矛先は「統一協会」だけではない ~明石清正~

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

演説中の、しかも選挙戦における凶弾

 安倍首相の暗殺から始まる一連の流れには、「統一協会がいかに悪であるか、それをつぶさなければいけない」という視点で論じているものが、かなりあります。私は初めから、「これは、とっても嫌なことが起こる・・」と思いました。

 言論の自由は、民主主義の根幹です。政治というものは権力闘争の性質を帯びているものですが、言論によって闘わせるというルールを設けることによって自由と社会秩序を担保するのが、近代の自由主義の基です。言論の自由を象徴する演説中に、しかも、民主主義の根幹でもある選挙活動において、どんな理由があれ暴力でそれを封じることは、断固として認められないものです。

 ですから世界の自由民主主義国は、暴力で政治的また宗教的主張をかなえようとするものを、テロリストとしてどんなことがあっても、妥協せず、対峙し、戦い、罰していきます。ところが、今回の暗殺テロの場合、日本国民の間にどんな理由があれ、容認的雰囲気が出てきたのが極めて深刻なことだと感じます。

 戦前、五・一五事件を契機に、政治家に対するテロが頻発しましたが、国民の同情をかえって買い、テロに対する容認的空気が醸成されていきました。そして、二・二六事件が起こり、日本の政治と経済は、軍による戦時統制下に入ります。 “矛先は「統一協会」だけではない ~明石清正~” の続きを読む