“「日本文化の核心」ジャパン・スタイルを読み解く” を読む

写真:「さかい利晶の杜」茶室の庭

 

 

 

 亀井俊博(バイブル・ソムリエ)

「聖書を読む集い」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

“「日本文化の核心」ジャパン・スタイルを読み解く” を読む

松岡正剛の遺言的著作

 ナルシストなのか、自分に自信がないのか、はたまた自己顕示欲が強いのか。日本人は日本人論が好きです。筆者も御多分に漏れず、その一人である事を認めます。数ある日本人論の白眉とも言うべき新刊書を紹介します。“「日本文化の核心」ジャパン・スタイルを読み解く”(松岡正剛、講談社現代新書)です。博覧強記の万能人、松岡正剛(1944~2024)の後世への遺言とも言うべき力作です。新書版ですが、「濃い日本」を解読する、と帯にありますが、よくまあコンパクトに濃厚な日本文化論を松岡は残してくれました。見事です。

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日本が堅持してきた「保守主義」 −西岡力−

写真:「終戦の詔書」(国立公文書館 より)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

日本が堅持してきた「保守主義」

2025/10/17

保守とは着実な「漸進主義」

 自民党総裁選で保守とは何かが議論になった。私は、先祖たちが築いてきた伝統と文化を大切にするという縦軸と、普遍的な価値観である文明を果敢に取り入れるという横軸の交わる地点で、急進主義に立たず一歩一歩、着実に物事を改善していく漸進主義が保守だと考えている。

 わが国はこのような保守の立場を堅持してきた。古代では中国文明を取り入れながらも易姓革命を排してわが国独自の皇室を中心にした国体を維持発展させた。明治維新では西欧に始まった近代文明を取り入れながらも、国体を維持して非西欧圏で初めて憲法を作り立憲君主制を確立した。この2つこそわが国が保守の立場から国造りをしてきた証しだ。

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キリスト者個人として、自維連立の高市政権を支持する理由 ~ 明石清正 ~

(上の画像:自民党サイトから)

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

高市早苗さんが、自民党の総裁に選ばれ、その後、公明党が自民党から連立を離脱、その後、日本維新の会と連立し、国会で晴れて、新総理となられました。日本のキリスト者の間では、思想が右寄り過ぎるのでは?という意見もあれば、「保守的な価値観を歓迎する」という受けとめもあり、さまざまな反応があるようです。

私は、「自維連立」の高市政権を、一国民のみならず、一キリスト者としても、とても歓迎しています。その理由をお話しします。

国家神道側が教会を弾圧した歴史

日本のキリスト教の歴史で、国家神道側が教会を弾圧した時期がありました。大日本帝国憲法において、「安寧秩序を妨げず、臣民としての義務に背かない限り」という条件付きで、信教の自由が認められていました。

しかし、戦時下、共産党の取り締まりを念頭に入れた、治安維持法が施行され、拡大解釈がされて、キリスト教の教義である、キリストが王として再臨し、また、イスラエルが回復するということも含め、特高が教会に中にも忍び込み、教会指導者の一部が逮捕されました。

そんな経緯があるため、戦後の日本のキリスト教会は、国家神道の復古や、愛国心を涵養する教育など、戦前の国のあり方に対抗することこそが、信教の自由を守るものであるとする流れが出来上がりました。 “キリスト者個人として、自維連立の高市政権を支持する理由 ~ 明石清正 ~” の続きを読む

映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」を観て ~ 明石清正 ~

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

私は、日本での上映前に、既に二度、本映画を視聴しました。一つは、試写を、関係者の方から勧められました。ぜひ鑑賞の感想を書いてほしいと頼まれました。実は、留まっていました。忙しかったのですが、実は、もう一つの思いがあります。それは、「あまりにも、現代に通じる」そして、「この自分の身に迫って来る」ということです。

