井草晋一:SALTY 編集長
・ピヨ バイブル ミニストリーズ 代表
・Piyo ePub Communications 代表
・近放伝 IT伝道委員会・委員長
「電子書籍」と「Amazon プリント・オン・デマンド(POD)」、および「オーディオブック」について
〜「分級別教案」の出版事業を振り返る中での新たな文書伝道〜
・・・・・・・
現在、Amazon から、一冊でも、「印刷本」として購入できる「Amazon プリント・オン・デマンド」が始まっていますが、これは、キリスト教会(教界)のこれからの文書伝道として、必須の出版方法だと思います。
“Piyo ePub Books” として Amazo Kindle ストアより「電子書籍」で出版している書籍(現在、12冊)については、順次「Amazon プリント・オン・デマンド」に対応してまいります。
●「Amazon プリント・オン・デマンド(POD)」
https://amzn.to/2Rksfcl
12月5日には、最初の電子書籍がこの 「Amazon プリント・オン・デマンド(POD)」 で販売開始できる予定です。
関連して、上記のテーマで、キリスト教会(教界)の現状と今後の推移、可能性について、述べさせていただきます。
だいぶ長い文章となりましたが、この3つの事柄について、興味のある皆様は、どうぞご一読ください。
日本のキリスト教書籍の出版事業の過去と現状
神学校の授業を担当していて、いつも困っていたのは、「神学教育」で必須の書籍(「聖書図書刊行会」「いのちのことば社」、他などの発行)が絶版や版切れ(在庫なし)で、手に入らなかったことです。
止むを得ず必要な部分をコピーして授業を進めたり、神学生各自に牧師たちの蔵書から借りてきて授業に望んでもらったことが多々ありました。
マーケットが小さい日本のキリスト教書籍の出版事業は、常に「在庫問題」による倒産の問題(危機)がつきまとってきました。
あるいは、できるだけ在庫を持たないための「少部数出版・売り尽くし方針」のために生じる、絶版や版切れ問題です。
「日本日曜学校助成協会」の倒産と「いのちのことば社」による吸収合併
かつての「日本日曜学校助成協会」が発行していた、物語法による「分級別教案」は、「分級別」のカリキュラムと教案(生徒用・教師用)のゆえに、膨大な「在庫」を抱えざるを得なかった、イコール「倒産」、あるいは、事業の継続ができない、という問題がありました。
これは、キリスト教会(教界)のすべての出版社が直面し、結局、事業継続を断念したという出版社や出版事業は、数え切れないほどです。
結局、1980年代からは、「日本日曜学校助成協会」を「いのちのことば社」が吸収合併した形で、新たに『成長』の教案出版事業として進めることになりました。
統一教案『成長』の新規発行
当時の「いのちのことば社」の代表・ケネス・マクビティ先生(TEAMの宣教師)の方針により、「分級級別カリキュラム」を廃止して、「統一教案」(小学、中学、高校、全てが同じ日(日曜日)に、同じ聖書箇所から学ぶ、統一カリキュラムに基づく)の『成長』を発行することとなり、現在に至っています。
日本の教会(教会学校)の現状を考えると、経営上、やむを得なかったと言えます。
教会教育推進会(CEM)の創立と分級別教案の新規継続発行
けれども、なんとか子どもたちの発達段階(霊的、実際的な)に応じた「分級別カリキュラム」の教案発行を願う牧師や教会、教会学校の現場のニーズ(要望)もありました。
あらためて、ルツ・ウィンズ先生(Ruth Wines / 北米メノナイト・ブレザレン・ミッション宣教師;日本メノナイトブレザレン教団 福音聖書神学校・キリスト教教育 主任教授)を代表として、「分級別教案」を発行継続するための『教会教育推進会(CEM)』が設立されました。(1980年)
<・上の写真をクリック —> ルツ宣教師のカードが表示されます>
私どもの MB教団(日本メノナイトブレザレン教団)が中核となり、アメリカの「スクリプチャー・プレス社(後の クック・コミュニケーションズ)の版権を使用して、『教会教育推進会(CEM)』として、分級別教案(生徒用・教師用)を<あらためて>継続して発行することになりました。
・幼稚科(2年):「きょうかいがっこう」(全・8冊)
・小学下級科(2年):「ホップ」(全・8冊)
・小学下中級科(2年):「ステップ」(全・8冊)
・小学上級科(2年):「ジャンプ」(全・8冊)
・中学科(3年):ジュニアーズ・ナウ(全・12冊)
・高校科教案(3年):Hight School (全・6冊)
そのほかに、「成人科クラス・聖書研究用」の帰納法によるテキスト、CS教師研修用のテキストなど。
日本の「分級別教案(スクリプチャー・プレス社の版権)」発行の歴史
・1961年〜1970年 MB教団による発行
