「大航海時代の日本人奴隷-増補新版」を読んで

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 キリシタン史に詳しい方が、日本人奴隷についてこの本がいいと薦めているコメントを読んだので、図書館で借りて手にしました。

キリシタン史への私の興味

 これまでキリシタン史について、とても興味を持って触れてきました。戦国時代から江戸時代にかけての昔のことであっても、今の宣教について、多くのことを知ることができます。そして迫害史も知ることができます。日本での最大の迫害であるし、世界の教会史においても際立っている、とのことです。

 しかし、時の為政者がキリシタンを迫害したのは、宣教師の派遣国が日本を宣教師を通して植民地化しようとしているという見方を多く耳にしました。これは、大航海時代以後、キリスト教宣教と、帝国主義的な国の思惑から決して無縁ではないという、とても難しい問題であると感じています。

宣教と奴隷制度の関わり

 中でも、秀吉が伴天連追放令を出したのは、ポルトガル人が日本人を奴隷貿易にしているということを知り、それに激怒していたからだという見方も読みました。果たして、歴史的事実はどうだったのか?というのが、私の大きな疑問であり関心事でした。

 それで出会ったのが本書です。そのまま真っ直ぐに、「大航海時代の日本人奴隷」の歴史を、第一史料から取り扱っています。そして、「増補新版」がとても大切です。「補章」として「イエズス会と奴隷貿易」が追加されており、まさしく、これが宣教師たちが奴隷貿易に関わっていたことに触れている内容だからです。 “「大航海時代の日本人奴隷-増補新版」を読んで” の続きを読む