【対談】西岡×中川「統一協会解散請求への疑義」6−中川晴久−

【 ディプログラミングという闇 】

中川 私が指摘したい「隠された真実」の筆頭はまず、何よりも旧統一教会の信者がこれまで突然拉致されて監禁下で強制改宗をさせられる事件の被害に遭ってきたことです。全国弁連がこうした拉致監禁で強制改宗された元信者を長年にわたって利用し、教団追及の裁判闘争を展開してきたことは全くといっていいほど明らかにされていません。これが全く無視されている。

 今回、文化庁が解散の根拠として、旧統一教会が敗訴し、不法行為や教団の使用者責任が認められた民事訴訟判決二十二件(請求時には三十二件に増加)の原告二百三十一人のうちの百二十八人は実は同じような拉致監禁によって強制棄教させられた人たちで占められているのです。憲法三八条「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」に抵触しうると考えています。
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【対談】西岡×中川「統一協会解散請求への疑義」4−中川晴久−

【 法の下の平等はあるのか 】



西岡 過去に刑事事件を起こし、解散命令の請求が出されたけれども解散命令は却下された宗教法人があります。

 法友之会は一九九〇年、教祖と信者七人が海岸で懺悔をさせると称し、信者に暴行を加え溺死させた。世界救世教は一九六八年、幹部らが信者に心霊療法を施し死亡させ、理事二人が贈賄容疑で逮捕されました。
 いずれも教祖や教団幹部による刑事事件です。こうした先例がありながら民事訴訟判決にまで適用対象を拡大して解散命令請求に踏み切るからには、懺悔させるとして溺死させることや心霊療法による死亡、それ以上にひどいことが旧統一協会で行われていたことが誰の目にも明らかであれば、基準が変わることも、まだ理解できます。しかし、繰り返しますが、そうした事情は見当たりません。
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コーヘン駐日イスラエル大使への SALTY単独インタビュー(3)最終回 ~ 明石清正 ~

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

(*動画は、下をご覧ください。)

第二回からの続き

 大使にインタビューしてから、一か月近く経った。しかし、その内容はほとんど古びていないどころか、今の状況を、イスラエルがどのように考えているかに、重要な理解の鍵となる言葉を、大使は、次々と発している。

 日本では、ガザの戦禍についての報道さえ、少なくなっている。しかし、人質解放のための軍事作戦は、深部にまで進んでいるし、その後のガザ統治について、アメリカ、アラブ諸国も含めて、いろいろ模索中である。そして、何よりも、戦争がずっと続くわけでないことだ。戦後の希望について、大使は多くを語ってくださった。これでインタビュー記事は、最終回となる。

質問5.人質のご家族が、来日されました。お言葉にとても心が動かされました。他のご家族は世界の国々にも行かれていますね?イスラエル政府は、人質解放のために、対ハマスの戦闘の他に、何をしていますか?ニュースで、カタールやエジプトを介した交渉をしているとか聞いていますが。

 政府がハマスと戦っているのは、その目的が人質を解放するためなのですが、トンネルに隠れたりと、その作戦は困難です。諜報活動もしています。しかし、軍事攻撃によって、ハマスに圧力をかけられるので、それによって交渉の条件が良くなります。

 約100人を解放するための交渉で、戦闘を一時休止しました。一人につき三人の囚人を、イスラエル側は解放しました。これら囚人は、犯罪者たちです。イスラエル人を殺すなどしたテロ犯なのです。裁判所の法廷で判決を受けた者たちです。それに対して、私たちの人質は無辜であり、誘拐されました。なんで、こんなことを言うかといいますと、パレスチナ側が人質交換だというからです。しかし、イスラエルが解放するのは、人質ではありません。 “コーヘン駐日イスラエル大使への SALTY単独インタビュー(3)最終回 ~ 明石清正 ~” の続きを読む

【対談】西岡×中川「統一協会解散請求への疑義」3−中川晴久−

【 沈黙容認した宗教審議会 】



中川
 ところで岸田首相による突然の基準変更ですが、基準が新しくなって、それで昔の出来事、それも決着済みの民事判決を遡って蒸し返して裁けるのでしょうか。法の不遡及の原則という法理念に照らして腑に落ちない話です。

西岡 恐怖を覚えたことは、まだあります。宗教法人審議会の委員に宗教者がたくさんいました。私のよく知るプロテスタントの牧師で私が以前勤めた大学の前理事長もいました。日本基督教団総幹事もいれば、神道や仏教からも入っています。その人たちが全員、異論を言わず賛成したのも信じられないし、ショックですよ。一体、信教の自由をどう考えているのでしょうか。 “【対談】西岡×中川「統一協会解散請求への疑義」3−中川晴久−” の続きを読む

コーヘン駐日イスラエル大使への SALTY単独インタビュー(2) ~ 明石清正 ~

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

(*動画は、下をご覧ください。)

第一回からの続き

 私(明石)が大使に質問する時、心構えとして「ユダヤ人に寄り添う」ということがあった。

 それは、無条件にイスラエルに肩入れすることではなく、当事者が、どのように感じて、考えているのかを、日本の人々に伝えるという報道が、これまでなされてこなかったのはないか?という疑問からである。ハマスによって被害を受けたイスラエルが、今、どのような傷を受けているのかを知ることが先決だと感じていた。

 ハマスによる大虐殺を、「イスラエル建国以来、最大の悲劇」あるいは、「ホロコーストの再来」とイスラエルの人たちが多く発言しているのだ。この点について、まずお尋ねした。

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北朝鮮核脅威をなぜ直視しないのか 〜西岡力〜

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

北朝鮮核脅威をなぜ直視しないのか

2023.12.25 (月)

