

安倍さんは統一協会と関係ない。(2)  ~問題のメッセージビデオ~ −中川晴久−

 

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員


<世界認識とのズレ>

昨年9月、安倍元総理がトランプ元大統領と共に、統一協会系の国際NGO団体の「天宙平和連合」(Universal Peace Federation:以下略称「UPF」)に対してメッセージビデオを送ったことで、安倍さんと統一協会はズブズブだったという論調が飛び交いました。安倍元総理を襲撃した山上徹也容疑者もそれをもって、統一協会と安倍元総理が関係していると思い込んだと伝わっています。しかしこれは統一協会に対する日本と世界の認識とのズレが引き起こした誤解といえるでしょう。
(※統一協会の表記は本来、カルト問題の専門家の間では「統一【協会】」を使用しており、現在「統一【教会】」とメディアが表記することには強く反対したい。)

“安倍さんは統一協会と関係ない。(2)  ~問題のメッセージビデオ~ −中川晴久−” の続きを読む

宗教アレルギーこそが危険カルトの呼び水となる ~ 明石清正 ~

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 現在(2022年7月11日)、安倍元首相の暗殺犯が、宗教団体(統一協会のこと)に対する恨みで、それとのつながりが安倍氏がこの宗教団体に近いということで、彼を狙ったと供述しているという報道が起こっています。とても気になっていることがあります。下の記事に、その懸念が明確に書かれていたので、ご紹介します。

誰がどんな理由で「安倍氏と宗教の関係がテロの原因」と言っているのか

政治と宗教の癒着を、現状以上に大きく見せるネット情報

 私は非常に少ない経験ではあるものの、政治家の方々、しかも、後に副大臣やその他の役職を務めた自民党の方々にもお会いしたことがあります。そして数多くの経営者の方々にもお会いしてきました。

 良い意味で驚きでした。それは、一般にキリスト教に対して抱いているアレルギーがない、ということです。人は宗教を持っているもの、というぐらいまでの心の余裕がおありで、キリスト教の牧師が、違和感なく関われる雰囲気があります。当該の政治家の方々も、普通に接してくださいました。しかも、ご質問が適切なのです、いわゆる偏見や無知というものが、かなり少ない内容です。

 それは逆に言うと、政治と宗教、また経済が密接につながっているように見える、ということです。けれども、宗教が政治の世界を支配しているというところまでの力は、実際はありません。そこまで言ってしまえば、陰謀論の領域になると思います。

「日本会議」陰謀論

“宗教アレルギーこそが危険カルトの呼び水となる ~ 明石清正 ~” の続きを読む

安倍さんは統一協会と関係ない。(1) −中川晴久−

 

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員

<統一協会 現「世界平和統一家庭連合」>

旧名称「世界基督教統一神霊協会」は、その略称で「統一協会」と呼ばれカルト団体として、広く一般に恐れられています。この統一協会と安倍総理との関係がネット上で噂されており、統一協会の問題が話題にあがるときに何度かその関係性についての質問も受けました。もちろん、私はその度に「安倍さんは統一協会は関係がない。」という回答をしてきました。
以下のことで、ご理解いただけると思います。

安倍晋三元総理大臣殉職に対する家族会・救う会声明 −西岡力−

「総理大臣官邸で拉致被害者御家族等と面会」 平成30年1月25日
写真:「総理大臣官邸で拉致被害者御家族等と面会」

平成30年1月25日
(首相官邸のホームページより)

安倍晋三元総理大臣殉職に対する家族会・救う会声明

 ライフワークとして北朝鮮拉致問題に取り組んできた安倍晋三元総理大臣(以下、安倍総理と呼ばせていただく)が襲撃され殉職された。拉致というテロと戦ってきた安倍総理がテロに遭うという事態がなぜ起きるのか。悔しくて悲しくて言葉にならない。

“安倍晋三元総理大臣殉職に対する家族会・救う会声明 −西岡力−” の続きを読む

ゲーム・チェンジを、敵・味方(友)の政治学から −亀井俊博−

写真:「梅雨明けの大阪と大阪空港」6/28_Shinichi Igusa

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

ゲーム・チェンジを、敵・味方(友)の政治学から

2022. 5. 30.

政治の定義の変遷

 私が学生時代、そうですね60年も前の話し。法学部生でしたが、「法律学科」に所属、他に政治学科がありました。私は、好奇心が多く経済学部、英文学科、哲学科、神学部等様々な分野を聴講し、それが随分その後の人生の肥やしになったと思います。で当時のお隣さん「政治学科」では、政治とは権力をめぐる闘争である。資本家階級か労働者階級か、どちらが権力を奪うか、武力革命闘争か議会闘争か、要するに階級闘争の政治学でしたね。あの政治学者はブルジョア政治学だと、言うのは軽蔑のレッテルでした。

“ゲーム・チェンジを、敵・味方(友)の政治学から −亀井俊博−” の続きを読む

日本民族「性悪説」の檻から出よ −西岡 力−

写真:日本国憲法(国立公文書館デジタルアーカイブ)

