聖書から「時」を視る −明石清正−

写真:ガセム・ソレイマニ司令官(Wikipedia より)

 

 

明石清正
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  論説委員

聖書から「時」を視る

〜ゴーンの逃げた中東で、百倍大きなニュースが年末年始に登場〜

 年始に、日本ではゴーン氏のレバノン逃亡という大きなニュースが飛んできましたが、同じく中東では、おそらくこちらのほうが世界を駆け巡っていますが、どでかいニュースが三つです。

①「トルコ国会、リビア派兵を承認 トランプ氏「介入」をけん制」
https://www.afpbb.com/articles/-/3261935

 シリア側の国境地域に去年10月から侵攻して、クルド人とシリア人キリスト教少数派を事実上、民族浄化したトルコですが、その野心は明らかに、過去のオスマン・トルコの栄光へのしがみつき、復興があります。ついに、リビア内戦に派兵し、介入しようとしています。既に介入しているロシアとは、対立する勢力を支援することになります。しかし、シリアでそうであってように、ロシアと協調行動に出ると思われます。

 エゼキエル38章には、ゴメルやベテ・トガルマは今のトルコ領にあるとされており、「ゴグ」自身は、かつての西トルコにあったリュディア王からその名が来ています。そして、マゴグはロシア南部、「プテ」はリビアなのです。リビアがついに、トルコやロシア絡みでニュースに登場するようになりました。

②「イスラエルなど3国 ガスパイプライン建設で合意 トルコは反発」
https://www3.nhk.or.jp/n…/html/20200103/k10012234631000.html

 トルコはその全域を地中海を含めて覇権を広げる野望を持っていて、地中海の対岸にあるリビアへの派兵はその目論見の一環ですが、かねてから地中海沖合に天然ガスを発見していたイスラエルは、なんと、ギリシャとキプロスとの三か国で、ガスパイプラインの建設を合意しました。

 イスラエルは、エゼキエル38章で、「家畜と財産を所有した民に向かって手を伸ばす」「銀や金を運び去り」とあり、豊かにされているイスラエルの財を奪うために、周縁にある国々が攻め入ってくるのです。イスラエルがますます豊かになっています。

 それから、こんなニュースも入っています。

「イスラエルの人口は 914万人に」(オリーブ山便り)
http://mtolive.blog.fc2.com/blog-entry-2053.html

「・・・周辺治安情勢は緊張しているが、イスラエルの人口は2018年から1.9%増加して914万人となった。うち、ユダヤ人は、74.1%の677万人。アラブ人は、21%で191万人。・・・」
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/274021

 日本では人口減少の深刻な問題があるのですが、イスラエルは増加し続けています。その理由は子だくさんというのもありますが、何よりも今も世界からユダヤ人が帰還しているからです。エゼキエル36章には、約束の地に戻ってきたユダヤ人に、子供が減ることはないという約束があります。

③米、イラン革命防衛隊幹部の殺害発表 トランプ大統領が指示
https://www.cnn.co.jp/world/35147567.html

 これは、メガトン級にどでかいニュースでしょう。日本ではイランについて、親日国でもあり、アメリカとイランを同列に見る傾向がありますが、中東では国際テロリズムの指揮者であり、資金支援者であり、その全域に大きな不安定要素を造っている国として、イスラエルだけでなく、アラブ諸国が非常に警戒しています。イスラエルは、事あらば、シリアにあるイラン関連の軍事施設に空爆して、水面下の激しい攻防戦を繰り広げていました。

 アメリカとイランの衝突は、ペルシア湾のホルムズ海峡を巡って、軍事ドローンをイランが撃ったというものがあったり、日本も、安倍首相がイラン訪問している最中に、船舶にミサイルが打たれたとか、巻き込まれましたが、アメリカは、同盟国サウジの石油施設が、イランからのミサイルで撃たれたのに、反撃しませんでした。

 イランは、シェア元の記事にあるように、勢いを失うことなく、国内では民衆のデモが盛んに行われていたのに、それらを弾圧し、テロを拡散していました。

イラクには、シリアと同じように軍事拠点が既にあり、いろいろな攻撃をしていましたが、イラク人の反政府デモにどさくさ紛れに、シーア派の民兵組織が、在イラクの米大使館を襲撃しました。その指揮も、今回暗殺されたソレイマニ司令官によるものです。

 過去に、米大使館を襲撃して、イスラム革命が起こったし、リビアのベンガジにある大使館が襲撃されて、米大使が殺されたという、あまりにも痛い事件を許してはならないとのことで、米軍部隊を派遣し食い止めましたが、その指揮者を今回、これからも続ける蓋然性が極めて高いため、予防的措置として先制攻撃をした、ということです。

 反政府デモをしていたイラク市民は、この殺害を喜び踊り、自国の国旗を掲げながら行進しています。自国へのイランの介入に対しても、彼らは強い不満を持っていたのです。
https://twitter.com/IiyamaAkari/status/1212921767481626624

ある専門家は、「ソレイマニは、アルカイダのビンラディンよりも、ヒズボラのムグニヤよりも、イスラム国のバグダディよりも、もっと大物なのだ」と言っています。

 イランの最高指導者はハメネイ氏です。
ロハウニ大統領がメディアではよく出てくるのですが、イランではその宗教指導者が最も権力を持っていて、彼は革命防衛隊という直属の軍隊を、イランの国軍とは別に持っており、いわば正規の戦争ではなく、特殊作戦を中心的に行っているところであり、革命防衛隊こそが、テロリズムを世界に拡散させている張本人だということです。

 その司令官を、公然と暗殺したのですから、すごいことで、世界が驚きをもって受け止めています。ちなみに、ソレイマニは、対米テロ戦を現在進行形で指揮していた工作員であり、米軍は合法的にイラク国内で活動していて、自らテロ対象になっていたので、ピンポイントで殺害したということで、国際法的には、まったくの合法です。

 旧約聖書のエゼキエル書38章では、イランはペルシアとして登場します。