【 沈黙容認した宗教審議会 】
中川 ところで岸田首相による突然の基準変更ですが、基準が新しくなって、それで昔の出来事、それも決着済みの民事判決を遡って蒸し返して裁けるのでしょうか。法の不遡及の原則という法理念に照らして腑に落ちない話です。
西岡 恐怖を覚えたことは、まだあります。宗教法人審議会の委員に宗教者がたくさんいました。私のよく知るプロテスタントの牧師で私が以前勤めた大学の前理事長もいました。日本基督教団総幹事もいれば、神道や仏教からも入っています。その人たちが全員、異論を言わず賛成したのも信じられないし、ショックですよ。一体、信教の自由をどう考えているのでしょうか。
私はキリスト教徒です。天地万物は神様が創ったと信じていますし、イエス・キリストは処女マリアから生まれたと信じています。イエス・キリストは十字架にかかって死んだが、三日後によみがえったことも信じています。それは多数の日本人からみれば特異でしょう。ですから私も宗教的少数者です。ですが、そうであっても信教の自由は認められている。それは旧統一協会だって同じはずです。
彼らの教義に私は断固反対の立場です。私は「キリスト教と旧統一協会を混同しないでくれ、私たちは統一協会とは違う」と繰り返し言ってきました。彼らはキリスト教を名乗っていますが、私たちは異端だと思っています。だから、私は自分の文章ではキリスト教会との混同をさけるため略称で「統一教会」ではなく「統一協会」を使います。でもそれと彼らの信教の自由とは別でしょう。
産経ニュースが「『内閣が飛んでしまう』 解散命令請求に動いた文化庁、調査には限界も」と報じました。宗教審議会には実は不満がくすぶっていて、文化庁が「内閣が飛んでしまう」といって収めたらしい。ですが、だからそこがおかしいと思う。文化庁の役人が委員の自宅まで行き、説得し、それも秘密にしながら、一人ずつ篭絡したそうですが、それで宗教者、特にプロテスタントの牧師はほとんど異論をはさまなかったのでしょうか。強い恐怖と信じられない思いです。
→ 第6回に続く