【統一協会問題】誤った情報で安倍元総理が殺され無理な解散請求へー中川晴久ー

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員

 

< はじめに >

日本政府は10月にも統一協会に対する宗教法人解散請求を裁判所に提出するといわれています。私もアンチの立場から25年の間観察してきた経緯もあり、この組織については関連記事をいくつか書いてきました。ただ、その中で日々思わされるのは、世間の風評と実態との乖離です。当初、紀藤正樹弁護士と日頃から親しい有田芳生氏、鈴木エイト氏、西田公昭教授などが、テレビに出演しこの問題を語っていました。私には一つのグループがそれぞれに一つの意見を言っているようにしか見えなかったのですが、さすがに別の角度からの議論も起こるだろうと思っていると、まるでブレーキがかかる気配すらなく、あれよあれよという間に話が1つの方向に進んでいくではありませんか。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会 (以下「全国弁連」)は政府に解散請求を出させたく世論を動かしたい意図は分かるのですが、普通はそこに両論併記や反対意見などの議論があって方向の修正や矯正がなされるものです。ところが、市場に出回っている情報は過度に一部が強調されすぎています。1つのグループの1つの意見のみが全体を覆っているように私には見えます。
 第二ヴァチカン公会議の神学者ハンス・キュンクの言葉を借りれば「半分の真理は半分の偽りでもある」のです。とくに宗教の問題にあっては、世相を騒がす芸能人や政治家のスキャンダルと同じような結果になってはなりません。もっと慎重を要するはずです。とくにこの問題は、安倍元総理が殺されたことに端を発して騒ぎが拡大したもので、安倍元総理の殺害に至るまでには、多くの誤情報が積み重なっていました。ですから今考えられている以上に根深い問題としてみる必要があります。

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「第7回 日本伝道会議」のAGT(分科会 31)を SALTY が担当します!

来週の9月19日(火)から、22日まで長良川国際会議場で開催される、「第7回 日本伝道会議」(JCE7)の AGT(分科会 31)をSALTY が担当します。

分科会 31  9月21日(木) 16:00〜17:30

『日本宣教へのパラダイムシフトを考える ~「日本宣教論」からの提言』

・主な内容
宣教師から伝えられた福音と福音宣教のアプローチ、また、日本の歴史や精神風土を顧みない宣教の姿勢は、再考すべき時が来ているのではないか?
「日本宣教論」からの提言をもとに、拉致問題、安全保障、国防、教育、福祉、社会保障、企業、教会などの現場への適応を考え、分かち合います。

開催形態: ハイブリッド方式(会場とオンライン)

主催団体名: 日本キリスト者オピニオンサイト SALTY

 

<前半> 16:00〜16:45

講師:後藤牧人(SALTY 顧問)

欧米キリスト教と日本の精神を見極める必要がある。 ―『日本宣教論』出版(2011 年)から13年目に語るー

<略歴>
日本ピニオンサイトSALTY顧問  ウェストミンスター神学校ThM(新約学) 聖光学院高等学校校元校長(福島県)  町田聖書キリスト教会牧師

<後半> 16:45〜17:30

講師:西岡力(SALTY 主筆)

日本民族性悪説と戦うことが日本宣教の鍵 ―日本人キリスト者は日本民族を徹底的に愛すべきー

<略歴>
日本ピニオンサイトSALTY主筆  麗澤大学 客員教授  救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長

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日本人キリスト者のできるイスラエル支援① ~明石清正~

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 

 5月28日から6月4日にかけて、参議院議員であり、キリスト教の牧師でもある金子道仁氏のイスラエル訪問に同行させていただきました。その中心的な目的は、「エルサレム祈祷朝餐会(Jerusalem Prayer Breakfast) 」と呼ばれるイベントに参加することです。そこは、イスラエルの国会議員や政府関係者と、世界中からの国会議員やキリスト教関係者が集まり、エルサレムの平和のために共に祈りを献げる、というものです。

