神 ・ デウスの介入 −久保田典彦−

写真:高槻城跡公園_高山右近像

『キリシタン史からのメッセージ』
 高槻・Ucon:第40回 

 

 

 

 

阿武山福音自由教会 教会員

 久保田 Ucon 典彦
「髙山右近研究室・久保田」主宰

 

神 ・ デウスの介入

 ● 1597年の 「 二十六人の殉教 」 の 直前の時期、

 石田三成や 前田利家、刑を執行した 寺澤羽三郎 といった、キリシタンではなかった人たちの存在と、キリシタンに対する 彼らの好意的な働きが大きかったことを思わされます。

  何が、彼らを そうさせたのでしょうか?

● 石田三成は、長谷川右兵衛が作成した、処刑すべき キリシタン名簿の筆頭に、髙山右近の名前が挙げられているのを見て、

  「 なぜ この名を載せたのだ!
右近は新参のキリシタンだとでも言うのか。太閤殿下が、右近に キリシタン宗門を捨てよ、と博多で命じられたのは、すでに十年も以前のことではないか。

右近はそれに従わなかったのだから、殺されても当然であった。だが、太閤殿下は 右近の幾多の手柄を思い起こされ、命を助けられたのじゃ。
 左様な いきさつがあるというのに、今、事新しく 右近をキリシタンとして告発することに、何の意義もあるまい。

 予は このような名簿を、認めるわけにはいかぬ。」

  三成は、イエズス会士を 救おうとしましたし、フランシスコ会にかかわる信徒についても、170名から 12名にまで 削除していきました。

 又、死罪ではなく、追放に変えようと、奔走しました。

  殉教者たちの 耳や鼻を切り落とすようにとの事についても、三成の責任において 緩和され、左の耳たぶを切られただけでした。

 ● 前田利家も、殉教を覚悟して 駆けつけて来た 髙山右近に、

 「 太閤殿下は、イエズス会のパアデレ達に対して、これを行おうとしているのではないか。そちが キリシタンであり、イエズス会士の弟子であるというだけならば、何も 恐れることはなかろう。」

と言いましたし、

太閤秀吉の前でも、

 「 ジュストは、今も 説教しておるのか? 」 との問いに対して、
 「 いたしませぬ。右近には、他の仕事を与えて、忙しくさせておりますゆえ。」

と答えて、右近をかばい 守っています。

  そして、家臣の前で 語っています。

 「 髙山右近は、勇敢で 実に傑出した人物じゃ。教養もあり、賢明でもある。もし右近が、太閤殿の ご寵愛を受けるなら、日本一、二の大名になるであろう。
 だが、右近は そのキリシタン信仰を捨てぬために、現在の境遇にあるのじゃ。
 予は右近のために、太閤殿下にとりなそうと、決意いたしておる。」

 ● 刑を執行した責任者の 寺澤羽三郎も、

パアデレの ロドリゲスとパシオの二人に、処刑に立ち会うことを許しましたし、処刑の場所も、準備の穴が掘られていた 公の刑場から少し離れた場所に変更し、

後日 キリシタン達が、記念の教会などが建てられるように配慮しています。

 ● キリシタンにとって 厳しい状況が続き、エスカレートしていく中で、

石田三成や 前田利家、寺澤羽三郎などがとった行動をみます時に、

 なぜ? ━━ ということと共に、 「 神 ・ デウスの介入 」 ということを考えずには おられません。

  丁度、「 出エジプト記 」 での、モーセに対して、主なる神が、

エジプトの パロ王を用いて、神のわざを進めて行かれたように、

  石田三成や 前田利家 などといった、キリシタン以外の人物をも用いて、神 ・ デウスの わざを進めて行かれたのでした。

  そして、

 「 神を愛する人々のためには、神が、すべてのことを働かせて 益としてくださる。」( ローマ 8 : 28

 ━━ との、神の約束通りに、導き ・ 介入されて、ご自身の栄光が表される機会とされたのでした!

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・写真:高槻城跡公園_高山右近像(2019年1月1日)

 

・ [ 参考図書 ]  「 日本二十六聖人殉教記 」 ( ルイス・フロイス 著、聖母文庫 )

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久保田 Ucon 典彦

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

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「髙山右近研究」をライフワークにしています。
髙山右近やキリシタン達を通して、いっしょに考えていければと思います。