・1971年〜1979年 日本日曜学校助成協会
・1980年〜1988年 教会教育推進会(CEM)の設立
(並行して、超教派の牧師たちによる「チャーチ・エデュケーターズ(CE’S)の設立と分級別教案の啓蒙、および、CS(教会学校)教師訓練の実施)
・1989年〜現在(2018年) 教会教育推進会(CEM)<MB教団>
● 教会教育推進会(CEM)の沿革
https://nihon-mb.jimdofree.com/cem-教会教育推進会/
● 教会教育推進会(CEM)
https://nihon-mb.jimdofree.com/cem-教会教育推進会/
CEMの出版事業と奉仕を振り返って
神学校入学時(1980年)から、教育宣教師のルツ・ウィンズ先生の勧めもあり、CEMの教案の紹介や CS教師研修会での奉仕を担当しました。
神学校卒業後は、地域教会での牧会の働きと共に教案作り(「ジャンプの改定」、「Hight School 」の新規発行(教案作り)、その他の教案の改定など)も担当しました。(約20数年にわたって)
今振り返ると、不思議な神様のご計画と、この働きの中核を担ってこられた先生方のお働き、スタッフの兄弟姉妹たちの尊いご奉仕や、使ってくださる教会の牧師やCS教師の方々の協力やご支援があったから、出版事業を進めてこれたのだと思います。
それとともに、CEM(教会教育推進会)の所帯(組織)が小さいこともあって、様々な事柄に対応しつつ、半世紀にわたってこの「分級別教案」を必要とする全国の教団教派の教会にお届けすることができたのではないか、と思わされます。
CEM、および、キリスト教会(教界)の今後の出版事業
「電子書籍」によるキリスト教書物の発行と、「プリント・オン・デマンド(POD)」による、在庫を持たない「印刷本」の発行(「新規出版」後の、継続的な発行)が、必須であると考えます。
日本のキリスト教会(教界)として、明治時代から考えると、膨大な「信仰良書」や「信仰の遺産」を文書として持っていますが、今後、それらの「電子書籍」による出版も待ち望まれます。
そして、新しい文書(説教、伝道的文書、神学校の授業で使われる書物、証し集、アニメの聖書物語、などなど)の「電子書籍」と「プリント・オン・デマンド(POD)」による「印刷本」の発行は、信仰の継承と福音宣教の力強い前進のために、今後も多大な貢献をすることになるでしょう。
「オーディオ・ブック」による、新たな「音声本 出版事業」
音楽配信(iTunes Store)、電子書籍(iBooks Store)の出版の先駆けとなった Apple は、今年の10月に、出版各社に一つの要請をしました。
それは、「音声の本」としての「オーディオブック」の配信の備えをするように、とのことです。
「・・・今フランクフルトで行われている世界最大のブックフェアで、オーディオブックの新プラットフォームを近々発表するので、アップルが出版社に「準備をしろ」と促している、と英業界紙ブックセラーが伝えている。・・・」
(10/12)
https://hon.jp/news/1.0/0/13884
すでに、Podcast(ポッドキャスト)によって、メッセージなどを配信されておられる先生方や、ミニストリー、ラジオ・テレビの伝道団体があります。
今後、少し違った形ですが、「オーディオ・ブック」による「音声(本)出版事業」の市場も拡大していくことが予想されます。
そして、昔のレコード会社や、現在の CD発売会社(音楽事務所など)の専売特許のような今までの形態から、「電子書籍」の「セルフ・パブリッシング」のように、誰でも「音声配信・音声販売」ができる「オーディオブック・ストア」が開始されることでしょう。
すでに Apple では、9/12 の iOS 12 のバージョンアップで、iPhone のアプリ iBooks が大幅にリニューアルされ、「ブック」のアプリとなり、その中に「オーディオブック」のアイコンがあります。
アメリカでは、今年の2018年は、「オーディオブック 元年」とも言われています。
スマホや iPhone などで、また、専用の「オーディオブック」専用再生機(MP3 プレーヤーの拡張版?)で「オーディオ・ブック」を聞くことになりますが、このような「本」の読み方(聞き方)も、とても興味深いものです。
今後に、期待し、「備え」をしていきたいものです。
神様の恵みに感謝しつつ。
——————————————-
● “Piyo ePub Communications” による、「電子書籍」の発行
- < Amazon Kindle ストア>
- < Apple iTunes Store (iBooks Store)>
- < 楽天ブックス(楽天Kobo)>
- < Book☆Walker(角川書店、他)>
- < Google Play ブックス>