最近の旧統一協会への扱いに関する2つの危機感 −西岡力−

 

 

 

 


西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

最近の旧統一協会への扱いに関する2つの危機感

西岡力(SALTY主筆)
SALTY編集会議

 我が国にはカソリックとプロテスタントを合わせ100万人程度のキリスト教信者がいる。だから、全人口からするとごく少数だ。毎週日曜日に教会に集まり神への礼拝を行い、少なくない金額の献金もしている。これらすべては自発的に行っていることだ。信じている内容も行っている行動も大多数の日本人とはかなり異なっていることを自覚している。その立場から現在、政府が進めている旧統一協会への対応を危機感を感じている。

 なぜなら、これまで信教の自由という憲法で保障されている大原則によってできないとされてきたことが突然、できるとされたからだ。

 岸田首相は、宗教法人解散の要件は「刑法の不法行為」だけだとしてきた従来の立場を突然、変更して「民法の不法行為」も要件となると国会で答弁した。過去に解散命令は2件出されている。オーム真理教と霊感商法詐欺事件を起こした明覚寺だが、両者とも代表役員が刑事罰を受けている。しかし、旧統一協会は幹部が刑事罰を受けたことはない。文科省は首相の突然の要件変更を受けて、解散命令を視野に入れた質問権行使をすでに3回行った。このまま進むと解散命令を下す可能性が充分ある。

 なぜこのような重大な要件変更が突然なされたのか。誰が見ても許しがたい被害事例が最近、発生したのか。そうではない。安倍晋三元総理大臣テロの犯人が20年ほど前に母親が多額の献金を捧げたことで生活が苦しくなり旧統一協会を恨んでいたという情報が奈良県警からリークされた後、突然、ワイドショーを中心とするマスコミが旧統一協会たたきをはじめた。それによって旧統一協会を責める世論が急拡大し、その世論におされて政府が解散要件を変えたのだ。

 世論が変われば憲法に定められた信教の自由の枠組みがいとも簡単に変更される。少数派で多数派の日本人とはかなり異なる信仰を持つ私たちはそれを目撃して、その矛先がいつ私たちに向くかもしれないという危機感を感じざるを得ない。

 そして、もう一つ危機感感じるのは、キリスト教界のリーダーらが明らかに信教の自由が侵されている事態について反対の声を上げないことだ。安倍晋三政権が憲法解釈を変えて集団的自衛権の一部を行使することを可能にする安保法制を国会に上程したとき、多くのキリスト教界のリーダーらが、キリスト教団体の名前で反対の声を上げた。ところが、目の前で、宗教法人解散に関する法解釈が突然変えられ、ある宗教団体が解散の危機に瀕しているのにそれについて反対の意思表示がない。

 私たちの信仰がこの地で守られているのは、信教の自由があるからだ。その信教の自由が揺らいでいるとき声を上げない今のキリスト教界に私たちは強い危機感を覚えざるを得ない。

 

 

・NHK  2022年12月8日
「旧統一教会の被害者救済法案が衆院可決 賛成多数で」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221208/k10013916971000.html

 

・写真 第210回 国会(2022-10/3〜12/10)衆議院ホームページより

2022年 クリスマスメッセージ −木下春樹−

 

 

 

木下春樹

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY- 代表

網干キリスト教会 牧師

 

2022年 クリスマスメッセージ

クリスマスおめでとうございます。

 クリスマス、そしてそれに続くお正月は、子どもにとってワクワクする年中行事です。

 大人になっても老人になっても、そのワクワクは大切にしましょう。とにかく楽しみましょう。

 日常生活は忙しいです。最も大切な人は身近過ぎて摩擦も多くなるので、最も腹立たしい人に思えるという恐ろしさがあります。なので、少し日常を離れ、冷静になれば、真実が見えます。最も身近な人は、最も感謝すべき人であることがわかります。

それゆえ、クリスマス、お正月に限らず、誕生日や結婚記念日に、日常をちょっと離れて、あらためて神と人とに感謝することは、年中行事に託された祝福です。

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旧統一教会事件から学ぶ −亀井俊博−

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「芦屋福音教会」名誉牧師
「聖書を読む集い」牧師

“旧統一教会事件から学ぶ”

2022年12月1日

一年を振り返る時期

 キリスト教会では待降節を迎え、2022年も終わりに近づきました。一年を振り返る時期です。各自個人的な忘れがたい出来事があった事でしょうが、社会的には多難な年でした。世界的にはコロナ禍が続き、ゼロ・コロナからウイズ・コロナへと、頑なにゼロ・コロナ政策にこだわる中国を除いて、多くの国々で舵を切り替えました。またロシアによるウクライナ侵略に、欧米・日本等グローバル・ノース(主に北半球の先進諸国で帝国主義時代の旧宗主国が多い)先進諸国は憤りロシア制裁・ウクライナ支援を開始。中国・インド始めグローバル・サウス(主に南半球の発展途上国で、旧植民地が多い)の国々は結構な数が中立を決め込み、かつてのグローバル・ノースの植民地支配へのトラウマと反発を思い知らされました。

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カルト脱会者からこそ学べ(3)~「ひかりの輪」上祐史浩代表 ~ ー中川晴久ー

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本基督神学院院長
SALTY-論説委員

 

