「集団改宗」と “ 五人組制度 ” − 久保田 Ukon 典彦 −

『キリシタン史からのメッセージ』
   高槻・Ukon:第2回

 

 

 

 

久保田 Ukon 典彦
阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

「 集団改宗 」と “ 五人組制度 ”

 「 集団改宗 」 していった人たちも、江戸時代は、信仰どころでは なかったのではないでしょうか。

 キリシタンの時代、それまで 仏教や 八百万 ( やおよろず ) の神々を信じて 拝んできた人たちが、それらから 180度 離れて、天地創造された デウス(主なる神)を信じていくというのですから、これは、大変な回心 ・ 心変わりであって、単なる 「 転宗 」 ではなくて、人にはなしえない ・ 神のわざ であったわけです。
このことは、個人的に 一人一人に起こることですが、それだけではなくて、この 神の恩寵・恵みは、ある一定の時代や 民族 ・ 地域において 「 集団的 」 に与えられることは、歴史が実証していることです。

● キリスト教の “ 三大祝祭日 ” は、[ クリスマス ・ 降誕祭 ] 、[ イースター ・ 復活祭 ] 、[ ペンテコステ ・ 聖霊降臨祭 ] です。
今年 ( 2018年 ) の [ ペンテコステ ・ 聖霊降臨祭 ] は、5月20日になります。「 五旬節 」 とも言われ、キリストの復活後、50日目になります。


集団改宗

 最初の 「 集団改宗 」 は、2千年前の [ ペンテコステ ] の日に起こりました。
最初の 聖霊なる神 の働きとして、使徒ペテロの語る神の言葉・メッセージ を聞いた 3000人の人たちが、はっきりと 罪を悔い改め、キリストを救い主として信じ、その場で バプテスマ・洗礼を受けていったのでした。

キリシタンの時代も、宣教師たちの働きを通して、各地で 集団的に人々の 「 集団改宗 」 「 集団洗礼 」 が起こされていきましたが ・・・・・

 徳川時代の 250年にわたる、徹底した 弾圧・迫害を受け続けて、集団改宗していった人たちも、信仰を持ち続けていくことは 困難な状況だったわけです。
それにもかかわらず、江戸時代が終わるまで、信仰を 隠し・隠れて、潜伏しながら、信仰を持ち続ける人たちがいたのは、「 集団改宗 」がなされていった地域においてであった ━━ というわけです。

生月 ・ 大村 ・ 天草 ・ 筑後 ・ 五島、そして 高槻領 山間部。
地理的に見ると、交通の不便な 監視の目が届きにくい場所が多いようです。

 主なる神からの、特別な恵みと助けがあったことも間違いのないことですが、為政者たちが、キリシタン取り締まりのために考え出した 「 五人組制度 」 なども、集団改宗の地域においては、逆に、それを利用することが出来たのでした。


五人組制度

 「 五人組制度 」 は、徳川幕府がキリシタン根絶のために取り入れた、最も有力な制度でした。五軒を単位とする 「 隣組 」 です。相互に助け合うという目的もありますが、幕府がこの制度を強制的に義務付けたのは、特に キリシタン取り締まりのためでした。
全国の 「 五人組帳 」 の文章をみますと、必ず「 キリシタン邪宗門 」 のことが 第一条に記されています。もし その組に、一人のキリシタンがおり、あるいは 一人のキリシタンを隠した場合は、五軒とも 連帯責任を問われ、全員が処刑されることになっていました。

 ところが、集団改宗の地域においては、五軒とも キリシタンであったりしますし、しかも 多くは 組長が、キリシタンのリーダー格であった 「 帳方 」 ( ちょうかた ) になっていましたから、大っぴらにではなく、慎重に 慎重に、潜伏の形ではありますが、キリシタンとして互いに支え合い・助け合ってゆくことが出来たのでした。

※【推薦図書】「キリシタン史考」(H.チースリク・著 / 聖母文庫)

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*写真:「キリシタン遺物史料館」茨木市)

<「キリシタン遺物史料館」のご案内 より>

昭和62年(1987年)にオープンした茨木市立キリシタン遺物史料館は、「隠れキリシタンの里」として有名な千提寺地区にあります。
かつて、千提寺や下音羽地区は、キリシタン大名として有名な高山右近の領地でした。キリシタンの信仰が幕府によって禁じられた後も、信者たちは遺物を守り続けてきました。
それが明らかになったのは大正時代に入ってからです。この地域で、数多くのキリシタン遺物が発見され、世界的にも注目を集めました。
キリシタン遺物史料館では、茨木のキリシタンの歴史や、発見された遺物を展示公開しています。

<写真提供:Piyo Bible Ministries >

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久保田 Ukon 典彦
阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰
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「髙山右近研究」をライフワークにしています。
髙山右近やキリシタン達を通して、いっしょに考えていければと思います。