韓国保守の極右化を憂う −西岡力−

写真:韓国 国会議事堂(Wikipedia より)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

韓国保守の極右化を憂う

 

 ■世界にはびこる自民族優先主義
 韓国で極右勢力が保守野党を乗っ取った。
 私は、昨年12月3日の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による戒厳令宣布から始まった激動により、韓国政治の座標軸が右に寄り、右翼全体主義勢力、極右勢力が出現したと主張してきた。

 ついに国会300議席のうち100超の議席を持つ保守野党「国民の力」の代表に、尹氏弾劾に反対し不正選挙陰謀論を擁護する極右候補、張東赫(チャンドンヒョク)氏が選ばれた。

 一方、与党「共に民主党」の代表には過激な左派である鄭清来(チョンチョンネ)氏が選ばれた。鄭氏は「国民の力」を尹氏による内乱に加担した非民主主義政党とし、憲法に基づき解散させるべきだと主張している。「国民の力」が極右に乗っ取られた結果、政党解散要件を自ら準備した結果になったと、常識的保守の代表である趙甲済(チョガプチェ)氏は語っている

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「血肉に対する戦いではなく」論 −アリマタヤのヨセフ−

写真:ギリシャ正教会(カペナウム)

「血肉に対する戦いではなく」論

アリマタヤのヨセフ

終戦80周年の年です。
戦争やキリスト教弾圧について考える大事な節目でしょう。

「キリスト教弾圧記念集会」のような集会に行くと(あるいは動画等で見ると)感じることですが、戦前戦中迫害されたのはキリスト教だけのような妙な錯覚にとらわれます。例えばホーリネス教会だけが悲劇の主人公で、≪キリスト教VS天皇制&国家≫という構図だけで世の中が動いているような錯覚にはまり込み、他が見えなくなってしまいがちです。

しかし「カメラのズーム」を引いて見てみると、弾圧されたのは先ずは共産党でした(「治安維持法」というのは、そもそも共産党対策だったのです)。その法律が徐々に「拡大解釈」され、宗教もターゲットになって行ったのです。「大本教」の弾圧は規模も大きくかなりひどいものでした。「ひとの道教団」(PL教団)も「灯台社」(「エホバの証人」の前身)もやられました。そしてキリスト教は最後の方で、特に再臨を強調するホーリネス系やブラザレン系の教会が弾圧されたのです(他のキリスト教会は情けないことに「妥協」しています)。

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信教の自由の観点から旧統一協会の解散命令請求に反対します-田口 望-

※絵画(サムネイル)は、ポール・アレクサンダー・アルフレッド・リロイ作 『ハマンとモルデカイ』

田口望

 

 

田口 望
我孫子バプテスト教会牧師

 

信教の自由の観点から旧統一協会の解散命令請求に反対します

世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会、以下「旧統一協会」という)に対する解散命令請求に関して、私は信教の自由の立場から反対します。こう表明すると、旧統一協会を擁護しているかのように誤解され、陰で「壺牧師」などと揶揄されるかもしれません。キリスト教メディアを含め、キリスト教界では「旧統一協会は解散すべし」と大合唱しており、その中で異を唱えることは、狭いキリスト教界のムラで干される危険を伴います。また、現代日本社会を覆う言いようのない「空気」に逆らうことになり、それは大きな恐怖であり、私にとって何の得にもなりません。(もちろん、旧統一協会から金品を受け取って反対を依頼されたわけではありません。)

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『SALTY特別集会  9.23 大阪』開催のお知らせ

写真:「SALTY特別集会<大阪>」のチラシ

『SALTY特別集会  9.23 大阪』開催のお知らせ

「日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-」では、8/11<東京>に続いて、9/23(火・祝日)に『SALTY特別講演会 9.23 大阪』を 開催いたします。

開催日時と会場は、以下の通りです。
お誘い合わせの上、ぜひ、ご参加ください。
皆様のご来場を心よりお待ちしています。

・大阪:9/23(月・祝日) 午後(開場:18:15 / 開演:18:30〜 )

テーマ 『信教の自由を脅かす解散命令』
     〜宗教法人解散命令に異議あり〜
     〜旧 統一協会信者強制改宗の闇とは〜

特別講演(対談)
講師
 西岡 力  SALTY主筆、麗潭大学 特任教授
      「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための
       全国協議会)会長
 中川晴久 SALTY論説委員、主の羊クリスチャン教会 牧師
       東京キリスト教神学研究所幹事

参加費 1,000円

会場:大阪市中央公会堂 小集会室(3階)

『SALTY特別集会  8.11 東京』開催のお知らせ

写真:「SALTY特別集会<東京>」のチラシ

『SALTY特別集会  8.11 東京』開催のお知らせ

「日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-」では、『SALTY特別講演会 8.11 東京』を 開催いたします。

開催日と会場は、以下の通りです。
お誘い合わせの上、ぜひ、ご参加ください。
皆様のご来場を心よりお待ちしています。

・東京:8/11(月・祝日) 午後(開場:13:00 / 開演:13:30〜 )

テーマ: 『信教の自由を脅かす解散命令』
     〜旧 統一協会信者強制改宗の闇を暴く〜
 会場:お茶の水クリスチャンセンター 礼拝堂(8階)

 

特別公演(対談)

講師:
   西岡力(SALTY主筆、麗潭大学教授)
   中川晴久(SALTY論説委員、主の羊クリスチャン教会牧師)
ゲストスピーカー 砂川竜一(沖縄つきしろ教会牧師)

 参加費 1,000円

 会場(お茶の水クリスチャンセンター)

JR中央線・JR総武線 JR御茶ノ水駅より 徒歩2分
東京メトロ 丸ノ内線 東京メトロ 千代田線 新御茶ノ水駅より 徒歩3分

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『拉致問題最新情勢』 講演会・懇親会 開催! −SALTY−

写真:福音宣教協力会 懇親会 会場:VIP関西センター礼拝堂

福音宣教協力会 懇親会 開催!

