平壌宣言20年に思う拉致の戦い −西岡力−

写真:2017年11月6日 · トランプ大統領とメラニア夫人、安倍首相、
拉致被害者の御家族(首相官邸 facebook より)

平壌宣言20年に思う拉致の戦い

(産経新聞令和4年9月16日掲載)

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー道徳教育財団教授・麗澤大学客員教授

平成14(2002)年の小泉純一郎首相の訪朝から20年が経(た)つ。いまだに北朝鮮に拉致されている横田めぐみさんをはじめとする多数の拉致被害者を助けることができていない。本当に申し訳なく慚愧(ざんき)に堪えない。

拉致問題解決は最優先課題
 だがこの20年間で達成した2つの大きな成果がある。

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安倍晋三元総理大臣殉職に対する家族会・救う会声明 −西岡力−

「総理大臣官邸で拉致被害者御家族等と面会」 平成30年1月25日
写真:「総理大臣官邸で拉致被害者御家族等と面会」

平成30年1月25日
(首相官邸のホームページより)

安倍晋三元総理大臣殉職に対する家族会・救う会声明

 ライフワークとして北朝鮮拉致問題に取り組んできた安倍晋三元総理大臣(以下、安倍総理と呼ばせていただく)が襲撃され殉職された。拉致というテロと戦ってきた安倍総理がテロに遭うという事態がなぜ起きるのか。悔しくて悲しくて言葉にならない。

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家族会前代表・飯塚繁雄さん逝去に思う −西岡力−

<写真> 中央:家族会の飯塚繁雄代表と安倍首相
(2019年2月19日 首相官邸にて撮影)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授

家族会前代表・飯塚繁雄さん逝去に思う

西岡力 / 2021.12.20 (月)

 12月18日、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)前代表の飯塚繁雄さんが亡くなった。83歳だった。飯塚さんは拉致被害者田口八重子さんの長兄だ。初代家族会代表の横田滋さんの後を継いで2008年から14年間、家族会代表を勤めた。横田さんの代表在任期間は10年8カ月だったから、それよりも長い年月、拉致被害者を取り戻すための国民運動の先頭に立っていたことになる。

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「滋さんの思い出」− 西岡力 −

6月8日、川崎市にある中野島キリスト教会で行われた横田滋さんの葬儀で、西岡力(SALTY 主筆)が語った「滋さんの思い出」です。

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長

 

私もキリスト者の末席を汚す者ですので、聖書の言葉をまず引きます。

新約聖書エペソ書2章8〜10節

あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。
行ないによるのではありません。だれも誇ることのないためです。
私たちは神の作品であって、良い行ないをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行ないに歩むように、その良い行ないをもあらかじめ備えてくださったのです。

天国に召された滋さん

 滋さんとお目にかかって23年以上が経ちます。滋さん、早紀江さんご夫婦と、日本全国そして米国、韓国などさまざまなところにご一緒させていただきました。その中で、日曜日にあたり、なおかつ少し時間の余裕があるときは早紀江さんと近所の教会に行ったり、ホテルにて二人で聖書を開き祈る時をもつことがありました。そのとき、滋さんはあまり良い顔をされませんでした。
「早紀江がキリスト教を信じることは、それがなければ悲しみのため精神がおかしくなったかも知れないから良かったと思う。しかし、自分は信じない。神がいるならなぜ、愛する娘を突然奪うこのような不条理を許しているのか。どの神さまでも拝んだらめぐみを連れてきてくれるなら拝みます。神は弱い人間が心の安定を図るために拝むものだ。一番苦しいのは北朝鮮にとらわれている娘だ。彼女が苦しんでいるのに、父である自分だけが宗教に頼って心の安定を得たら申し訳ない」

 このような趣旨のことを話されるのを何回か聞いたことがあります。ただの人間にしか過ぎない私には、なぜ、神さまがめぐみさんと横田滋、早紀江ご夫妻にこのような過酷な試練を与え、いまだに解決を与えないことについて、理由を説明できません。わからないことの方が多いです。しかし、滋さんがキリストを信じて洗礼を受けられました。それは滋さん本人や早紀江さんなどの努力によるものではありません。滋さんが良い行いをしてきたことへの報いでもないです。ただ、不思議な神さまの賜物、プレゼントでした。

・横田滋さんの葬儀(横田拓也さん提供 3枚)

 しかし、聖書は言います。人にはこの世でなすべき良き行いがあらかじめ備えられている。滋さんにとってそれは強いられた「良い行い」だったかもしれません。しかし、その道を勇敢に戦い抜きました。よくやった、もうこれくらいでいいよ、天国で休んでめぐみさんを待ちなさいと神さまに言われて、天国に旅立ちました。

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激動する朝鮮情勢と日本 – 金井 望 –

SALTY論説委員 金井 望

 

  1.三・一独立運動、提岩里事件から100年

 提岩里(ていがんり、チェアムリ)事件が起きてから今年で100年になる。これは1919年4月15日、朝鮮京畿道水原郡郷南面提岩里(現在の華城市郷南邑提岩里)で日本の軍隊によって29人の住民が殺害された痛ましい事件である。三・一独立運動の影響で住民が暴徒化し、放火事件や巡査殺害事件などが起こっていたことが、この事件の背景にある。

「堤岩里教会虐殺事件」の真相~殉国記念館(この記事は各種の資料を比較して、真実に迫っている)
単行書・八年陸乙七一・朝鮮騒擾経過概要(この歴史的文書では三・一独立運動は「朝鮮騒擾」と呼ばれている)