 12月18日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射訓練を行った。火星18は固体燃料型で、4月と7月に試験発射が行われていた。私がこれまで繰り返し強調しているように、試験発射とされるのはまだ開発が終わっていない段階であり、開発が終わると実戦配備されて発射訓練が行われる。従って、ついに固体燃料型のICBMが実戦配備されたことを意味する。

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コーヘン駐日イスラエル大使への SALTY単独インタビュー(1) ~ 明石清正 ~

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

(*動画は、下をご覧ください。)

 間もなく降誕節を迎える12月20日、イスラエル大使公邸にて、ギラッド・コーヘン大使に、ソルティーとしてインタビューをさせていただいた。イスラエルは、8日間に渡るハヌカー(神殿奉献祭)を終えたばかりであり、かつ、10月7日にハマスに拉致されたイスラエル人のご家族の訪日の日程を終えたばかりであった。

コーヘン大使と共に。論説委員の中川晴久氏(右)がインタビュー撮影

 我々ソルティーは、ハマスによる大虐殺を強く非難し、イスラエルを支持する立場をキリスト者として明確にしなければいけないということで、一致していた。ちょうどその時に、主筆の西岡力が、救う会の会長として大使に呼ばれ、翌朝の代々木公園での連帯を示すランニングに参加した(大使館のFacebook投稿)。そして私(明石)は、大使の主催された、日本の教会リーダーたちとの懇親会に招かれた。(同Facebook投稿)教会の牧師たちを招いたというのは、駐日イスラエル大使館が始まって以来、初めてということだ。何か、歴史的なものを感じる。

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【対談】西岡×中川「統一協会解散請求への疑義」1−中川晴久−

【 統一協会解散請求への疑義 】

 

    

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統一協会解散請求への疑義
中川晴久(東京キリスト教神学研究所幹事)・西岡 力(モラロジー道徳教育財団道徳科学研究所教授)
出所:月刊「正論」令和25年12月号

中川
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令を文化庁が東京地裁に請求しました。キリスト教の牧師としてここまでの政府の動きを見てきましたが、私は大変問題があると考えています。
政府が解散命令を請求した際、解散命令が認められない事態などまず通常は考えにくいのですが、それが成り立つのは正しい動機、正しい主張に基づいた請求である場合の話であって、今回はそうではない。
スイスのカトリック神学者、ハンス・キュンクが「半分の真実は半分の偽りである」と言っています。私が痛感するのは、明るみに出ていることの陰で、隠されていることが存在することです。もう半分の真実という、全く表に出ずに私たちには見えていない部分があって、皆が一面だけを見て物事が進んでいるように思えてなりません。
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例えば、今回の解散命令請求には、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が集めた証拠や裁判資料、知見の数々が使われています。「事実なので問題ない」という人もいるかもしれませんが、一民間団体、それも教団と長年敵対・対峙してきた組織の主張を政府が代弁し、情報も依存しているに近い。手続きの中立性という意味で大いに疑問です。
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西岡 私は恐怖すら覚えました。そもそも旧統一協会が解散されなければならない事情がいつ生まれたのか、が不可解です。旧統一協会には、相当以前からさまざまな批判があったが当時の国、文科省は一貫して「解散命令請求はできない」という立場を繰り返し示してきました。
岸田文雄内閣も昨年十月十四日にその立場を閣議決定しました。二〇一二年に文科省が解散命令請求をしないことは違法だとして全国弁連が国家賠償請求訴訟を起こしましたが、これも二〇一七年、東京地裁は訴えを棄却しています。にもかかわらず今回は請求に踏み切りました。
それは閣議決定のわずか五日後の昨年十月十九日に岸田首相が、その解散命令の根拠対象を刑事、刑法に違反した行為だけでなく、民法七〇九条の不法行為も含めると一晩で答弁を変えて広げたからで、そこから今日の事態につながっています。その時も私は恐怖を覚えましたが、そもそも、旧統一協会を宗教法人として解散させなければならない、一体どのような出来事や事情の変化があったでしょうか。

慰安婦の真実めぐる戦いは続く−西岡力−

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

慰安婦の真実めぐる戦いは続く

2023/11/21

ソウルで開催 学術シンポジウム

 慰安婦問題の真実を巡る激しい闘いが続いている。9月5日、ソウルで日韓の学者らが集まって学術シンポジウムを開いた。実証的研究をもとに「慰安婦は軍が管理した公娼(こうしょう)であって、強制連行された性奴隷ではない」との立場でシンポが韓国で開かれるのは史上初だった。私を含む日韓の参加者は「慰安婦のウソと戦う日韓真実勢力共同声明」を採択し、次のように主張した(一部略)。

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自衛隊明記の闘いから逃げてはならない−西岡力−

写真:大阪城・石垣の清掃 第36普通科連隊 2015年1月13日

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

自衛隊明記の闘いから逃げてはならない

 岸田文雄首相は、自身の任期内に憲法改正を実現すると繰り返し公言している。首相の自民党総裁としての任期は来年9月までだ。それまでに衆参両院の3分の2の賛成で憲法改正発議案を通し、国民投票を実施して過半数を得なければならない。残された時間は限られている。具体的にどの条文を改正するのか確定させるべき時が来ている。
自民党は、①自衛隊の存在の明記②緊急事態対応の強化③参院の合区解消④教育の充実―の4項目の改正案を提示している。岸田首相は最初の憲法改正発議に何を盛り込むのか明言しておらず、一部には与野党の議論が進展している緊急事態対応を先にすべきだという意見もある。それには賛成できない。自衛隊明記を絶対に外してはならない。

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