高槻・Ukon:第16回
久保田 Ukon 典彦
阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰
皆の衆、大日を信じなされ!
● フランシスコ ・ ザビエルが 宣教師として、キリスト教的基盤の一切ない 日本の国にやって来て、それまで 人々が 聞いたことのないような、キリスト教の 神や信仰を伝えていったわけですから、その大変さは、私たちの想像を はるかに超えたものだったことでしょう。
日本人に 日本語で キリスト教を伝えていくために、パウロ弥次郎という よき協力者を得たわけですが、弥次郎の 宗教的基盤は、仏教の 真言宗でしたし、それ以外に 日本語としての キリスト教用語なんて ないわけですから、既成の言葉の中で、最も近い意味の言葉を選んでいくしかありません。
● 神の概念のためには 「 大日 」 「 ほとけ 」。
人間の霊魂は 「 たましい 」。しかし、日本語の 「 たましい 」 には、動物と植物との 生命の本質的な相違が表わされてはいませんので、仏教の 輪廻 ( りんね ) 説に陥る危険がありました。
死後に行く所は、「 極楽 」 「 地獄 」 でしたし、天使たちは 「 天人 」でした。神父たちも 「 僧 」 と言われ、その説く教えは 「 仏法 」 と呼ばれました。
たとえば、こんな感じで、人々に 語っていったのでしょうか?
「 皆の衆。
大日を信じなされ。そうすれば、たましいは救われ、極楽に行くことが出来ます。そうでなければ、地獄に行くことになります。私たち、キリスト教の僧侶が説いている この仏法を、しっかりと信じなされ。」
多くの聴衆にとって、この新しい宗教は、天竺 ( インド ) から来た仏教の 新しい宗派のように思えたのでした。
山口の領主 ・ 大内義長が、1552年に、山口市内の 大道寺の土地を教会に寄付した時も、その譲渡状には、
「 仏法紹隆のため 西域より来朝の僧 」 に、この寺を建てる許可を与えていったのでした。
● こうした言葉を使って、長い間 ( 6年間位 )、キリスト教が伝えられていったのですが、
宣教師たちが、その誤謬(ごびゅう)に気づき、問題を痛切に感じていった時の驚きは、相当なもので、ガーゴ神父によって、「 大改革 」 がなされていきました。
「 われわれも長い間、この言葉を使って 真理について説教してきたが、私は、この言葉に注意を引かれた時、すぐ 変えることにした。
というのは、真理を説くに当たって、誤謬と虚偽の言葉を使うならば全く間違った意味が生じるからである。こうして 彼らにとって、有害だと気づくような言葉は 五十以上ある。
それらは、われわれの固有な ポルトガルの言葉で彼らに教える。
やはり、新しい事柄なので、当然、新しい言葉が必要である。
その上、彼らの言葉は、われわれが説いていることとは、全く違う意味を持っている。」
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● 写真:「2019年の初日の出(高槻城跡公園・高山右近像)」
撮影:久保田典彦
[参考図書] 「キリシタンの心」(チースリク・著)
久保田 Ukon 典彦
阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰
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「髙山右近研究」をライフワークにしています。
髙山右近やキリシタン達を通して、いっしょに考えていければと思います。