“100年、80年、30年” −亀井俊博−

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「芦屋福音教会」名誉牧師
「聖書を読む集い」牧師

“100年、80年、30年”

 

          100年、80年、30年

 今年は “昭和100年、戦後80年、阪神淡路大震災後30年” となります。2018年は明治150年の年と呼ばれ、明治新以来の日本近代化の歩みが回顧されました。こういう大きいスパンで歴史を眺めてみると、日々目前の出来事に一喜一憂するだけでなく、時代の大きな方向付けにどう先人たちが対処したかが分かり、参考になるものです。

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不法移民やLGBTQに憐れみを説く主教 ~ 義のない「憐れみ」は「無慈悲」にもなる

写真:time.comから

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

トランプ大統領の就任式の翌日、1月21日に、米国聖公会ワシントン教区主座聖堂(ワシントン国民大聖堂)で行われた、国家祈祷会(あるいは、国民のための祈りA Service of Prayer for The Nation)が行われました。大統領の前で、米国聖公会ワシントン教区のマリアン・バディ(The Right Rev. Mariann Budde)主教が行った説教の内容が、感動的であったという反響が大きかった一方で、大きな問題を孕んでいるとして批判も多く出ています。私は後者でした。

執り成しより、政治的訴えを優先させた説教

テモテ第一2章によれば、上に立てられた人たちのために、祈り、願い、執り成すことが命じられています。それは、たとえ自分と政治信条が異なる人であっても、神に立てられた人であるゆえ(ロマ13:1)、敬うことが命じられています。当時は、専制的な皇帝であり、迫害を加える政治権力者であったのにも拘らず、使徒たちは手紙で教会にそう奨励していたのです。

しかし、当主教は、大統領選における争点になっているものを、「神の名」によって以下のように懇願しています。

「大統領閣下、最後に懇願させてください。何百万人もの人々があなたを信頼しています。そして、昨日、あなたが国民に語ったように、あなたは愛に満ちた神の摂理を感じておられるはずです。私たちの神の名において、今、恐怖を感じている自国の国民に慈愛を施してくださるよう、お願いいたします。

民主党、共和党、無所属の家庭には、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダーの子どもたちがおり、中には命の危険すら感じている子どもたちもいます。私たちの農作物を収穫し、オフィスビルを清掃し、養鶏場や食肉加工工場で働き、レストランで食事をした後の食器を洗い、病院で夜勤をこなす人々の中には、市民権を持たないか、あるいは適切な書類を所持していない人がいるかもしれません。しかし、移民の大多数は犯罪者ではありません。彼らは税金を支払い、良き隣人でもあります。彼らは私たちの教会やモスク、シナゴーグ、グルドワーラ、寺院の忠実な信徒でもあります。

大統領閣下、どうか私たちのコミュニティで、親が連れ去られてしまうのではないかと恐れている子どもたちに対して慈愛の心を持ってください。そして、自国での戦地や迫害から逃れてきた人々に対して、この国で思いやりと歓迎の意を見出せるように支えてください。私たちの神は、私たちがよそ者に慈しみを向けるべきであると教えています。なぜなら、かつて私たちは皆、この土地ではよそ者だったからです。神が私たちに、すべての人間の尊厳を尊重し、愛をもって互いに真実を語り、互いに、そして神とともに謙虚に歩む強さと勇気をお与えくださいますように。すべての人々のため、この国と世界のすべての人々のために。
アーメン」

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トランプ2.0のゆくえ −亀井俊博−

写真:White House Wikimedia より

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「芦屋福音教会」名誉牧師
「聖書を読む集い」牧師

“トランプ2.0のゆくえ”

2025年1月16日

            トランプ2.0

アメリカのトランプ2.0大統領政権が1月20日にスタートします。
この異形な政権の基盤は何か?またその目指すところは何か?世界はその影響を免れないがために、注目しています。以下、様々な意見を勘案しながら、筆者なりの理解を申し述べたいと思います。