 私が最初に上祐さんと会ったのは、もう5ー6年ほど前になります。前回紹介した宗形真紀子さんの著書を読んで「ひかりの輪」を覗いてみたくなったからで、横浜の学習教室での学びの場に参加してみたのが最初です。
 横浜の学習教室は2DKで部屋も狭く20人も入ればもう満員で座る場所がない感じのとこでした。講話の前に少し基礎的なヨガの指導を受けたのですが、隣の人とぶつからないように何とか体を動かしました。その後で上祐さんの講話があり、質疑応答という流れでした。私はせっかく来たのだから、何か上祐さんの生き方の本質的なもの、その核心をつかみたいと思い、質疑応答で何を聴いたらいいのだろうとさんざん考えた挙句、結果単純にも「上祐さんにとって仏教とは何か?」という質問を投げました。

安倍晋三元首相を追悼し、国葬儀が平穏のうちに行われますよう、祈ります

・写真:首相官邸のホームページより

安倍晋三元首相を追悼し、国葬儀が平穏のうちに行われますよう、祈ります。

第一次内閣を含め、長期にわたり首相としてその責務を果たし、拉致問題の解決にも被害者のご家族とともに尽力されました。
国際的な指導力を発揮され、また、日本の安全保障の面で重要な平和安全法制等の整備に貢献されました。
心より哀悼の意を表し、9月27日の国葬儀が平穏のうちに行われますよう、祈ります。

2022年 9月13日

代表:後藤献児朗
主筆:西岡力
編集会議一同

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【 書評 】桜林美佐著『危機迫る日本の防衛産業』-中川晴久-

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本基督神学院院長
SALTY-論説委員



防衛問題研究家である桜林美佐さんの著書『危機迫る日本の防衛産業』が出版されました。桜林さんは防衛問題について長年地道な取材を続けられ、「チャンネルくらら」では毎週土曜日『桜林美佐の国防ニュース最前線』にて日本の安全保障の重要な情報提供をしてくださっています。

安倍さんは統一協会と関係ない。(3)~敵対関係という「関係」~ −中川晴久−

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員

 世間ではまだほとんど取り上げられていない重要な問題があります。それは安倍元総理が第一次政権より「戦後レジームからの脱却」を掲げ、その後も一貫して取り組んできた教育改革です。この教育改革は、統一協会による日本人支配を阻止するために必要不可欠なものでした。本来、統一協会問題を語る上ではもっとも語られるべきテーマなのです。 “安倍さんは統一協会と関係ない。(3)~敵対関係という「関係」~ −中川晴久−” の続きを読む

安倍さんは統一協会と関係ない。(2)  ~問題のメッセージビデオ~ −中川晴久−

 

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員


<世界認識とのズレ>

昨年9月、安倍元総理がトランプ元大統領と共に、統一協会系の国際NGO団体の「天宙平和連合」(Universal Peace Federation:以下略称「UPF」)に対してメッセージビデオを送ったことで、安倍さんと統一協会はズブズブだったという論調が飛び交いました。安倍元総理を襲撃した山上徹也容疑者もそれをもって、統一協会と安倍元総理が関係していると思い込んだと伝わっています。しかしこれは統一協会に対する日本と世界の認識とのズレが引き起こした誤解といえるでしょう。
(※統一協会の表記は本来、カルト問題の専門家の間では「統一【協会】」を使用しており、現在「統一【教会】」とメディアが表記することには強く反対したい。)

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宗教アレルギーこそが危険カルトの呼び水となる ~ 明石清正 ~

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 現在(2022年7月11日)、安倍元首相の暗殺犯が、宗教団体(統一協会のこと)に対する恨みで、それとのつながりが安倍氏がこの宗教団体に近いということで、彼を狙ったと供述しているという報道が起こっています。とても気になっていることがあります。下の記事に、その懸念が明確に書かれていたので、ご紹介します。

誰がどんな理由で「安倍氏と宗教の関係がテロの原因」と言っているのか

政治と宗教の癒着を、現状以上に大きく見せるネット情報

 私は非常に少ない経験ではあるものの、政治家の方々、しかも、後に副大臣やその他の役職を務めた自民党の方々にもお会いしたことがあります。そして数多くの経営者の方々にもお会いしてきました。

 良い意味で驚きでした。それは、一般にキリスト教に対して抱いているアレルギーがない、ということです。人は宗教を持っているもの、というぐらいまでの心の余裕がおありで、キリスト教の牧師が、違和感なく関われる雰囲気があります。当該の政治家の方々も、普通に接してくださいました。しかも、ご質問が適切なのです、いわゆる偏見や無知というものが、かなり少ない内容です。

 それは逆に言うと、政治と宗教、また経済が密接につながっているように見える、ということです。けれども、宗教が政治の世界を支配しているというところまでの力は、実際はありません。そこまで言ってしまえば、陰謀論の領域になると思います。

「日本会議」陰謀論

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安倍さんは統一協会と関係ない。(1) −中川晴久−

 

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本キリスト神学院院長
SALTY-論説委員

<統一協会 現「世界平和統一家庭連合」>

旧名称「世界基督教統一神霊協会」は、その略称で「統一協会」と呼ばれカルト団体として、広く一般に恐れられています。この統一協会と安倍総理との関係がネット上で噂されており、統一協会の問題が話題にあがるときに何度かその関係性についての質問も受けました。もちろん、私はその度に「安倍さんは統一協会は関係がない。」という回答をしてきました。
以下のことで、ご理解いただけると思います。