井草晋一
日本キリスト者オピニオンサイト −SALTY− 編集長
■ 『統一朝鮮』の危機に備える ■
5月〜6月に予定されている、アメリカのドナルド・トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による「米朝首脳会談」ですが、今後の朝鮮半島情勢において、近未来的にいくつかの可能性が浮かび上がってきます。
● 北朝鮮問題の近未来 とは?
1. 北朝鮮が核兵器とICBM の完全放棄に向けての国際的検証可能なアプローチを、金正恩体制の承認と経済的援助の確約の元に行っていく。また、「拉致被害者を、完全に祖国に返す」ことを北朝鮮政権が確約し、実行に移す。
2. 米軍と有志連合による、北朝鮮の政権中枢、核施設、ミサイル基地、軍事施設への限定的空爆や地上軍の派遣によって、現北朝鮮体制を崩壊させ、その上での<戦後処理>に当たる。(中国、ソ連も含めて?)
3. 「平和」「南北朝鮮の統一」の美名の元に、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権との連携から連帯、そして、「核を持ったままでの<インドやパキスタンと同様な形>での国際社会への復帰も不可能ではない」と国際社会に思わせた上での『統一北朝鮮』の出現。
以上の可能性の中で<3番目の選択肢>は、日本の、また世界の「政治的・倫理的リベラル」な人々や、そのような立場の国々の指導者が、また、東アジア北部での<覇権>を手に入れようとしている「二カ国」の首脳が思い描いているものかもしれません。
この3番目の可能性は、私自身はそうならないようにと願いますが、これは、「最も危険な可能性」として、厳然と存在しているのではないかと推察します。
ヨーロッパの、また、当時の世界経済の牽引国の西ドイツがまさに全責任を負う形での「東西ドイツの統一」とは全く違った<現実>が朝鮮半島には存在し、言ってみれば「力:核兵器」による、南北朝鮮の「平和的?統一」ということになります。
その意味では、もしこのことが進むと、「歴史上の悲劇、惨劇」そのものとなるのです。
●「本当の歴史修正主義者とは誰なのか?」
日本では中国などの見解も引き合いに出して「歴史修正主義」という言葉が、戦前、戦中、戦後の歴史的事実を見直そうという動きや考え方の人々(これは、本来、政治的な左派、右派の問題ではないのですが・・・)に対して貼る、レッテルのように使われています。
もし、上記の「3番目の選択肢」に対して、僅かなりとも支持したり、共感する者があるとするなら、これこそ、まさに「歴史修正主義」の最たるものといえましょう。
第二次大戦以後の国際秩序の基となった、「ヤルタ体制」や「国際連合の精神」「戦後の国境線」を「守れ」!!と主張する人々は、今一方の最重要事項、「核兵器保有国」は、五カ国に制限して「核兵器の拡散防止」に国際社会として勤めること、に対しては、どのような見解を表明するのでしょうか?
また、「クリミア半島の併合」した国、「南シナ海の岩礁での軍事基地化」や「歴史的事実とは異なる、尖閣諸島の領有」を主張し、北朝鮮の核開発を黙認してきた国、すなわち、これらの国連の常任理事国こそ、「歴史修正主義」と言わざるを得ないでしょう。
● 厳しい選択をせまられる日本
「3番目の可能性」は、日本にとって、また、米国にとっても非常に厳しい対応を迫られることになります。日本の防衛ラインを、沖縄県の西側から、尖閣諸島の排他的経済水域、対馬列島、そして、北海道の北端から北方領土の手前までに引きなおさなければならず、また、その対応に莫大な「防衛予算」が求められます。
「第3の可能性」が現実のものとなった時には、現在の在韓米軍は撤収し、沖縄での米軍の配備状況は縮小することになりましょう。
「日本は、自らの国は、自ら守りなさい。」、ということで。
私たち国民は、本当にこのようなことを理解した上で、一部のメディアやニュースに取り上げられている人々(一部のキリスト者も含めて)と同様に、「平和」を叫び、国民から付託されている現政権の外交問題、防衛問題の諸政策を批判(糾弾?)するのでしょうか?
もはや、与えられた時間は少なくなっています。
「平和安全法制関連二法」や「テロ等準備材処罰法」の精神に則った運用の元に、最低限必要な憲法改正(9条2項問題)をする中で、日本は備えていかなければなりません。まさに「核兵器不拡散」の戦後秩序が崩壊する危機に直面している国際社会です。
「3番目の可能性」が現実となることは、戦後の国際秩序の完全な崩壊を意味することであり、「使えない兵器」であるにかかわらず、「日本の核兵器開発・保持の可能性」さえ公の議論に登場することになります。
1番目、もしくは、最悪・2番目の解決か、全く異なった<人知を超えた、第三の解決>を真剣に願い求めるとともに、「3番目の可能性」を前に、日本として、国民あげて「備え」を進めて行きたいと切に願います。
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(注):
韓国には、30〜40%のクリスチャン、並びに、信仰的にも人格的にも、また、政治や社会、韓国軍のそれぞれの責任ある場に遣わされた大勢の優れたキリスト者、指導者がおられることを知っています。また、平壌のリバイバル以降、現在の北朝鮮にも多く神の僕、真実なキリスト者が人目につかないところで、歩んでおられることを聞いています。
上述の一文は、政治や地政学上の、また、現存の「政権」の動向を踏まえた、「政治体制」の変動とその近未来についての所感ですので、そのように理解していただければ、幸いです。