© 2024 Crow’s Nest Productions Limited

あまりにも、現代的、個人的なメッセージ

もう一つ観た機会は、ドバイから東京に飛ぶエミレーツ社の飛行機の中においてです。イスラエルからドバイに飛び、乗り換えました。 “映画「ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師」を観て ~ 明石清正 ~” の続きを読む

キリスト教会牧師として、最も言いたくないことを発言します。「異端カルト弾圧を『明日は我が身と思え』」 ~ 明石清正 ~

(アイキャッチ画像:米国務省のサイトから)

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

以下は、キリスト者のオピニオンサイト「ソルティー」の論説委員でもある、田口望牧師が、書かれた記事です。私も個人的に、同じ危惧を抱いています。

信教の自由の観点から旧統一協会の解散命令請求に反対します-田口 望-

私も、彼と同じように、この投稿をするのは、とても勇気が要ります。同じように、教会で、牧師としての働きの中で、統一協会系の異端からの救済に、間接的に関わってきたからです。

おそらく、日本の多くの教会関係者は、安倍首相暗殺よりはるか以前に、(以前は状況がはるかに酷かったので)この問題に取り組み、また、元信者の方の多くが、キリストの恵みによって救われているので、一般社会以上に、私たち教会の人たちのほうが、この感情は根強く、強いでしょう。

全体主義の空気を感じる、今の民主主義国

けれども、言わなければいけないと思います。その最も大きな一つは、私自身が、信教の自由が制限されている国での宣教経験があることです。その国と、民主主義国家であるはずの国々が似通ってきている、という問題があるからです。欧米諸国で多く起こってきており、韓国でも起こっていることを耳にし始めています。 “キリスト教会牧師として、最も言いたくないことを発言します。「異端カルト弾圧を『明日は我が身と思え』」 ~ 明石清正 ~” の続きを読む

人類哲学裏話し −亀井俊博−

写真:「金環蝕」2012年5月21日

 

 

 

 亀井俊博(バイブル・ソムリエ)

「聖書を読む集い」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

“人類哲学裏話し”

哲学者の裏話し

 哲学(者)の裏話しです。
筆者は思想的なブログを書き連ねておりますので、長年結構色々な哲学・思想のお世話になっています。その実感として、何かとてつもなく難しい事を説いている論を読んでも、その核心は“なんだこの程度か、大げさな”と落胆する事が多い。高齢になると少々のこけおどしでは通用しない。それにしても大きな物語と言うか、新しい世界観を提示し、これからの人類や個人的にも道筋を照らすものがない。かつてフェミニズム論の上野千鶴子さんが、若い頃古代インド哲学にはまり、ありとあらゆる思考がそこに論じられていて、およそ人類の思考パタンはここに出尽くしていると悟り、哲学から方向転換したと書いていたのを思い出す。以後の人類の思考パタンは結局、古代インドの思考の焼き直しなのかもしれません。今は中国文明の台頭が大きいですが、どうも共産党の縛りが強いのか新しい哲学・思想はうかがえない。むしろ次の次に控えている、インドの熱帯雨林に繁茂する多様な植物の様な印度哲学・思想のジャングルの熱気の中から、次の世界思想が生まれてくる気がします。

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「血肉に対する戦いではなく」論 −アリマタヤのヨセフ−

写真:ギリシャ正教会(カペナウム)

「血肉に対する戦いではなく」論

アリマタヤのヨセフ

終戦80周年の年です。
戦争やキリスト教弾圧について考える大事な節目でしょう。

「キリスト教弾圧記念集会」のような集会に行くと(あるいは動画等で見ると)感じることですが、戦前戦中迫害されたのはキリスト教だけのような妙な錯覚にとらわれます。例えばホーリネス教会だけが悲劇の主人公で、≪キリスト教VS天皇制&国家≫という構図だけで世の中が動いているような錯覚にはまり込み、他が見えなくなってしまいがちです。

