写真:2019-AMCF 日本宣教大会-開会礼拝_2019-0829_横浜指路教会
石川信隆
コルネリオ会 会長
防衛大学名誉教授
2019 AMCF 東アジア大会を終えて
-イエス・キリストにあって一つ-
1. はじめに
「イエス・キリストにあって一つ(ガラテヤ3:28)」。このみことばは、AMCF(世界軍人クリスチャンの会)のモットーです。このみ言葉を体験するため、毎年、東アジアの軍人クリスチャンは、大会 (Conference)(約100人規模)とリーダー研修会(Interaction)(約30人規模)を開催しています。大会の目的は「交わりと励まし」であり、研修会の目的は、軍人クリスチャンとしての祈り方と聖書の学び方と証しです。
今回の東アジア大会は、1986年の日本で開催した第1回目以来、第5回目になります。私は日本で開催された5回の大会にすべて参加できる恵みを得ました。10年に1度の世界大会(約1000人~3000人規模)も3回参加しました。
しかしながら、日本のコルネリオ会(防衛関係キリスト者の会)という小さなグループ(実動会員 約10名)が、このような大きな大会を開催するのは至難の業です。ひとえに主の憐れみとコルネリオ会員、牧師先生方のご協力および各教会および会員家族、さらに金学根牧師(日本自衛隊宣教会 代表)の献身的な働きのお蔭によって成り立ちました。
世界の軍人クリスチャンの会は現在150か国以上からなり、14地区に分かれ東アジア地区はその中の一つで、韓国・台湾・モンゴル・日本と最近中央アジア(カザフスタン・タジギスタン・キルギスタン・ウズベキスタン・タルメキスタン)も加わり、毎年順番にリーダー研修会と大会を開催しています(北朝鮮と中国がまだない)。
最近では2005年品川(研修会)、2010年成田(大会)、2015年両国(研修会)、2016年台湾(大会)、2017年モンゴル(研修会)、2018年韓国(研修会)、2019年日本(大会)と順番に回ってきました。
2020年台湾(研修会)、2021年キルギスタン(研修会)、2022年韓国(大会)、2023年モンゴル(研修会)、2024年世界大会(ブラジル)、2025年日本(研修会)の予定です。
今大会のモットーは、「平安があなた方にあるように(ヨハネ20:19)」のみ言葉でした。最近の日韓情勢が厳しい中にあって、今大会が無事に終了できたことは、まさに主の憐れみのお蔭です。
参加者は、韓国32名、台湾11名、モンゴル10名、中央アジア(キルギスタン2名、タジギスタン1名、カザフスタン2名)、スリランカ2名、アメリカ5名、日本45名(部分参加含む)、合計110名でした。
2. 準備段階
今回の東アジア大会の準備は、2017年8月モンゴルでの研修会が終了した後から始まりました。
2-1 大会案内の作成
①大会の目的、②日時、③場所、④プログラム、⑤参加人数など、コルネリオ会の例会(毎月第2土曜日)ごとに、みんなで相談しながら、開催日時を、8月29日〜31日、開催場所を横浜オンヌリキリスト教会(西山 慎一 牧師)と決まりました。
しかし、その後、日本キリスト教団 横浜指路教会での開催をと、金学根牧師(日本自衛隊宣教会代表)が祈りのうちに導かれ、藤掛順一牧師にお伝えし、長老会に図っていただき、主の憐れみによって開会礼拝と1日目、2日目の夜の部の開催が決まりました。
2-2 大会誌の作成
プログラムとメッセージを入れた大会誌(Booklet)を英語版(外人用)と日本語版(日本人用)を100冊ずつ同時に作成しました。今までは英語と日本語を一つの大会誌の中に書き入れていましたが、外人にも日本人にも読みやすくするため、今回初めて別々に作成しました。
メッセージ・証しなど先生方への依頼は、2019年2月ごろからスタートして日本語を英語への翻訳作業もあり、翻訳係(中野久永兄・太田光代姉・尾崎伸作兄)のご協力もあり6月末にはほぼ完了しました。英語メッセージを各国へ予め送り、それを各国語(韓国語。中国語、ロシア語、モンゴル語)に翻訳して、メッセージが当日よく理解できるように配慮しました。
2-3 通訳の問題
東アジアの理事会では、会議全体を英語のみで話すことでしたが、日本人参加者も対象とするためと日本語で話す先生方のため、通訳機の必要性と通訳者の確保に努めました。
3.実行段階
3-1 交通輸送の問題
各国へは羽田空港到着を要請しましたが、モンゴル・中央アジアの方は成田空港着となり、成田空港出迎えが大きな問題でした。
特に、モンゴル10名は早め(8月26日)にきて無料宿泊を希望し、本郷台キリスト教会の元モンゴル宣教師の木島先正敏先生(防衛大17期)に依頼しました。お蔭で本郷台にモンゴル10名+飛び入り1名(米宣教師)を宿泊させて頂きました。成田空港へは本郷台教会の車で木島夫人が迎えに行き、また木島夫人は3日間の朝食まで作ってくれたそうです。また今市兄は、タジギスタン、カザフスタンの成田出迎え、スリランカの羽田出迎え、および韓国団の羽田見送りなど、大活躍でした。
