武士は食わねば、戦えぬ! −久保田典彦−

※ 写真:シモクレン(紫木蓮)

『キリシタン史からのメッセージ』
 高槻・Ucon:第37回 

 

 

 

━ 久保田 Ucon 典彦 ━

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

 

【 武士は食わねば、戦えぬ! 
  久保田 Ucon 典彦  
 
 戦国時代の、戦(いくさ)というと、武将たちの華々しい戦いぶりが強調されることになりますが、戦闘が続きますと、1日に3度も4度も食事をしたり、小夜食をとったりして、食糧を補給しなければ戦えません。
 当時、戦時配給米の基準は、1人1日6合でした。それぐらい食べなければ、十分な戦闘は出来なかったのです。


 いざ出陣となると、各武士たちは、とりあえず、2~3食分の食糧を所持して集まりますが、それ以上は、当然、主君が補給の責任を持たなければなりません。食糧だけではなく、兵器の補充・設営のための準備などが十分でなければ、出陣を決定するわけにはいかないのです。

 200人の出兵としても、1日1石以上の米(120升)が必要です。[ひと月だと30石以上の米] 勿論、米だけではダメで、大豆・塩・味噌・副食物・軍用馬の飼料などを加えると、大変な量になります。
 これらの軍用物資の調達のためには、領内の農民や町人が負担をしていくことになります。
徴収した兵糧(ひょうろう)だけで足りなければ、別にお金を払って、商人たちから買い付けしなければなりません。

 とにかく、戦となり、軍を動かすとなると、莫大なお金がかかることは常識です。

 このようにして調達された食糧や補給の物資は、陣列の最後について、「小荷駄隊」 によって運ばれていきます。小荷駄隊(こにだたい)の大部分は「夫丸」(ぶまる)と言われる人夫で、わずかの護衛兵がついているだけで、戦闘力はありません。

 重要な物資ですから、敵も狙ってきますが、少ない兵力で敵襲に備えながら、無事、目的地まで届けなければならないわけです。
 食糧・武器・弾薬などの補給が続かないと、軍は壊滅状態になってしまいます。
 それほど、兵站(へいたん)の任務は重要で、兵站部がしっかりしていなければ、第一線の武士たちは、十分に戦うことが出来ないのです。

 いずれにしても、戦国武将たちにとっては、戦争などしたくなかったに違いありません。

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【 参考図書 】

「戦国大名の兵糧事情」
   久保健一郎 著・吉川弘文館(2015)

※ 写真:シモクレン(紫木蓮)
・撮影:阿武山にて  2017年 4月16日
     Shinichi Igusa
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久保田 Ucon 典彦

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

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