【対談】西岡×中川「統一協会解散請求への疑義」8−中川晴久−

【 教団の実像見た潜入劇 】


西岡
 そもそも中川牧師は旧統一協会とはどのような関わりをもっていたのですか。

中川 西岡先生も述べたようにキリスト教にとって旧統一教会は異端ですから異端の動きを二十五年間ウォッチしてきました。全国弁連の集会に参加したこともあります。ただ、この間、私の中でどうしても腑に落ちなかったのが、全国弁連界隈で聞かされる教団の話と、拉致や監禁などをされずに自然と信仰が失せて教団を離れた「自然脱会者」から聞く教団の話があまりにギャップがありすぎることでした。教団が悪いにしたって実際は一くらいの悪さが、十くらいの悪辣極まる話に膨らんだり、盛られている。そんな違和感がありました。そこで私は自分の素姓を明かさずに教団に入りこみ、教団の動きや真の姿を探る〝潜入取材〞を敢行したこともあります。
 教団内部の奥地に探りをいれ、自分の目で分かったこと、それは旧統一教会には信者同士の横のつながり、絆のようなものがあって、とてもいい交わりが存在するということでした。信者がお互いに励まし合って、助け合いながら真面目に信仰生活を生きている。私は今、キリスト教会で牧師をしています。彼らを見て「ここにはかなわないな」と思いました。

 自分の実感ですから、自信をもって結論づけますが、旧統一教会に関しては妄想や偏見が膨れ上がり過ぎているんです。「ひどい」「怖い」といった虚像がすっかり作りあげられているのです。解散命令請求が出された今、彼らは本当に途方に暮れていますが、解散させなければならないほど悪い教団とは思えません。私の教会とは、あらゆることが違いますが、彼らには本当に守りたいものがある。それが私には体験的に分かるんです。
 キリスト教会って基本的にみんな旧統一教会が嫌いですから、こういった状況になった時も感情的には「つぶれてしまえ」ぐらいに思っています。ただ、やはり、宗教者としてそれはどうなのか。宗教者って心の問題でしょう。もっと公平に見る必要があると強く思うんです。(了)