今回は横浜を舞台として、ホテル(桜木町ワシントンホテル)、2つの教会(指路教会、オンヌリ教会)、クルーズ(大桟橋)など、足の悪い方や年寄のため、車2台(芝兄および金先生)を用意し、大活躍をしました。しかし、ホテル~教会間をタクシーで移動された方もおられました。
3-2 受付段階
8月29日(木)13:00 ホテルに奉仕者全員集合しましたが、参加費の徴収、名札の受け渡し、ホテルの鍵、大会誌の配布など、金学根先生との調整がうまくいかず、一時大混乱になりました。しかし、何とか開会礼拝に間に合うことができたのは、主の恵みでした。
3-3 8月29日 開会礼拝
徳梅陽介牧師(日本同盟基督教団 馬堀聖書教会)によるメッセージでは、「平和をつくる者は幸いです(マタイ5:9)」から、イエス様が与えてくださる平和は、隣人を愛することができると語られました。
馬堀聖書教会による特別賛美「ガリラヤの風薫る」はパイプオルガンに合わせて、聖霊が指路教会堂におりてくる
感じでした。しかし、大衆賛美の「輝く日を仰ぐとき」では、パイプオルガンの前奏から大衆が歌い出し、オルガンと賛美・PPTが一致しない場面に遭遇しました。これは、参加者が指路教会の賛美方式を知らなかったためであり、事前打ち合わせの必要を感じました。
3-4 8月29日 夕食
ケータリング会社に依頼して、バイキング方式で指路教会の1階で夕食をしました。100人を1列でバイキングするのは時間がかかりすぎ、早い人と最後の人には長い時間のずれが生じました。しかし、交わりの時間が持てて良かったという人もいました
3-5 8月29日 宣教大会
藤井秀一牧師(自衛隊音楽隊出身)が、違った立場の人を一つにしてくれるイエス・キリストの福音をまっすぐ伝えていきたいと話されました。
山北宣久牧師(元 日本基督教団総会議長)は、日韓の厳しい情勢の中で、日本に来られた韓国の方たちにお詫びをして下さいました。さすが日本のキリスト教会を代表するリーダーだと思いました。
3-6 8月30日 証し
木島正敏元宣教師は、1992年~2003年(11年間)モンゴル宣教に従事し、その間モンゴル士官候補生3人に聖書を教えました。今回その中の1人が来て20年ぶりに再会を果たし、現在モンゴルの軍人クリスチャンは400人に成長したと証しされました。また中上祐子姉リーダー率いる本郷台キリスト教会員による素晴らしい賛美に聴衆一同心が洗われました。
3-7 8月30日 各国報告(1)
韓国、台湾、モンゴルの順に各国の報告を行いました。
韓国の軍人クリスチャンは、退役グループ、現役グループ、支援団体(MSO、MEAK)など,約6万人おり、陸軍、海軍、航空、海兵隊にそれぞれ立派な教会堂を持ち、また駐屯地にも教会堂と、軍隊の牧師(チャプレン)を持っている。
毎年6月には約1万人の兵隊がソウル郊外のオーサンリ祈祷院に集まり、聖霊大会を実施している。兵士の洗礼が一度に1000人から10000人単位で行われることもあると紹介されました。
台湾では、今年2月に会長が交代し、毎月1回の例会と役員会や聖書の学び会を実施しており、会員数は日本よりかなり多いようですが、高齢化している感じを受けました。
モンゴルでは、モンゴル軍人クリスチャンが急成長していることにみんな驚きました。スタッフ11人いて、専用の事務室を4部屋購入、士官候補生が毎週木曜日、青年幹部は毎週土曜日、高級幹部は毎週火曜日に聖書の学びをし、毎年1回、国内研修会を開催しているそうです。
3-8 8月30日 聖書講演
西岡力先生(麗澤大学客員教授)は、ルカ10:38-42、 ヨハネ12:1-3 から「マルタ」の生き方を話されました。マリアはイエスの話に耳を傾けていたが、マルタは一生懸命イエスにおもてなしをしていました。西岡先生は、そういう一生懸命給仕するマルタ、一生懸命自分の任務に励んでいる自衛隊員を好きですと話されました。
—> 「主にあって愛する軍人クリスチャンへ」
・Lee,Kap Jin 前東アジア会長のメッセージ
使徒の働き9:26-28より「励ましのリーダー・バルナバ」という題で、クリスチャンリーダーは、部下を励まし、力を与えなければならないと語りました。
3-9 8月30日 昼食後
日本で一番古い横浜海岸教会を全員で訪問。その後、横浜港を一周するティー・クルーズを楽しみました。その間、各国リーダーが集まり、船内で理事会を開催し、今後の計画につて議論しました。
8月30日の朝は猛烈な雨でしたが、午後から主の恵みで曇りから晴れに変わり、これこそ主の奇跡と主の祝福がありました。
3-10 8月30日 宣教大会
