【対談】西岡×中川「統一協会解散請求への疑義」6−中川晴久−

【 ディプログラミングという闇 】

中川 私が指摘したい「隠された真実」の筆頭はまず、何よりも旧統一教会の信者がこれまで突然拉致されて監禁下で強制改宗をさせられる事件の被害に遭ってきたことです。全国弁連がこうした拉致監禁で強制改宗された元信者を長年にわたって利用し、教団追及の裁判闘争を展開してきたことは全くといっていいほど明らかにされていません。これが全く無視されている。

 今回、文化庁が解散の根拠として、旧統一教会が敗訴し、不法行為や教団の使用者責任が認められた民事訴訟判決二十二件(請求時には三十二件に増加)の原告二百三十一人のうちの百二十八人は実は同じような拉致監禁によって強制棄教させられた人たちで占められているのです。憲法三八条「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」に抵触しうると考えています。

 強制棄教には一部のキリスト教会関係者も関わっています。子供を脱会させたいと考える親に拉致監禁のノウハウを指導する牧師がいました。指導は半年、一年と時間を掛けて行われ監禁に踏み切る。拉致した子供に親は愛情を持って脱会を訴え掛けます。ですが、子供といっても成人しているんですよ。

西岡 未成年者なら子供の信仰に親権に基づき、口出しできる余地はありますけどね。

中川 子供は自分の信仰は捨てたくない、ですが親が愛情を持って訴えてくる。どうしていいか分からなくなってしまう。脱会した場合、解放後、自分を拉致監禁した親を訴えたりはしません。拉致監禁されて無理やり信仰を奪っても、親は親なりの愛情でやったと子供は受け取めるでしょうからね。

 ですが、こんな粗っぽい手法は親子関係にダメージをもたらし大きな傷が残ってしまうんです。仮に「教団を離れてよかった」といったんは思えたとしても拉致監禁された瞬間の出来事が脳裏に刻まれて苦しんだり、親子間のわだかまりや大きな溝がやがて生まれたり、傷が癒やされないこともある。自然に治癒されずにむしろ、変なものを注入されたような後遺症に苦しむことだってあります。憎しみや敵がい心を教団に駆り立てたりもします。

このような手法はディプログラミング(脱洗脳)ですが、世界ではすでに葬られています。ところが日本では温存されました。全国弁連が脱会信者を裁判へと駆り出すシステムが確立されていたからです。

 第6回に続く