明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表
節電だけでなく発電の課題
日本のマスコミで、なぜ話題になっていないのか?とても不思議なのが、以下の記事です。今、政党、政治家で明確に国民に問わなければいけないと言っているのが、国民民主党の玉木氏です。「節電もいいが、発電をどうするのかということを正面からきちんと議論すべきだと思う」このように言って、今年夏の参院選の争点になり得る、と言っています。
国民・玉木氏、原発のあり方「参院選のテーマに」 電力逼迫で「節電もいいが、発電の議論すべき」
本当にその通りです。私はかつて、しょっちゅう、停電が起こる国にいました。日本では考えられない、抜き打ち停電がありました。まさか、安定供給では世界に秀でる日本が、こんな危機を想像しないといけないなど思いもよりませんでした。
今年の夏と冬も、先月の福島地震後の電力逼迫を経験するそうです。いつも節電をしていても、最も暑い時にこそ冷房がほしいし、最も寒い時にこそ暖房が欲しいです。そういう時に、敢えてそれらを付けるなと節電を呼びかける政府には、やはり、玉木代表の言葉を政府にも投げかけたい思いです、「発電をどうするのか?」ということです。
脱原発だけでなく、脱炭素に舵を切った日本政府
元凶は二つあると思います。一つは、原発事故によるアレルギーが形成されたことです。恐れや不安に付け込み、反原発を、エネルギー対策の一環としてではなく、イデオロギーになっていって今に至るまで引きずっていることです。
そして欧州発の、脱炭素運動です。彼ら自身、これが目標には到達できない、現実的にできないことが分かっているものの、この流れに抗わず、むしろ促進へと舵を切ったのが我が国の政府です。しかし、この脱炭素運動も、地球温暖化を抑える純粋な思いよりも、イデオロギーが先行して、世界がそれに振り回されています。
参考:「亡国の環境原理主義」から思う似非キリスト教 −明石清正−
脱炭素のためには原発、という考えを出しているのが、欧州では例えばフランスです。しかし、日本が教訓にしなければいけないのは、脱原発・脱炭素のどちらをも掲げたドイツです。現実は、どうなのか?というと、ロシアにエネルギーを極端に依存しており、これだけ厳しい経済制裁をしているようで、実は大きな穴が、制裁をしているはずの欧州で開いている、というのが現実です。
連続する危機の中で,エネルギー政策はどうあるべきか(竹内 純子)から:
わが国でしばしば参照されるドイツは,2022年末までの脱原発,2030年までの脱石炭,及び同年までに国内電力需要の80%を再生可能エネルギー発電で賄うことを目標に掲げていた。
しかし太陽光・風力発電といった自然変動電源は,調整電源を必要とする。天然ガス火力を必要とするため,結果としてロシア産の天然ガスへの依存度を急速に高めることとなった。
今、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの侵略を、エネルギーを輸入していることで欧州のいくつかの国々が手助けをしていると批判をしています。そして名指しでドイツを批判しています。(「ゼレンスキー氏、欧州が「他人の流血」でロシア原油購入と非難 BBC単独インタビュー」)
日本にも非が、そしてキリスト教関係者たちにも
そして、これをドイツ批判で終わらせてはいけないのです。英紙は、「日本が原発を再稼働できたら、欧州は露ガスに依存しないで済むかもしれない」という記事を出しています。日本が、世界にある天然ガスを輸入しているから、その分、欧州に回らない。だから、露への依存を脱却できない、という指摘です。
英紙の指摘「日本が原発を再稼働できたら、欧州は露ガスに依存しないで済むかもしれない」から:
欧州の極端な脱石炭・脱原発がロシアを利しウクライナ戦争の呼び水になったのは明白です。一刻も早く脱脱石炭、脱脱原発に舵を切ることがウクライナを助けることになります。元をたどれば誰一人取り残さない社会への道筋でもありますし。
こちらのエネルギーの専門家による、記事は日本に住む人であれば、すべての人が考えるべきことだと思います。国民と政府が一緒になって考える、社会問題だと思います。
脱炭素の犠牲になるウクライナ-日本は脱炭素政策を緊急に見直し安全保障を確保すべきだ-
このように、世において環境正義や気候正義が流行していますが、キリスト教団体やキリスト者が、「待ったなし」として便乗している姿がありました。(「【COP26】 世界学生キリスト教連盟 繰り返し気候正義の実現求める 2021年12月9日」)非常に脆い環境運動に、キリスト教や聖書的価値観と称してで、読み込んでいく危険性も指摘したいと思います。