待った無し! キリスト教会の出版革命「電子書籍」 −井草晋一−

 

井草晋一
ピヨ バイブル ミニストリーズ  代表
Piyo ePub Communications  代表
『SALTY』編集長

電子書籍の時代、到来!!

 現代は、iOS 搭載の iPhone や iPad、また、Google の Android OS 搭載の各種メーカーのスマホやタブレットで様々な「電子書籍」が読める時代になってきました。もちろん、Mac や Windows パソコンでも。
皆様の中には、すでに電子書籍の出版サイトから漫画や小説、専門書、週刊誌や月刊誌、写真集などのグラビア誌を購入して読んでおられる方も大勢おられると思います。

 私は、キリスト教文書や書籍の「電子書籍」の必要性を実感し、2010年から自分自身で「動画入り」も含めて、いくつかの電子書籍を作成し、<ePubs.jp>という電子書籍の無料投稿サイトにアップしていました。(現在は、終了)
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1005/19/news097.html

また、「気軽に楽しめる高品質の電子書籍をすべての人に!」を標語(スローガン)に、2011年10月5日に「Piyo ePub Communications」を設立し、様々な電子書籍を作成して、ホームページなどで無料配信してきました。

 2015年3月に32年間の地域教会での牧師としての働きを終え、同年4月から宣教団体「ピヨ バイブル ミニストリーズ」を設立したことも一つの契機として、一般の電子書籍の配信会社で「セルフパブリッシング」が可能なサイトから、2016年8月以降「Piyo ePub Books(ピヨ イーパブ ブックス)」として、近放伝(近畿福音放送伝道協力会)の書籍や牧師の先生方の著書を「電子書籍」として制作し、出版しています。

●「セルパブリッシング」の出版サイト(5社)
・Apple iTunes Store(iBooks)
・Amazon Kindle ストア
・楽天ブックス(Kobo)
・Book☆Walker(角川・他)
・Google Play ブックス

一例を挙げますと、Amazon Kindle ストア では、以下の書籍を配信(販売)しています。

● Amazon Kindle ストア(Piyo ePub Books)
https://amzn.to/2IIkhVv

 日本でも2013年以降、Apple iBook Store や、Amazon Kindle ストア がスタートして、一般の電子書籍の出版社だけでなく、個人としても自分自身で制作した「電子書籍」を、「セルフパブリッシング」として出版できるようになったことは、喜ばしいことです。

現在、上記の5社で、出版が可能です。

 

日本のキリスト教会(教界)の「電子書籍」の現実

 だだし、日本のキリスト教会(教界)では、まだまだ「電子書籍」の普及が遅れている現状があります。一般の出版社からはキリスト教関係の書籍の印刷本出版と同時に電子書籍としても出版(配信)されています。
けれども、本当に聖書に忠実な、いわゆる聖書信仰、福音的な「キリスト教文書・書籍」の電子書籍はまだまだ数が少なく、「いのちのことば社」の書籍においても、45冊ほどが Amazon Kindle ストアから出版されている現状です。
(2018年4月1日 現在)
<Amazon Kindle Store :「いのちのことば社」>
https://amzn.to/2GNfaad

 この原因の一つには、「電子書籍化」を一般の「電子書籍の制作会社」に依頼すると、結構大きなコストがかかり、また、クリスチャンや世の中の人々の中でキリスト教関係の電子書籍を読まれる方が、まだ非常に少なく、キリスト教出版社としても、電子書籍の編集、制作、出版に要した「経費」もなかなか回収できないという現実もあります。
印刷本の場合は、そのコストとして、著作への原稿料、編集・校正費・レイアウト費、写真・イラストの制作費、製版費、印刷費、製本費、発送・運送費、書店での委託・販売手数料、等々がありますが、「電子書籍」の場合は、前半の「原稿料、編集・校正費・レイアウト費、写真・イラストの制作費」は、同等にかかります。
それとともに、「電子書籍の制作会社」に依頼する場合は、「電子書籍の制作費用」として、あらためて「編集・校正費・レイアウト費」と、「電子書籍作成費、出版サイトへの投稿費」などが必要となります。