 キリスト教の放送局による報道です。

 金子議員ご本人からも報告がありますので、下の動画二つをご覧ください。

イスラエルに行ってきました!イスラエル訪問報告① “日本人キリスト者のできるイスラエル支援① ~明石清正~” の続きを読む

<論評>統一協会問題:月刊『Hanada』7月号 福田ますみ『全国弁連のでっちあげ』‐中川晴久‐

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員

 

< はじめに >

月刊『Hanada』7月号に、ノンフィクション作家の福田ますみ氏の記事『被害者でっちあげ全国弁連の手口』が掲載されました。福田氏は、世界平和統一家庭連合(以下「統一協会」)の問題を扱うジャーナリストとして唯一核心部分をついてくれる人物なので、私も注目しています。
統一協会はキリスト教の「異端」ですから、当然キリスト者の方々は何らかでその被害報告を受けたり、脱会者と接する機会もあったりで、嫌悪感を抱く人がほとんどでしょう。その意味でも憎しみが膨らみやすくなるはずです。それを理解したうえで、繰り返し注意しなければならないのは、今起こっている事態を冷静に見て分析する必要もあるということです。そのためには、別の角度からの理解も重要です。福田氏の記事は統一協会側に寄り過ぎているきらいがあるのですが、本来見なければならない視点を持っています。
以下、福田ますみ氏による多くの問題提起を私なりに紹介したいと思います。
詳しくはぜひ『Hanada』7月号の購読をお願いします。

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アメリカのマルクス主義が日本に迫って来る!

写真:Amazon Kindle ストアの「American Marxism」

アメリカのマルクス主義が日本に迫って来る!

                SALTY寄稿者:アリマタヤのヨセフ

 今日本にアメリカから大きな「津波」が押し寄せてこようとしています。それは「アメリカン・マルキシズム」(アメリカのマルクス主義)です。私は、戦後日本のキリスト教会は左翼(思想)に侵食されているという危機感をずっと持って来ましたが、今はそれどころか、米国(とそのキリスト教)が大変なことになっています。アメリカのマルクス主義によって米国社会が分断させられようとしており、米国を形成してきたキリスト教(精神)も激しい攻撃にさらされています。米国で発生しているこの大激震による「赤い津波」が、この日本にも直ぐにやって来るでしょう。そして、「さざ波」はもうすでにやって来ています(LGBT運動など)。

 この問題を扱った本が、マーク・R・レヴィンの『アメリカン・マルキシズム』です。この書の解説(基本的主張の要約)をしつつ、我々はこれからどうしていくべきかについて考えたいと思います。この書は、現在アメリカを分断させようとしている諸問題の背後にあるものは何かを我々に理解させ、また今後予測される諸事態に我々がどう対処していけば良いかを示してくれる貴重な書です。

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教会形成とリーダーシップ -大橋秀夫-

写真:SALTY神戸宣教会議(4/11 発題:大橋秀夫牧師)

 

 

大橋秀夫
クライストコミュニティ顧問牧師

教会形成とリーダーシップ

1971年3月に東京から尼崎にやって来た。10人ほどの人々と共に開拓伝道のスタートを切って以来、私は教会形成とは何なのかを模索し続けてきた。それは「教会とは何か」を問い直す作業からはじまり、自分なりに再定義する作業でもあった。その結果として私なりにたどり着いた結論は、聖書の価値観に基づく共同体の形成がそれである。それは教会が単なる宗教的集団でないばかりか、信徒の集団でもないという認識から始まって、私の教会形成の方向づけを明確にしてくれた。

 実は、この段階で私はすでに自分が群れのリーダーシップを取っていることになるのだが、大方の牧師はそのことに気づいていないように思われる。それは何故かと言うと、リーダーシップを地位や立場、あるいは権威や力と結び付けて考えるからである。この傾向は日本の社会では殊の外強いようである。確かに、何らかの地位や立場を有する者にリーダーシップを求められることはあるのだが、しかし、実際のリーダーシップは、地位や立場とは関係ないのである。この点は、リーダーシップを学ぶ(理解する)うえで重要な基本である。

