明石清正
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表
現代の中東情勢を語るにあたって、その中心となっていくのはイスラエルです。聖書には、新旧共にその舞台となっているのは、イスラエル、そしてその周辺国です。しかし、キリスト教会では、聖書で書かれた時のイスラエルと、その後のイスラエルが連続しているものとは考えていないことが多いです。聖書で書かれていたのは確かに歴史であり、史実であるが、それ以降はあまり私たちには関係がない、そして近現代のイスラエルというのはまた別の話題だというのが、キリスト者の間に通底している考えです。
けれども、聖書は新約聖書の記述が終わった時で、その歴史性は失われたのでしょうか?イエスご自身はそのように言われたでしょうか?イスラエル国が無くなる時、つまり紀元70年のエルサレム破壊、そしてユダヤ人の世界離散の後について、イエスは弟子たちにこう語られました。
「人々は剣の刃に倒れ、捕虜となって、あらゆる国の人々のところに連れて行かれ、異邦人の時が満ちるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。(ルカ21:24)」
「イスラエル大使館のサイト」に行けば、そこにイスラエルについて紹介する情報があります。そこに「歴史」の欄があり、聖書の歴史が記されています。アブラハムから始まり、ダビデが王朝を建て、国ができたこと。でも南北に分裂、北はアッシリアに、南はバビロンに捕え移されたこと。七十年後に帰還、ペルシヤの支配、ギリシヤの支配、ローマの支配へと移ったこと。そして、イエスがその頃に伝道されていたことも言及しています。
すべて、聖書に書かれているとおりです。
その後も記しています。紀元70年に世界へ離散し、その間この都は、ローマ、ビザンチン朝、イスラム教の台頭、十字軍の聖地奪還、その後、イスラム勢力のマムルークとオスマン・トルコが支配します。1917年、英国がオスマン帝国を倒し、国際連盟による委任統治を始めました。その時には、世界に離散していたユダヤ人が次第に、民族郷土である当時のパレスチナに帰還を始めました。そして英国が、ユダヤ民族郷土の約束を保障したのです。そして1948年にイスラエルが建国し、1967年の六日戦争においてエルサレムはイスラエルの主権下に入りました。長いこと、異邦人の手で踏み荒らされてきたのです。
たった今、エルサレムがイスラエルの首都であるという米国大統領の認知が世界を騒がせているのですが、すべて、イエスが十字架に付けられる直前、オリーブ山にて弟子たちに言われていたそのお言葉の通りになっているのです。今の神殿の丘が誰の帰属なのか?イスラエルの治安当局がいるけれども、そこはワクフというヨルダンのイスラム当局が管轄している中で、「異邦人の支配」が今もある意味で続いていると言えるでしょう。
つまり、聖書は聖書の時代だけのことを史実として語っているだけでなく、それ以後のことも預言し、終わりの日の成就に向って神が世界を動かしていることを告げておられます。こういった視点から、イスラエルを取り巻く中東情勢を見ていけば、私たちが置かれている状況も把握できるでしょう。