 そして、「セルフパブリッシング」が可能な電子書籍出版サイトでは、電子書籍の販売定価の 65%〜50%はそのサイト運営会社に支払うことになりますので、電子書籍をアップした著者、あるいは、キリスト教出版社には、ロイヤリティとして、35%〜50%(Apple の場合や、Amazon の独占販売に設定した時には70%)が収益(印税)として入ることになります。
多くの場合、印刷本で250ページ相当の「電子書籍」であっても、「セルフパブリッシング」での出版の場合は、100円〜300円程度で価格設定しますので、キリスト教会・一般でのわずかな「電子書籍購入者」という<現在>の状況下では、電子書籍の出版会社に次々と新しい「キリスト教書籍」の電子書籍制作と配信を依頼することが難しいのが現実です。

 このような状況では、<キリスト教出版社、また、牧師やクリスチャンの兄弟姉妹自らが「電子書籍の制作と出版」を「安価な方法」で行う以外には道は無い>と言えましょう。

 これから、『SALTY』の「電子書籍の制作・配信」のコーナーで、「安価にできる電子書籍の制作と配信」についても、順次、私の執筆記事や参考となる情報などを用いてご紹介してまいります。

 

日本の「キリスト教会の電子書籍 元年」のビジョン実現のために

 日本では、2012年7月に「東京ビックサイト」で開催された「国際ブックフェア」での電子書籍の国際セミナー(国際電子出版フォーラム:IDPF)で、「日本の電子書籍 元年」と語られていました。

 それから、ちょうど7年。
日本の「キリスト教会の電子書籍 元年」の思いとビジョンで、2018年の今年に期待しています。

 以下の記事は、「Piyo ePub Communications」の公式ホームページ『電子書籍の広場』のブログにアップした記事です。

「電子書籍」について、その国際規格や2012年の「日本における『電子書籍 元年』」とその後について参考となる、とても重要な内容ですのでご紹介いたします。

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「IDPFコンファレンス」に参加して

 2012年7月14日(記載日)

 東京ビッグサイトでの「国際電子出版 EXPO」の「国際電子出版(IDPF)フォーラム」、国際講演と「IDPFコンファレンス」に参加して来ました。

<東京国際ブックフェア:公式サイト>
http://www.bookfair.jp/ja/

 高崎市の実家(母:85歳)での生け垣の剪定と、7/4(水)の「IDPFコンファレンス」を終えての深夜の帰宅で、ちょっとハードな二日間(7/3〜7/4)でした。
東京ビッグサイトでは、7/5(木)からが「東京国際ブックフェア」開催です。
9:30AM から秋篠宮ご夫妻を迎えて「大テープカット」があると「IDPFコンファレンス」の会場でも案内がありました。
(TVのニュースでご覧になった方もおありでしょう。)
ビジョンと可能性のある所には、積極的な取り組みがあり、新たな活力が生まれていることを実感しました。

<日本経済新聞>
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK04021_U2A700C1000000/

7月4日(水)に行われた、「IDPF コンンファレンス」の実践事例を中心に概要を記します。
今後の教会やキリスト教会全体、キリスト者としての文書伝道の新たな可能性について、ご参考になれば幸いです。
また、電子書籍(ePub 3)の発展に貢献されている皆様のお働きの祝福を祈ります。

 

*以下の内容は、インターネットや電子書籍に関する、専門的(技術/企業戦略など)な内容もありますので、あまり興味のない方は、<パス>してください。

■グーテンベルクにより最初に聖書が印刷された出版革命によって宗教改革が起きたように、電子書籍による新たな出版革命により、聖書や信仰書、証し、メッセージ集などの電子書籍の出版を通して、「第二の宗教改革」=「初代教会の復元」が始まるでしょう。