 2月27日に日韓親善宣教協力会所属のキリスト教徒17人が、提岩里の三・一運動殉国記念館を訪れ、提岩教会の礼拝堂で床にひざまずいて謝罪した。

日本のキリスト教徒17人が韓国・提岩里訪問 「過去の侵奪を謝罪」

彼らは宗教的信念に基づいて、純粋に善かれと思ってしているのだろう。しかし、「善い」と思ってしたことが「善い」結果を生むとは限らない。韓国の反日運動が度を越して、日韓関係が危険な状態になっているこのタイミングで、火に油を注ぐようなことをするとは!
韓国は国民の約3割がキリスト教徒の国である。そのため、多くの日本人には理解しがたいほど、このような行動が大きな影響を与える。このような暴走を止められない日本のキリスト村を、筆者はその一員として残念に思う。

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横田めぐみさんたちを取り戻す最後の戦いが始まろうとしている −西岡 力−

西岡力
「救う会」
北朝鮮に拉致された日本人を救出する全国協議会 会長
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY- 主筆

 

● 6月21日(木)、都内で持たれた「横田早紀江さんを囲む祈り会」で西岡力「救う会」会長が行った報告です。


横田めぐみさんたちを取り戻す最後の戦いが始まろうとしている

 6月12日の米朝首脳会談を終えて、マスコミの中でもいろんな評価があるといいます。私も、いくつか書いたりしています。
勿論、目に見えて北朝鮮側から、被害者を返すとか出てきたわけではないですが、拉致問題の観点からみると一定程度前進したと、断言できると思っています。

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朝鮮戦争中の拉致被害者10万人を忘れてはならない −西岡力−

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト
-SALTY-  主筆
「救う会」 会長
(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)

 米朝首脳会談の数日前である6月8日、韓国の拉致被害者家族会がソウルで、「北朝鮮政権の不法拉北・拉致問題解決のための13ヶ国国際共助対処方案発表会」と題する国際会議を主催しました。私も参加し発表しました。そこでなされた韓国人拉致被害者家族の訴えが心を打つものでしたので、全文を日本語にしました。また、同会議の決議もつけておきます。

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朝鮮戦争中の拉致被害者10万人を忘れてはならない

2018.6.8
朝鮮戦争北朝鮮拉致被害者家族協議会
理事長 李 美一

 6月12日の米・朝首脳会談を前にして準備いたしました「北朝鮮政権の不法拉北・拉致問題解決のための13ヶ国国際共助対処方案発表会」に参加して下さった国内外の来賓の皆さま、心より感謝申し上げます。 特にお忙しい中にも祝辞を述べるために参席くださった金錫友・元統一部次官に感謝の言葉を申し上げます。

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北朝鮮人民に自由を、拉致被害者に自由を -西岡力-

2018年4月28日、韓国国会議員会館で開催された「第15回北韓自由週間」開会式でのあいさつです。

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長

北朝鮮人民に自由を!、拉致被害者に自由を!

 アンニョンハシムニカ(こんにちは)。また、皆さんにお会いできてうれしいです。 15回めの行事です。長いことやってきました。しかし、まだ達成できていません。

 私はいつもこの行事に参加しながら強調していることがあります。この行事は「北韓自由週間」です。人権週間ではありません。日本には12月に北朝鮮人権週間があります。日本の北朝鮮人権法に定められた公式行事です。外国から見れば人権問題です。
しかし、私たちのこの行事は自由週間です。答えが自由だからです。自由統一だからです。人権の核心は自由です。人権侵害の根本は自由を奪われていることです。

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拉致被害者救出の絶好のチャンスを生かしたい(2)トランプ大統領が、拉致問題を米朝会談に出すと約束 -西岡力-


拉致被害者救出の絶好のチャンスを生かしたい(2)

トランプ大統領が、拉致問題を米朝会談に出すと約束

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト − SALTY − 主筆

 私は先日(4月8日)、本サイトに「拉致被害者救出の絶好のチャンスを生かしたい」と題する一文をアップした。4月17日、トランプ大統領が来たるべき米朝首脳会談で拉致問題を出すと語ったという。それについて書きたい。

前回私は、3月末、家族会・救う会が政府に日米首脳会談に関して次のような要請をしたと書いた。 “拉致被害者救出の絶好のチャンスを生かしたい(2)トランプ大統領が、拉致問題を米朝会談に出すと約束 -西岡力-” の続きを読む

拉致被害者救出の絶好のチャンスを生かしたい -西岡力-


西岡力・日本キリスト者オピニオンサイトSALTY  主筆

拉致被害者救出の絶好のチャンスを生かしたい

 拉致問題が最大の山場を迎えています。
北朝鮮の独裁者金正恩が、米国の軍事圧力と国連の経済制裁に音を上げ、ついにトランプ大統領に会談を求めてきました。トランプ大統領は3月8日、北朝鮮が核ミサイルを放棄する気があるなら会ってもよいと、会談に応じると返事しました。その後、3月22日、対北原則論者のジョン・ボルトン氏を外交安保補佐官に指名しました。外交安保補佐官は日本で言うなら外交と安保分野の官房長官にあたる政権の核心的地位です。 “拉致被害者救出の絶好のチャンスを生かしたい -西岡力-” の続きを読む