DreamPartyの悔い改めが示す「福音派」の課題 ~ 明石清正 ~

写真の出典:King gave his most famous speech, “I Have a Dream”, before the Lincoln Memorial during the 1963 March on Washington for Jobs and Freedom.

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 日本の福音派において、性的少数派の理解について、相次いで異なる団体が立ち上げられました。(クリスチャン新聞の記事)その中で、ドリームパーティー(DreamParty)が、「第三極」として対話を重視する目的で立ち上がりましたが、そのホームページの悔い改めの言葉を読んだ後に、関係者やその周囲の方々に個人的に読ませていただきました。その文章をソルティーにも掲載いたします。

 文中にもありますが、これはドリームパティ―の方々の働きを批判するものではなく、むしろ同意しており、その一歩前に進んだ働きにとても感謝しています。しかし、これは教会と同性愛の問題に留まらない、福音の本質を問わないといけない内容なのではないか?という提起として書かせていただきました。我がソルティーは、政治的・社会的話題を主に取り扱っていますが、根底には同じ「キリスト者の謙遜」への問いかけがあります。

福音派から第三の極として立ち上がったDreamParty
その悔い改めは、パンドラの箱ではないのか?

 私は、悔い改めの声明の内容に同意です。けれどもなぜか、素直に賛同しますという思いが湧いてきませんでした。なぜか?といいますと、自分のこれまで自分の中で抑えていた、日本の「福音派」を称する人々の態度に対する疑念が、一気に心から雪崩れるようにでてきたからです。自分も福音派信者だと思って、交わって行こうとしても一種の壁を感じ、その中には入れない排他的なものを抱いていました。それを、この声明は、言葉によって言い表しているからです。

 同性愛者の人々に対する悔い改めに終わらない、パンドラの箱のような悔い改めです。いろいろな話題に対して、「聖書的に正しくあろうとしながら、結局、「当事者の存在が無いかのように」無視して、正否を論じる」という過ちを、至る所でしているからではないか?と思いました。 “DreamPartyの悔い改めが示す「福音派」の課題 ~ 明石清正 ~” の続きを読む

新しい年にあたって −西岡力−

 

 

西岡 力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY- 主筆

新しい年にあたって

 年末に『同性愛は生まれつきか? 同性愛の誘発要因に関する科学的探究』(2020/5/30)という本の訳者である、韓国人キリスト者学者の楊尚眞(ヤンサンジン)弘前学院大学教授とお話しする機会があった。

 楊尚眞教授が訳出した同書では、韓国のキリスト者学者らが同性愛問題に科学的に取り組み、遺伝や先天的なものではないという最近の学会の研究成果をわかりやすくまとめた上で、同性愛にどう取り組むべきかを真摯に論じている。楊教授自身も2021年7月に『同性愛と同性婚の真相—医学・社会科学的な根拠―』という力作を出版されている

 楊尚眞教授は韓国のキリスト教界に比べて、日本のキリスト教界が同性愛やLGBTの問題に科学的に取り組む姿勢がほとんどなく、一部は社会的弱者を守るというヒューマニズムに傾斜して過激な左派の家族破壊運動に加担していると嘆いていた。

 

 私は昨年上梓した『わが体験的コリア論 覚悟と家族愛がウソを暴く』で「被害者もウソをつく」という大変重たい問題提起をしたと話した。拙著で正面から取り上げた慰安婦問題について、やはり、日本のキリスト教界が社会的弱者を守るというヒューマニズムに傾斜して過激な左派がまき散らしているウソに加担してきたと、楊尚眞教授の嘆きに共感した。

 聖書は十字架以外に救いはないと教えている。その意味するところは、人間は全員、罪人であっていくら被害者であっても弱さと自己中心性を心に持ち、ウソをつくこともある。その弱さと自己中心性はもちろん私にもある。

 パウロ先生も「私は、したいと願う善を行わないで、したくない悪を行っています。…私は本当にみじめな人間です」と告白しているとおりだ。その罪をあがなうことができるのは唯一イエス・キリストの十字架の救いしかない。

 ソルティ(SALTY)は今年も、日本のキリスト教界にはびこる被害者中心主義という反キリスト的ヒューマニズムに立ち向かいたい。

 

令和4年初春
ソルティ主筆 西岡 力
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同性愛行為は罪か?(2) −金井 望−

トップの絵画:堀江優 作「原罪 ーWhat is this thou hast doneー」

SALTY 論説委員 金井 望

 

『新潮45』の「休刊」

9月25日に新潮社は、10月号をもって雑誌『新潮45』を休刊とすることを、同社のウェブサイトなどで発表しました。それが、8月号に掲載された杉田水脈議員の寄稿文「『LGBT』支援の度が過ぎる」と、それを擁護する10月号の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」に対して、猛烈な批判が起こったためであることは、明白です。どちらもSNSで炎上を起こし、新潮社の新刊本の販売をやめると宣言する書店が現れ、新潮社の出版物の執筆をやめるという作家や翻訳家などが出てきました。9月25日には新潮社の社屋前で抗議のデモまで行われました。

1982年4月の『新潮45+』創刊以来36年も続いてきたこの総合雑誌が、このような圧力によって休刊(事実上の廃刊?)に追い込まれたのは、残念です。「これは言論の自由の危機だ」という声もあります。

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同性愛行為は罪か?(1) −金井 望−

トップの絵画:堀江優 作「原罪 ーWhat is this thou hast doneー」

SALTY 論説委員 金井 望

 

『新潮45』が再炎上

『新潮45』(2018年8月号)に掲載された杉田水脈(すぎた みお)議員のLGBTに関する寄稿文をめぐって、この夏は熱い議論が交わされました。

LGBT同性愛者について考える

9月18日に発売された『新潮45』10月号では「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という特別企画が組まれ、7人の論者が杉田氏の擁護論を発表しました。

藤岡信勝氏の見方には筆者と近い部分がありましたが、小川榮太郎氏の次の文章は多くの人々に誤解を招き、火に油を注いだかたちとなりました。

満員電車に乗った時に女の匂いを嗅いだら手が自動的に動いてしまう、そういう痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深ろう。再犯を重ねるのはそれが制御不可能な脳由来の症状だという事を意味する。彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか。

新潮45「そんなにおかしいか杉田水脈論文」の内容が凄まじい「性的嗜好について語るのは迷惑」「LGBTはふざけた概念」

『そんなにおかしいか「杉田水脈」論文』(『新潮45』2018年10月号)を論評する

これには多方面から批判が噴出し、新潮社内部からも批判が相次ぎました。そこで新潮社は21日に、社長名で問題を認める談話を発表しました。

「新潮45」2018年10月号特別企画について

世間は混沌としていますが、我々キリスト者は聖書に基づいて同性愛の問題について考えたく思います。

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LGBT同性愛者について考える −金井 望−

トップの写真の出典 杉田 水脈 (@miosugita) | Twitter

SALTY論説委員 金井 望

 

杉田発言の波紋

 LGBTに関する杉田 水脈(すぎた みお)衆議院議員の発言が今、波紋を呼んでいます。ここ数日、左派やリベラル派の政治家・マスコミ・市民運動家などが一斉に、杉田議員に対する批判を繰り広げています。7月27日に永田町の自民党本部前で行われたデモには「約5000人」が参加した、という報道もあります。

問題とされている杉田議員の寄稿文を、これらの人々は読んだのでしょうか。ほんの一部分を切り取ったツイッターの記事などに反応した人々が、少なくないのではないでしょうか。

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