VIP関西センター

西岡力教授(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長)を迎えて、福音宣教協力会主催による懇親会が、6月30日(月)午前11時から午後2時まで、VIP関西センター9階礼拝堂にて開催されました。 

賛美リード 北山奨牧師
司会 菅原亘牧師

北山奨牧師の賛美リードで始まった懇親会では、菅原亘牧師(神戸キリスト栄光教会)の司会で、大久保みどり牧師(主イエスキリスト教会)の祈祷、福音宣教協力会委員長の村上好伸牧師(カリスチャペル)の挨拶がありました。 “『拉致問題最新情勢』 講演会・懇親会 開催! −SALTY−” の続きを読む

対イラン攻撃は「テロとの戦争」−西岡力−

写真:外務省ホームページより(海外安全情報 6/23)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

 

対イラン攻撃は「テロとの戦争」

 イスラエルと米国による対イラン攻撃は、米国のブッシュ(子)政権が始めた「テロとの戦争」の延長線上で見るべきだ。2001年9月のイスラム過激派テロ組織アルカイダによる米国への同時多発テロに対して、ブッシュ政権は犯罪を扱う警察ではなく、敵の攻撃に応戦する軍隊を動員した。警察が対応する場合はテロリストにも一定の人権を認めて様々な配慮がなされるが、軍隊が対応する場合は無関係の者をなるべく巻き込まないという配慮はするものの、テロリストに対しては容赦ない攻撃が加えられる。

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反日感情の政治利用が心配―新韓国大統領 −西岡力−

写真:李在明、金文洙、李俊錫候補の選挙ポスター

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

反日感情の政治利用が心配―新韓国大統領

 韓国大統領選挙で「共に民主党」の李在明氏が新大統領に選ばれた。得票率は49%だった。尹錫悦政権の与党だった「国民の力」の金文洙氏が41%、保守新党「改革新党」の李俊錫氏が8%だった。
 
今回の選挙は、昨年12月の尹錫悦大統領(当時)による戒厳宣布のため大統領弾劾が成立したことを受けて実施された。李在明氏と李俊錫氏は、戒厳宣布は憲法違反で許されないという立場だった。この2人の得票を足すと約6割に達する。左派系のハンギョレ新聞は選挙結果について「韓国国民が投票で内乱を審判した」と書いた。韓国の自由民主主義は大統領による戒厳宣布という憲法破壊行為を法治の枠の中で処分した。それがこの選挙の第一の意味だ。

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韓国保守派の極右化を憂える −西岡力−

写真:ソウル市鐘路区にある憲法裁判所庁舎(Wikipedia より)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

韓国保守派の極右化を憂える

西岡力 / 2025.04.07 (月)

 4月4日、韓国の憲法裁判所が尹錫悦大統領を罷免した。韓国は陰謀論に取り付かれて戒厳令を宣布した大統領を憲法の枠の中で退けることに何とか成功した。

 ●戒厳宣布の大統領罷免
 憲法裁判所は全員一致で、戒厳宣布を重大な憲法違反、法律違反と認めた。韓国憲法は大統領に戒厳宣布の権限を付与しているが、「戦時、事変またはこれに準ずる国家非常事態」の場合、という要件を付けている。
 戒厳談話や憲法裁判所の審判で尹氏と弁護団は、野党が圧倒的多数を占める国会が「犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法・行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企てている」として、宣布要件が満たされていたと主張した。また、現在の国会議員を選出した昨年4月の総選挙で国外勢力の介入による大規模な不正が存在したとか、戒厳宣布は野党の横暴を国民に知らせるための「警告性戒厳」「啓蒙令」だったと主張した。
 しかし、憲法裁判所は、野党との葛藤や不正選挙への疑いは「政治的、制度的、司法的手段を通じて解決すべき問題であって、兵力を動員して解決できるものではない」と述べ、国民への警告は憲法の定める戒厳の目的に当たらないとした。

LGBTQ問題はクリスチャンを分裂させる「踏み絵」か? −アリマタヤのヨセフ−

写真:大阪高等裁判所(Wikipedia)
2025年3月25日 「同性婚を認めないのは憲法違反である」
という判決を出した。

LGBTQ問題はクリスチャンを分裂させる「踏み絵」か?

 アリマタヤのヨセフ

 アメリカ長老教会(PCUSA)は3月12日、性的指向や性自認に基づく差別を禁じる教会憲法の修正案が正式に承認されたと発表しました。以下が、このことを報じる記事です。(*2025年3月21日付 Christian Today より)

 アメリカ合衆国長老教会(PCUSA)は12日、性的指向や性自認に基づく差別を禁じる教会憲法の修正案が正式に承認されたと発表した。承認された第24-A号修正案は、PCUSAの憲法第2部「教会規定」(英語)の「多様性の中の一致」の項目にある差別禁止をうたう文章の中に、性自認と性的指向を含める内容。同項目には、「神は、人種、民族、年齢、性別、障がい、地理的条件、神学的信念にかかわらず、洗礼によって人々を結び付ける」と書かれており、この中に「性自認」と「性的指向」が新たに加えられることになる。

 同修正案は昨年開催された第226回総会で既に可決されていたが、正式に承認されるにはPCUSAの166中会の過半数である84中会以上から賛成を得る必要があった。長老派のLGBT擁護団体である「長老派カベナント・ネットワーク」(CNP)の集計によると、20日までに94中会が同修正案に賛成し9中会が反対している。PCUSAの発表によると、過半数の中会が賛成したことで、同修正案は7月4日に発効する。

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