石田敏則牧師(シオンキリスト教団 蒲田教会・日本福音同盟副理事長) は、日本はバングラデッシュに次いで世界で2番目のキリスト教の未伝国家であるので、日本に住むクリスチャンは、もっと人々に福音を届けなければならいと語りました。
尾崎伸作兄(防大35期・IT企業社員)の証しでは、「いつまでも残るのは、信仰と希望と愛です。その中で一番優れているのは信仰です。」と思ったら、「その中で一番優れているのは愛です」とあり、宗教の枠を超えた大きさを感じたと話しました。
藤掛順一牧師(日本キリスト教団 横浜指路教会)は、へブル11:1-3から「すでにといまだの間」というメッセージの中で、私たちは「既に」与えられた救いの恵みに支えられて、「未だ」完成していない「望んでいる事柄」を希望を以て歩みましょう、と語られました。
3-11 8月31日 証し、各国報告(2)
長男を陸上自衛官にもつ井草晋一牧師(日本メノナイトブレザレン教団 武庫川キリスト教会 協力牧師)は、「主の両腕における協力と連帯による平和づくり」が重要な課題であると語られました。
各国報告では、タジギスタン、カザフスタン、キルギスタン、日本の順に発表がありました。まだ十分な組織ができていない中央アジアの報告でしたが、真剣に福音宣教の道を探しているようでした。
日本は、1898年 エステラ・フィンチ宣教師が黒田牧師と連携して海軍軍人を宣教し、その120年後に、黒田牧師の孫の海野涼子姉が今大会に参加したのは、まさに主の奇跡であると報告しました。加瀬真弓姉の「インマヌエル」の賛美は、参加者一同心を一つにした素晴らしい歌声でした。
3-12 派遣礼拝と閉会式
派遣礼拝では、朝岡勝牧師は、エパフロデトの例をとり、キリストのお役に立てない自分になっても、その時「主の憐れみ」の使者として生かされることを感謝しようと話された。
閉会式では、フィリップ・エクスナー元海兵隊大佐( ACCTS・軍人クリスチャン支援団体 理事長)による送別挨拶と感謝の祈りがささげられました。
3-13 8月31日 昼食解散
最後の昼食はそばとごはんセットをいただき、その後、それぞれ帰国の途に着きました。
3-14 大会後のホテル宿泊
モンゴル10名・中央アジア5名は、桜木町ワシントンホテルから関内地区のホテルに移動しました。これは,Rick さんご夫妻の手配であり、キルギスタン2名の出迎えと見送りを含めて、心から感謝する次第です。
3-15 世界会長夫妻の接待
8月29日早朝6時にスリランカからバンコック経由で羽田に到着、今市兄の出迎えにより、ホテル到着、以後、芝兄専用の車で移動して頂いた。奥様のディルハニさんといつも共に行動され、記念写真における大会の花として活躍して頂きました。9月1日の真夜中に羽田から母国へ帰国され、帰国後、今大会は良く準備され、細部まで行き届いた素晴らしい大会であったというお褒めのメールを頂きました。
4.結び
4-1 大会後の新聞・テレビ放送
本大会を取材した「クリスチャン新聞」 中田記者も好意的に宣教大会を記事にして頂きました。また日本CGNテレビも主として宣教大会を取材され、自衛官キリスト者への宣教や祈りが必要であると報じました。
4-2 大会の反省事項
かなり準備したつもりで臨んだ大会でしたが、いざふたを開けると様々な予想しない問題が噴出しました。①受付時の混乱の問題、②名札がない参加者の問題、③大衆賛美の問題、④長すぎるスピーチの問題など、多くの想定外の問題が起こりましたが、幸いに致命傷に至らず、許される範囲内でおさまったのは、主の憐れみ以外にはありませんでした。また通訳機のレシーバーは、関兄と荻原兄が献身的に管理して下さり、一時行方不明になったレシーバ-も最後すべて回収できたとの報告があり、ほっとしました。
4-3 大会予算と記念撮影
ホテル代を事前に払うように指示があり、それらを支払ったらコルネリオ会会計が底をつきました。あとは受付で各国からの参加費で大会すべての会計を賄うしかありませんでした。しかし、主は憐れみによって、何とか赤字を出さずに乗り切ったようです(まだ詳細は会計の長濱兄が大会後直ちに演習に出発したので計算しておりません)。記念撮影は伊東さんに各セッションごとに忍耐を以て撮って頂き、心から感謝する次第です。
4-4 感謝状の贈呈
閉会式で、韓国の前東アジア会長の Lee, Kap Jin と金学根牧師へ世界会長から、またカザフスタンのキム・バサリオンへ現東アジア会長から感謝状を贈呈して頂きました。
4-5 大会祝福への感謝
いずれにせよ、今大会は、至らない点が多々ありましたが、主の御手が働き、一人一人の働きを十分以上に働かせて下さいましたことを、主と先生方・奉仕者・参加者に心からの敬意と感謝を捧げるものであります。
以上 感謝して
石川信隆
コルネリオ会 会長