中国キリスト教の躍進に学ぶ(2)−亀井俊博−

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「中国キリスト教の躍進に学ぶ」(第2回)

<第2回>
・3回の連載で掲載いたします。(SALTY編集部)

<第1回>より    <—– クリック!

(c)改革開放時代

 1990年代、文化革命による、社会の破壊と荒廃から再建するため、1989年の天安門事件を経て、鄧小平が“改革開放”を唱え、政治の共産党支配、経済の資本主義市場導入を計りました。その結果、欧米との国際交流が盛んとなり、1990年以降宗教ブームが生じ、キリスト教会も中国駐在のビジネスマン、外交官、学生等のキリスト者の礼拝のため、北京、上海に「国際教会」(International Christian Fellowship,ICF) を認可、ホテル礼拝、やがて会堂が建てられ、パスポートを提示し外国人信徒の礼拝が認められました。これは共産党政府下の「特区」としての市場開放、宗教開放策でした。しかし中国人への伝道は禁止され、中国人キリスト者との交流も認められませんでした。

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米中対立の向うに(第3回)−亀井俊博−

・写真:Merry Christmas !  (Mukogawa Christ Church_2017)

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「米中対立の向うに」

執筆:2020年11月12日

<第3回(最終回)>
・3回の連載で掲載いたしました。(SALTY編集部)

—–>  <第2回>より

 

(9)中国の改革

世界史の二系列

 その際、特に中国は何を西欧・日本から学ぶべきかを次に考えます。その前提に経済史の速水融元慶応大教授(TVの歴史番組で人気の歴史家、磯田道史氏の師)の説く「世界史の二系列(複線)説」を紹介します。(ブログ、2020・12・2“新しい世界史像への挑戦”

 この説は、京都学派の生態学者梅棹忠夫元京大教授の「文明の生態史観」に強く影響を受けた説です。即ち世界史は従来の西欧中心の歴史学が説く、古代→中世→近代、と単線的に発展したものではない。これはアジア大陸の東西辺境の地、西ヨーロッパと日本にのみ共通した歴史発展理論であり、これを「世界史の第一系列」と速水氏は呼ぶ。それに対して、アジア大陸の中央部(中国、インド、モンゴル、ロシア、アラブ)では、古代に形成された専制的諸帝国の興亡が循環するだけで、歴史的発展が「化石化」し、いわゆるアジア的停滞となった。これが「世界史の第二系列」です。

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戦時中の信仰者の苦しみは、現在の中国の兄弟姉妹の苦しみ −臼井猛−

臼井猛
SALTY論説委員

 NHK連続ドラマ「エール」は、設定がクリスチャン家庭ということもあって、実際の聖公会の信者である立教大学の先生が演技指導に関わっていることもあり、かなり細かいところまで気を使った設定になっているようです。そして、10月16日は、焼け野が原で薬師丸ひろ子さんが、「うるわしの白百合」の讃美歌を、彼女が玉川大学出身ということもあり、自ら歌いたいと申し出て、ネットで話題になっていますね。

 ところでキリスト者のオンラインニュースサイト「クリスチャンプレス」が、「エール」とキリスト教のつながりを連載しています。以下の部分が目に留まりました。

NHK連続テレビ小説「エール」とキリスト教(6) 特高ににらまれていたクリスチャン

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多民族を誇る国の「同化政策」 – 臼井猛 –

写真:延吉芸術館とその前に立つ朝鮮族 Copyright by Senkaku Islands  (Wikipedia より)

臼井猛
SALTY論説委員

 前回、習近平体制において、キリスト教会を中国化する計画を中国が実行していることについてお伝えしました。今回は、多民族国家であることを誇っているはずの、中国共産党政権が、一気に、同化政策に舵を切っていることをお伝えしたいと思います。

中国は56の多民族国家

 私が中国で生活して驚いたことの一つは、少数民族に対する優遇政策でした。世界には多民族国家は数多く存在しますが、中国もその一つです。多数派は漢族で9割以上を占めますが、合計56もの民族がいます。こちらのサイトを見ていただければ、中国人といっても、これだけ多くの民族がいることに驚かれることでしょう。彼らが常に携帯しなければいけない身分証には、民族の欄があります。中国と言えば、漢族のイメージですが、チャイナドレスとも呼ばれる旗袍は、元々、漢族ではなく満州人のものでした。

民族の言語を守らせる政策

 少数民族の自治州や自治区に行けば、看板などの表記や公文書は、その民族の言語と漢語(中国語)の併記が義務付けられています。写真は、北朝鮮の国境に面する、吉林省の延辺朝鮮族自治州の首都、延吉の町の様子です。韓国の街並みのように朝鮮語もあり、そして中国語もあります。 “多民族を誇る国の「同化政策」 – 臼井猛 –” の続きを読む

習近平体制における中国の教会の変容 – 臼井猛 –

臼井猛
SALTY論説委員

大雑把な監視体制

 私は、中国で、ある働きをして数年いました。文化や習慣、制度が日本とはまるで違うので、初めの2年ぐらいは面食らいましたが、主が中国を愛する心を与えてくださいました。本当に中国が好きになり、今も愛しています。 “習近平体制における中国の教会の変容 – 臼井猛 –” の続きを読む