キリスト教信者から見た旧統一協会問題 −西岡力−

 

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
歴史認識問題研究会会長・国基研企画委員兼研究員
モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授

キリスト教信者から見た旧統一協会問題

2022.10.31 (月)

 私事で恐縮だが、私はキリスト教信者だ。その中でも新旧約聖書は間違いのない神の言葉であり信仰と生活の唯一の規範だと信じるプロテスタント福音派だ。
イエスは処女マリアから生まれ、死人を生き返らせ、十字架で処刑された3日後に復活した、などと聖書に書かれている超自然的な内容をそのまま信じている。

 キリスト教の立場からすると、文鮮明を救い主だと教える旧統一協会の教えは到底受け入れられない。また、日本人は朝鮮支配の原罪があるから韓国に仕えなければならないとする旧統一協会の反日思想に対して、私は日韓関係研究者として歴史的事実に反すると人生をかけて反論してきた。

 我が国にはカトリックとプロテスタントを合わせ100万人程度のキリスト教信者がいる。だから、1億2000万人の全人口からすると、100人に1人のごく少数だ。毎週日曜日に教会に集まり神への礼拝を行い、少なくない金額の献金もしている。これらすべては自発的に行っていることだ。信じている内容も行っている行動も、大多数の日本人とはかなり異なっていることを自覚している。その立場から、政府と国会が現在進めている旧統一協会への対応に恐怖を感じている。

●信教の自由が侵される

 なぜなら、信教の自由という憲法で保障されている大原則によってこれまでできないとされてきたことが、次々とできることにされているからだ。

 岸田文雄首相は、宗教法人解散の要件は「刑法の不法行為」(刑事犯罪)だけとしてきた従来の立場を突然変更して、「民法の不法行為」も含まれると国会答弁を修正した。過去に宗教法人の解散命令は2件出されている。地下鉄サリン事件のオウム真理教と霊感商法詐欺事件の明覚寺だが、両者とも代表役員が刑事罰を受けている。

 しかし、旧統一協会の幹部が刑事罰を受けたことはない。文科省は首相の突然の立場変更を受けて、解散命令を視野に入れた質問権行使の準備をやはり突然開始した。
その上、国会では与野党が旧統一協会被害者を救済することを目的にして、本人に代わって家族などが献金を取り戻せるようにする新法を制定する協議を行っている。

●宗教的少数派が感じる恐怖

 これらが突然実行される理由は、世論の変化とそれに伴う岸田政権の支持率低下だ。ではなぜ世論が旧統一協会に急に批判的になったのか。誰が見ても許しがたい被害事例が最近明らかになったからではない。安倍晋三元首相へのテロ犯人が20年ほど前に母親の多額の献金によって生活が苦しくなったことで旧統一協会を恨んでいたという情報が奈良県警からリークされた後、ワイドショーを中心とするマスコミが旧統一協会たたきを始めたことが契機になったのだ。

 世論が変われば憲法に定められた信教の自由、私有財産処分の自由などの枠組みがいとも簡単に崩れていく。多数派の日本人とはかなり異なる少数派の信仰を持つ私は、それを目撃して、その矛先がいつ私たちに向くかもしれないという恐怖を感じるのだ。(了)

JINF:国家基本問題研究所
2022.10.31 (月) 掲載記事より

中国キリスト教の躍進に学ぶ(1)−亀井俊博−

・写真:ネコヤナギの花

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「中国キリスト教の躍進に学ぶ」(第1回)

<第1回>
・3回の連載で掲載いたします。(SALTY編集部)

(A)中国キリスト教の躍進に学ぶ

 “戦前の中国のキリスト教徒は、ライス・クリスチャンと呼ばれ、宣教師がお米をくれるから教会に来ていた。だから今は無神論の共産党支配になってしまい、教会は消滅したと思う”、わたしが半世紀も前に戦前の中国の教会を知る先輩牧師からお聞きした話です。

 しかしこの予測は見事に裏切られました。2025年、中国キリスト者数は1億6千万人を数え、2030年には2億4・7千万人に成長し、アメリカを抜き世界一のキリスト教人口になると予測されると言う(Fenggang Yang、米国バーデユ大学教授)。

 そこで危機感を抱いた中国政府は、強力な規制をキリスト教にかけていると言う。わたしはこの奇跡的な現象に関心を抱き、さらには省みて日本のキリスト教不振に比べて、中国キリスト教から学ぶべき事がないか、牧師として切実な思いを持っていました。

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変わりゆく世界の教会と変わらない日本の教会(2)− 大橋秀夫 −

・写真:秋の花_エルサレムアーティチョーク

● 3回の連載:<第2回>

 

 

大橋秀夫
「日本教会成長研究所」
(現、JCGIネットワーク)
コメンテイーター、理事、全国講師
日本福音自由教会
クライスト・コミュニティ教会 顧問牧師

 

変わりゆく世界の教会と変わらない日本の教会(2)

—–> <前回、1. 聖書の読み方が変わった  より続く>

2. 教会の構造が変わった

 宗教改革が打ち立てた大きな三つの原則は「聖書のみ・恵みと信仰のみ・信者のみ」で、これには変りはありません。しかし、いわゆる「信者のみ」に基づく万人祭司に基づく教会の構造的な変化が世界中で起こりつつあるのです。

 宗教改革者 マルティン・ルターがこだわったのは、恵みと信仰による救いでした。反対に彼がほとんど関心を示さなかったのは、当時のカトリック教会の礼拝儀式です。彼は「礼拝の儀式などは、福音に反しない限りどちらでもよいこと」(アディアフォラ)として儀式の多くを残してしまったのです。

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平成の天皇 明仁陛下のご譲位、並びに、新天皇 徳仁陛下のご即位を心よりお喜び申し上げます。

平成の天皇 明仁陛下のご譲位、並びに、
新天皇 徳仁陛下のご即位を心よりお喜び申し上げます。


平成の天皇明仁陛下と美智子皇后陛下に心より感謝申し上げます。

31年間、国民に寄り添い共に歩まれた両陛下の足跡は、国民の心に刻まれ、譲位された後も幾多の慰めと喜びとともに思い起こされることでしょう。

憲法の定める国民統合の象徴としての天皇皇后両陛下のご公務とお働きは、国民の様々な宗教的背景や信条、立場の違いを超えさせ、日本国民としての一致と一体感をより強固になさしめるものです。

皇室を戴く私たちの国日本は、「和」の文化の継承において、世界の人々と共に生きる喜びをもたらし、受け継がれてきた「武」の精神は、文字通り鉾(戈)を止めるという意味合いにおいて、世界平和の成就に貢献していくことでしょう。

また、皇室の悠久の歴史と伝統の中に伝えられてきた「愛されたごとくに人を愛する」という永遠の命令に、全身全霊をもって仕えて来られた歴代の天皇皇后両陛下のお姿は、人々の心を慰め和らがせる祭司の姿そのものと言えましょう。

私たち日本国民は、尊敬と敬意をもって新たな天皇徳仁陛下のご即位を喜び、令和の時代を共に歩みたいと念願いたします。

新天皇 徳仁陛下と雅子皇后陛下のこれからのご公務とお働きの上に、また、皇室の皆様の上に、神様からの豊かな慈しみと守りがありますようにと、心よりお祈り申し上げます。

令和 元年(2019年)5月1日
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-
 代 表:後藤献児朗
 主 筆:西岡 力
 編集長:井草晋一
 編集会議・論説委員一同

 

(*写真:宮内庁ホームページより)