<写真:日本学術会議 庁舎_Wikipediaより>
11月に入り、国会の予算委員会などでは連日、「日本学術会議」の任命拒否問題の質疑がなされ、テレビや新聞、各メディアの公式WEB、各種のSNS上で取り上げられています。
この度、「南原繁研究会」の代表の樋野興夫氏(新渡戸稲造記念センター長、順天堂大学名誉教授、順天堂大学医学部病理・腫瘍学客員教授)の J-STAGE(*注1) の2001年の論説『向上心のある虫 -学者の風貌-』の紹介を受けました。
この中で、<「総合科学技術会議」VS「日本学術会議」>の課題について、筆者は次のように述べています。
「『科学する心』には、『政治にゆがめられた科学する心』と 『政治にゆがめられない科学する心』の2種類がある。 行政機関である 『総合科学技術会議』 は立場上当然、前者である。
一方、『日本学術会議』 は、当然後者であるべきである。 もし、後者であることを放棄すれば、『もし塩が塩けをなくしたら……。もう何の役にも立たず、外に捨てられて、 人々に踏みつけられるだけです』(マタイ5章13節) の運命である。」
(*画像をクリックすると、J-STAGE サイトの PDFファイルが開きます。)
20年前の論説ではありますが、先頃「任命拒否」の報道から注目されるようになってきた「日本学術会議」のあり方と、存在意義、将来に向けての警鐘がキリスト者としての信仰と視点より記されており、あらためて心を探られました。
国民としては、TVや新聞などの各メディアの報道や国会での論戦、デモなどの政治的動向に左右されずに、この二つの組織の歴史的経緯と現在少しずつ明らかになってきている客観的事実を踏まえて、冷静に判断していくことが求められます。
21世紀における各領域での学問と科学技術のさらなる向上、発展のためにも。
*注1:「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)は、国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) が運営する電子ジャーナルプラットフォームです。
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・SALTY取材班:井草晋一(記)
( J-STAGE の論説について、URLでの紹介の了承を著者より受けています。)