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授

日本民族「性悪説」の檻から出よ 

 わが国が主権を回復して70年になる。ところがロシアの侵略戦争を前にしても憲法を改正して国軍を持つという主権国家なら当然なすべきことを未(いま)だにできないでいる。その根本的理由は日本民族「性悪説」の檻(おり)に閉じ込められ、精神における主権回復ができていないことだと、私は考えている。

“日本民族「性悪説」の檻から出よ −西岡 力−” の続きを読む

新しい資本主義とは?〜その心情倫理〜 −亀井俊博−

写真:阪急 大阪梅田駅(撮影:2022-2/20)

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「新しい資本主義とは?〜その心情倫理〜」

2022・1・26

(A)新しい資本主義とは? 島田恒先生の年賀状

 私は今年80才を迎えます。この歳になっても年賀状を沢山いただき、ありがたく思っています。その中に、教友で関西学院大学客員講師のキリスト者経営学者の島田恒先生が、“「新しい資本主義」って何なのか”と言う、短文ながら流石と思わせる文章を書いておられるのでご紹介します。

“岸田総理の公約の中で最も印象的なものは「新しい資本主義の実現」である。資本主義市場経済は社会主義経済を圧倒し、経済成長を支え富の拡大に貢献した。・・しかし勝ち誇った資本主義市場経済は新自由主義と言われ、企業による最大利潤追求、個人には能力主義が強化され、所得格差・環境軽視・公共倫理の低下などの問題が生じている。このままでは立ちいかなくなる現実の前に、岸田総理の言う「新しい資本主義」がテーブルに載せられたということができる”

と見事な分析がなされています。

“新しい資本主義とは?〜その心情倫理〜 −亀井俊博−” の続きを読む

寄り添い世代とアニマル・スピリット世代のコラボ −亀井俊博−

写真:武庫大橋と子どもたち/「環境神学」あとがき  p.103

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

寄り添い世代とアニマル・スピリット世代のコラボ

2022・1・15

ほほえみの国、日本!

 先日あるベテラン・エコノミストが某TV番組で話していました。コロナ禍が始まる直前の事、香港に仕事で行ったとき、空港であるパンフレットを見てショックを受けたと言う、そこには“ほほえみの国、日本ツアー案内”とあった。“ほほえみの国”と言えば、かつてはタイであったはず、いや私を含め今でもそう思っている人が多いでしょう。しかし中国人から見れば、もはや日本はかつてのエコノミック・アニマルの儲け話にぎらつく目を止め、厳しいビジネス競争に疲れた香港人はじめ、中国のビジネス・パーソンを癒す、優しい“お・も・て・な・し”のこころをたたえた“ほほえみの国”になった、と見えている,と言うのです。エコノミスト氏だけでなく、私もかなりショックでした。

“寄り添い世代とアニマル・スピリット世代のコラボ −亀井俊博−” の続きを読む

新しい年にあたって −西岡力−

 

 

西岡 力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY- 主筆

新しい年にあたって

 年末に『同性愛は生まれつきか? 同性愛の誘発要因に関する科学的探究』(2020/5/30)という本の訳者である、韓国人キリスト者学者の楊尚眞(ヤンサンジン)弘前学院大学教授とお話しする機会があった。

 楊尚眞教授が訳出した同書では、韓国のキリスト者学者らが同性愛問題に科学的に取り組み、遺伝や先天的なものではないという最近の学会の研究成果をわかりやすくまとめた上で、同性愛にどう取り組むべきかを真摯に論じている。楊教授自身も2021年7月に『同性愛と同性婚の真相—医学・社会科学的な根拠―』という力作を出版されている

 楊尚眞教授は韓国のキリスト教界に比べて、日本のキリスト教界が同性愛やLGBTの問題に科学的に取り組む姿勢がほとんどなく、一部は社会的弱者を守るというヒューマニズムに傾斜して過激な左派の家族破壊運動に加担していると嘆いていた。

 

 私は昨年上梓した『わが体験的コリア論 覚悟と家族愛がウソを暴く』で「被害者もウソをつく」という大変重たい問題提起をしたと話した。拙著で正面から取り上げた慰安婦問題について、やはり、日本のキリスト教界が社会的弱者を守るというヒューマニズムに傾斜して過激な左派がまき散らしているウソに加担してきたと、楊尚眞教授の嘆きに共感した。

 聖書は十字架以外に救いはないと教えている。その意味するところは、人間は全員、罪人であっていくら被害者であっても弱さと自己中心性を心に持ち、ウソをつくこともある。その弱さと自己中心性はもちろん私にもある。

 パウロ先生も「私は、したいと願う善を行わないで、したくない悪を行っています。…私は本当にみじめな人間です」と告白しているとおりだ。その罪をあがなうことができるのは唯一イエス・キリストの十字架の救いしかない。

 ソルティ(SALTY)は今年も、日本のキリスト教界にはびこる被害者中心主義という反キリスト的ヒューマニズムに立ち向かいたい。

 

令和4年初春
ソルティ主筆 西岡 力
ーーーーーーー