横田滋さん召天1年を迎えての所感、全被害者の即時一括帰国のために全力を尽くします −西岡力−

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授

横田滋さん召天1年を迎えての所感、全被害者の即時一括帰国のために全力を尽くします

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2021.06.05)より転載

 
令和3年6月5日
 
 初代家族会代表の横田滋さんが召天されて(あえてここでは天国に召されたという意味のキリスト教用語を使います)1年が経ちます。先日電話でお話しした横田早紀江さんは、滋さんのご遺骨は当分ご自宅に置いておいて、めぐみさんが帰ってきたとき抱かせてやりたい、と話していました。まだ、天国の滋さんに喜びの報告をすることはかないません。

 
 この間、拉致問題解決をライフワークとされてきた安倍晋三首相の病気による退任、家族会と2回も面会し金正恩委員長に繰り返し拉致解決を迫ったトランプ大統領の選挙敗北という大きな出来事がありました。しかし、我が国の政権を引き継いだ菅義偉首相は拉致問題解決を最優先課題として懸命に取り組んでいますし、米国のバイデン政権も日本からの官民挙げての働きかけもあって日米首脳会談で国務長官以下の高官がブルーリボンバッジをつけてくるほど拉致解決へ協力的です。
 
 家族会・救う会はコロナウイルス蔓延のため、昨年は通常年2回行ってきた国民大集会を1回しかできませんでした。各地で行われてきた救出のための集会も多くが延期、中止になりました。しかし、滋さんの召天後、めぐみさんを滋さんに会わせることができなかった口惜しさを多くの国民が共有し、拉致問題への関心はここ数年のなかで最も高まっています。救う会にはブルーリボンバッジ購入希望が殺到しました。
 

 世論の風化はいまのところ心配することはないと思っています。それはこの間、運動の先頭に立って下さった滋さんの命をすり減らしたご努力のおかげでもあります。一番心配なのは時間がないということです。家族会・救う会は今年4月に決めた運動方針で被害者救出には期限があるとこう書きました。

 
昨年、有本嘉代子さんと横田滋さんが相次いで亡くなった。拉致という国家テロを行った北朝鮮への怒りと、救出できない政府へのもどかしさで、私たちは歯ぎしりをするほどの口惜しさを覚えた。
 
 ここで私たちは強く言いたい。「全拉致被害者の即時一括帰国」には期限がある。親の世代の家族が被害者と抱き合うことなしに、日朝関係の改善はない。
 
 私たちは本日、金正恩委員長に宛てた新たなメッセージを公開する。そこでも前回と同じように「全拉致被害者の即時一括帰国が実現するのであれば、私たちは帰ってきた拉致被害者から秘密を聞き出して国交正常化に反対する意志はありません」と伝えるが、それには期限があることも次のように明記した。
 

 「四半世紀の間、救出運動を続けてきた私たち家族会・救う会は親の世代の拉致被害者家族が拉致被害者と抱き合うことなしに国交正常化に賛成することはできません。それが実現しなければ大多数の日本国民は北朝鮮との関係改善に反対するでしょう」

 
 あらためて期限が切迫していることを、菅義偉首相をはじめとする政府関係者そして金正恩委員長に訴えます。1日でも早く全被害者の即時一括帰国を実現させてください。
 

 救う会全国協議会会長の私も、全国の救う会の仲間たちとともに、全被害者の即時一括帰国のためにできうる限りのことを全力で行っていくことを誓います。

以上

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2021.06.05)より転載