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日本民族性悪説と戦うことが日本宣教の鍵 −西岡力−

写真:新日本建設に関する詔書(「人間宣言」)
国立公文書館

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学客員教授)

日本民族性悪説と戦うことが日本宣教の鍵

―日本人キリスト者は日本民族を徹底的に愛すべきー

(2023年 4月10日 第1回「SALTY神戸宣教会議」主講演)

●戦後76年のうち46年めぐみさんらを助けられない

戦後、すなわちわが国が大東亜戦争に負けてから今年で78年になる。また、7年間の米軍の占領が終わり、わが国が主権を回復してから今年で71年だ。そして、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されたのが昭和52年、いまだに北朝鮮に抑留され続け抑留は今年で46年になる。戦後32年目、主権回復年25年目に13歳の少女がわが国領土から外国の工作員によって暴力的に拉致され、46年間も助けることが出来ていない。

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信仰の自由よりも、反政府を選ぶ教会 ~明石清正~

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 

改憲の緊急事態条項に「信仰の自由」が盛り込まれる

 維新と国民民主が、改憲の「緊急事態条項」の条文案を協議をしているというニュースが入っています。私が注目したのは、国民民主の、憲法審査会での配布資料です。

 ここに明確に「人権保障」とあり、「絶対に制限してはならない人権」の明記、とあります。①内心の自由とあり、次に「②内心における信仰の自由」とあるのです。信仰の自由が明記されています。

 日本国は、本当に信教の自由が保障されている国だと実感することが、時々あります。最近で言えば、緊急事態宣言を安倍首相が始めた時に、政府と地方自治体は、明確に、宗教の活動は制限の対象外としたことです。 “信仰の自由よりも、反政府を選ぶ教会 ~明石清正~” の続きを読む

本来語るべき統一協会問題 ~市議会は裁判で統一協会に負ける~ -中川晴久-

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員

< はじめに >

2022年7月8日、安倍晋三元総理が暗殺されて以降、統一協会問題は本来的なものでなく政治利用されてしまった。政治問題化する方向で世論が煽られ報道されていることに対して、私は当初より警鐘を鳴らしてきた。同時に、私は繰り返し「安倍元総理と統一協会は関係ない」と伝えてきた。事実、今に至るも憶測以上の何の証拠もでてきてない。統一協会と直接関係があったとすれば、トランプ氏が出るということで一緒に出演したビデオメッセージのみとなっている。しかし、時の経過は何が真実であったか、誰が真実を語っていたかを明らかにしてしまう。
私は統一協会と安倍元総理の双方をずっと見てきた。そのような者にとっては、ワイドショーが偏向した情報を発信し、世論が煽られ、それをワイドショーがさらに加速させている状況を見せられると、人々が真逆に全力疾走しているかのように思えてしまう。以下、統一協会問題として本来語られるべき事とこの問題のあるべき方向を確認したい。
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韓国政府の朝鮮人戦時労働問題解決案に対する歴史認識問題研究会声明 −西岡力−

 

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー道徳教育財団教授・麗澤大学客員教授

韓国政府の朝鮮人戦時労働問題解決案に対する歴史認識問題研究会声明
歴史認識問題研究会 会長 西岡力
2023年 1月27日
 
 2018年10月に韓国最高裁判所が、我が国企業に対して戦時中に雇用した元朝鮮人労働者への賠償金の支払いを命じる不当判決(以下「2018年判決」と称する)を下した。この異常事態を文在寅政権が放置したことが日韓関係を根底から揺さぶっている。尹錫悦政権は日韓関係の改善を公約に掲げ問題解決のため様々な努力をしてきた。

 1月12日に、政府傘下の財団が原告らに裁判で命じられた金額を肩代わりして支払うという案を公表した。韓国政府の責任で解決せよと求めてきた我が国政府の立場が受け入れられたものとして評価したい。しかし、韓国政府は我が国に対して「呼応措置」、即ち我が国からの財団への出資と謝罪を求めている。ここで我が国政府と当該企業が対応を誤ると大きな禍根を残す。

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