            支持基盤層

まず、この特異な政権の支持基盤です。1.0政権時代と今回の選挙運動中の動きの中で分かってきた事ですが、米国の歴史の中核を形成してきた多くの民衆です。しかも彼らは時代の激変に取り残され、努力が報われずルサンチマン(怨恨)が鬱屈していた。それを敏感に掬い上げたトランプ氏が彼らの代弁者となり、支持の岩盤層を形成した。具体的には、昔はWASPと呼ばれた白人アングロサクソン男性中心福音派プロテスタント、それも非大卒労働者です。

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平壌宣言20年に思う拉致の戦い −西岡力−

写真:2017年11月6日 · トランプ大統領とメラニア夫人、安倍首相、
拉致被害者の御家族(首相官邸 facebook より)

平壌宣言20年に思う拉致の戦い

(産経新聞令和4年9月16日掲載)

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー道徳教育財団教授・麗澤大学客員教授

平成14(2002)年の小泉純一郎首相の訪朝から20年が経(た)つ。いまだに北朝鮮に拉致されている横田めぐみさんをはじめとする多数の拉致被害者を助けることができていない。本当に申し訳なく慚愧(ざんき)に堪えない。

拉致問題解決は最優先課題
 だがこの20年間で達成した2つの大きな成果がある。

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安倍晋三元総理大臣殉職に対する家族会・救う会声明 −西岡力−

「総理大臣官邸で拉致被害者御家族等と面会」 平成30年1月25日
写真:「総理大臣官邸で拉致被害者御家族等と面会」

平成30年1月25日
(首相官邸のホームページより)

安倍晋三元総理大臣殉職に対する家族会・救う会声明

 ライフワークとして北朝鮮拉致問題に取り組んできた安倍晋三元総理大臣(以下、安倍総理と呼ばせていただく)が襲撃され殉職された。拉致というテロと戦ってきた安倍総理がテロに遭うという事態がなぜ起きるのか。悔しくて悲しくて言葉にならない。

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横田滋さん召天1年を迎えての所感、全被害者の即時一括帰国のために全力を尽くします −西岡力−

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授

横田滋さん召天1年を迎えての所感、全被害者の即時一括帰国のために全力を尽くします

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2021.06.05)より転載

 
令和3年6月5日
 
 初代家族会代表の横田滋さんが召天されて(あえてここでは天国に召されたという意味のキリスト教用語を使います)1年が経ちます。先日電話でお話しした横田早紀江さんは、滋さんのご遺骨は当分ご自宅に置いておいて、めぐみさんが帰ってきたとき抱かせてやりたい、と話していました。まだ、天国の滋さんに喜びの報告をすることはかないません。

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米中対立の向うに(第1回)−亀井俊博−

・写真:赤いバラと聖書(薔薇はアメリカの国花)

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「米中対立の向うに」

執筆:2020年11月12日

<第1回>
・3回の連載で掲載いたします。(SALTY編集部)

(1)米中対立の向うに、踏み絵

 最近、あるキリスト教福音派のオピニオン・リーダーの方より、中国との関係を日本の福音派キリスト教も考えなければならないときが来たと言う、お話しを個人的に頂きました。それに刺激を受けて、私が今まで発表した幾つかの中国論をめぐるエッセイを、中間報告的にではありますがまとめてみたいと思います。
なお、発表済みのエッセイ、ブログ“バイブル・ソムリエ”の掲載日時はその都度記します。また、本論は拙著「カイザルと神」(電子書籍)中の「政治のナラテイヴ」、「歴史のナラテイヴ」をベ-スとしています。

 中国の急速な台頭と米国の相対的な退潮、と言う歴史的激変を背景に、日本は防衛安全保障は米国との安保同盟関係、経済は貿易相手国第一位の中国の発展に与る、このバランスの上に成り立ってきました。しかし、ここにきて米中対立が激しくなり、いわゆる「ツキジデスの罠」(米政治学者グレアム・アリソンの論。つまり古代ギリシャの歴史家ツキジデスが描いた故事にならう説。紀元前5世紀のギリシャ「ペロポンネソス戦争」、新興都市国家アテナイが、旧勢力都市国家スパルタに挑戦した事が歴史上繰り返され、その現代版が新興国家中国の旧勢力米国への挑戦、として再現されている。)と言うのです。