しかし「カメラのズーム」を引いて見てみると、弾圧されたのは先ずは共産党でした(「治安維持法」というのは、そもそも共産党対策だったのです)。その法律が徐々に「拡大解釈」され、宗教もターゲットになって行ったのです。「大本教」の弾圧は規模も大きくかなりひどいものでした。「ひとの道教団」(PL教団)も「灯台社」(「エホバの証人」の前身)もやられました。そしてキリスト教は最後の方で、特に再臨を強調するホーリネス系やブラザレン系の教会が弾圧されたのです(他のキリスト教会は情けないことに「妥協」しています)。

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「蒐集家・池長孟の南蛮美術」:神戸市立博物館 特別展 開催中! −井草晋一−

写真:神戸市立博物館(Wikipedia より)

神戸市立博物館 特別展

「蒐集家・池長孟の南蛮美術
言葉から紡ぐ創作(コレクション)」

◎ 特別展:2025年4月26日(土曜)
~ 2025年6月15日(日曜)

特別展「蒐集家・池長孟の南蛮美術」神戸市立博物館_2025年4月26日(土) ~6月15日(日)

神戸市立博物館では、

「蒐集家・池長孟の南蛮美術
言葉から紡ぐ創作(コレクション)」

の特別展を開催中です。

見どころは、1920年に「隠れキリシタンの里」茨木市の千提寺の民家で発見された「聖フランシスコ・ザビエル像」(常設展示、レプリカ展示あり)を含む、蒐集家・池長孟の南蛮美術の数々です。

この機会に、お誘い合わせて特別展に赴かれますよう、お勧めいたします。

*この「特別展」は、6/15(日)で終了しました。

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キリスト教 信仰良書 のご紹介(第1回) 『真の教会を求めて』−井草晋一−

 

 

ピヨ バイブル ミニストリーズ
Piyo ePub Communications
代表 井草晋一

・日本メノナイトブレザレン教団
武庫川キリスト教会 協力牧師
・SALTY 論説委員
・コルネリオ会教職顧問(関西)

キリスト教 信仰良書 のご紹介(第1回)

 新しい電子書籍、POD版を出版した折に、SALTY で記事を書いていましたが、これから『キリスト教 信仰良書 のご紹介』のタイトルで、時々、書籍紹介の記事をアップいたします。

 以下は、第1回の記事です。

 キリスト教界では、いのちのことば社の販売ルートや、日基販のルート、各出版社サイドのルート、また、一般書籍の販売ルートで、キリスト教の書籍が出版され販売されてきました。

現在は、Amazon、Apple Books、Google ブックス、楽天ブックス、Book⭐︎Walker などでも電子書籍やPOD版が販売されています。

特に POD版(プリント・オンデマンド=印刷本)は、Amazon のサイトで販売されるとともに、数年前からは、日本語の書籍のPOD版が 各国の Amazon のサイトからも購入できるようになりました。 (POD版:12カ国)
それまでは 海外の Amazon では、日本語の電子書籍と共に、主要外国語(5ヶ国語)で書かれた日本の書籍のみ、POD版として購入可能でした。

このような新たな販売ルートを通じて、「キリスト教 信仰良書」が、クリスチャンをはじめ、多くの方々の手元に届くようにと願っています。

Piyo ePub Communications
代表 井草晋一
 ピヨ バイブルミニストリーズ 代表
 武庫川キリスト教会 協力牧師

 

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キリスト教 信仰良書のご紹介 (第1回)

 有田優牧師の著書『真の教会を求めて』の「電子書籍」と「POD版」

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“100年、80年、30年” −亀井俊博−

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「芦屋福音教会」名誉牧師
「聖書を読む集い」牧師

“100年、80年、30年”

 

          100年、80年、30年

 今年は “昭和100年、戦後80年、阪神淡路大震災後30年” となります。2018年は明治150年の年と呼ばれ、明治新以来の日本近代化の歩みが回顧されました。こういう大きいスパンで歴史を眺めてみると、日々目前の出来事に一喜一憂するだけでなく、時代の大きな方向付けにどう先人たちが対処したかが分かり、参考になるものです。

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