* 7/4(水)の午後の講演会<カンファレンス(3)>の冒頭で、田代 豊 氏 [(株)集英社 デジタル事業部 部長代理] は、「グーテンベルクにより最初に聖書が印刷され聖書が家で読めるようになり、その結果、宗教改革につながり社会の大変革が起きましたが、同様の変化が、今、起きていることを痛感している。」と「Conference 3」の冒頭で触れておられました。

■<<コンファレンスでのポイント、関係者の見解>>■

● 昨年(2011年)の10月に制定された、に日本語(縦書き、ルビ、禁則処理、他)などのアジア言語に対応した、電子書籍のフォーマット「ePub3」(マルチメディア対応)が、今後、日本の電子書籍の「標準」となっていく。

1. 2012年が電子書籍(ePub3)の<元年>となる。

2. Sony、楽天、その他、各出版社も、ePub3 で対応。

3. 楽天では、7月末から電子書籍の端末、「kobo」を販売。(カナダの kobo社と資本提携)世界最大級の「kobo イーブックストア」をオープン予定。

4. Sony は、2008年より ePub2 対応リーダーを世界に先駆けて販売に取り組み、2009年には ePub2 に全面切替し、ePub2 の成熟に貢献した。(海外で標準となった)
なぜ Sony は、自社の電子書籍のフォーマットを捨ててまで、ePub2;3 なのか ?
—> WEB技術を採用したオープンスタンダードであるから。
( 電子書籍用端末:Reader;  携帯:XPERIA;  タブレット:Sony Tabret)

5. PC(パソコン)で電子書籍が読めるアプリ(Google Chrome、など)は幾つかあるが、「Readium」を今後、オープンスタンダードとして推進していく。
<参考>
http://www.publickey1.jp/blog/12/epub_3readium.html

http://readium.org/

6. 講談社など、各出版社は、今後新規書籍などの出版については、「紙」と「電子書籍」の出版を同時並行的に行う。(相互補完的)

7. 売り上げベースでは、4〜5年前に電子辞書が紙の辞書を抜いた。

8.日本からは、アニメ(マンガ)が電子書籍の形でます最初に、世界に配信(輸出)されて来たが、日本の文学レベルの高さ、また、日本の文学レベルを全世界に輸出できる、千載一遇のチャンスである。

9. 電子書籍のマーケットの拡大は、コンテンツの中身(内容と質)が大切。
有料コンテンツの十分な<つくり込み>が必要。
電子書籍は誰でも作れ、配信できるというメリットがあるが、コンテンツに対して「対価」を払い、コンテンツが売れる仕組み、お金が回る仕組みが必要。

10. 電子書籍の読者(一般消費者)にとっては、ePub3 などのフォーマットは、まったく関係がない。
(無関心) それゆえ、中身が大切。
すばらしい技術は、読者(使用者)に技術を意識させなくなるもの。(例:自動車)
面白いコンテンツ、面白い小説、面白い本などの電子書籍(ePub)の出版が重要。

11. 通商産業省は、書物などの早急なデジタル化を推進している。

12. Apple は ePub の推進を担って来たが、改めて Apple に ePub3 の推進の中核を担ってもらいたい。(質問/要望)

< IDPF事務局長:ビル・マッコイ氏の返答>
Apple は、現在もアクティブなメンバー。
昨年の10月末にePub3 形式が決まった時には、すでにアップルは、教師が授業で使う独自の教材を作り上げることができる Mac用エプイン “iBookのオーサー(iBooks Author)を公開していた。(独自に拡張した iBook 形式を使用。)
今後も、更なる協力関係を進めていく。

 

以上です。

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● 出典・『電子書籍の広場』より

http://piyo-epub.com/blog-2/files/312ef81f6a0bf0a7cc11b481252ccf04-6.html