 今や、米国は中国関与政策を止め、封じ込め政策にシフト。経済的にだけでなく軍事的にも欧州のNATO(北大西洋条約機構)にならって、東南アジアでSEATO(東南アジア条約機構)を再編しようとしているとか。勿論、今回の米大統領選挙の結果、従来親中派の民主党のバイデン大統領が誕生した場合、事態は少しは緩和するかもしれませんが、米国の基本方針の転換は後述の理由で変わらないと言われます。そこでアジア外交の主要プレイヤーである日本も傍観者、いわゆる“戦略的あいまい策”(ストラテジック・アンビギュイテイ)でなく、米中どちらに就くのか踏み絵を踏まされる状態になってきました。さらには米中対立打開の道と、その向こうにどの様な世界を描くか、福音派の立場から考えます。

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2017年秋、米朝は開戦直前だった −西岡力−

写真:アメリカ空軍の F-15C (Wikipedia より)

 

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授

2017年秋、米朝は開戦直前だった

 平成29年(2017年)秋、米朝関係は戦争直前だった。当時から私を含む少数の専門家が指摘してきた通りだが、米紙ワシントンポストのボブ・ウッドワード(Bob Woodward)副編集人の新著「Rage(怒り)」がその生々しい状況を明らかにしている。トランプ大統領との17回のインタビューをもとに出版された同書から当時の生々しい状況を知ると、当時の日本の総理大臣が安倍晋三氏で良かったと心から思う。

RAGE 怒り』  (日本語) 単行本  – 2020/12/19 発売予定
ボブ・ウッドワード 著/日本経済新聞出版  

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拉致問題で「ともに闘ってきた」首相の辞任「とても残念」−西岡力−

写真:首相官邸のホームページより 2020- 8/28

 

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長

 

拉致問題で「ともに闘ってきた」首相の辞任「とても残念」

 たとえ健康上の理由だとしても、北朝鮮による拉致問題が解決していない段階で安倍晋三首相が辞任を表明したことはとても残念だ。

 今年2月、拉致被害者の有本恵子さん(60)=拉致当時(23)=の母、嘉代子さんが94歳で亡くなったときも、6月に横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父、滋さんが87歳で亡くなったときも、安倍首相は「ともに闘ってきた」と悔しさを口にしていた。

 いま、首相辞任により問題解決の闘いの場から離れることは私たちも悔しいが、本人が一番、心残りだろう。

 安倍首相は北朝鮮に対しては先に圧力をかけ、その後で交渉する「先圧力、後交渉」という戦略で拉致問題に臨んだ。 これはかなり成功したと思う。

 まず経済制裁と国際包囲網で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権にかなり圧力をかけた。さらに安倍首相の努力もあり、米国のトランプ大統領が金正恩朝鮮労働党委員長に拉致問題解決を直接迫るところまでこぎつけた。

 だから、安倍首相は圧力段階は完成したと考え、昨年5月、金委員長に無条件での首脳会談を提案していたところだった。

 

 拉致問題は単に安倍政権の最優先課題ではなく、日本の最優先課題のはずだ。

 後を継ぐ政権には、安倍政権が造った制裁と国際包囲網の枠組みをいかして、必ず拉致問題を解決してほしい。

 

(産経新聞 8月29日掲載)

米朝首脳会談は米情報機関の勝利 −西岡 力−

 

 

 

日本キリスト者オピニオンサイト
-SALTY- 主筆
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡力

 

● 3月5日(水)の「産経新聞」に寄稿した米朝首脳会談に関する拙文です。

産経新聞 2019.3.5

米朝会談決裂は北を譲歩させる

トランプ大統領の決断は正しい

 2度目の米朝首脳会談が合意文書署名に失敗して決裂した。安倍晋三首相はトランプ大統領の決断を全面的に支持すると語ったが、私も同じ意見だ。

 昨年6月の最初の首脳会談について、トランプ大統領が金正恩委員長の術策にはまったとする批判が多かったが、今回の結果から術策にはまったのは金正恩氏の方だということが明確になった。

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