韓国保守派の極右化を憂える −西岡力−

写真:ソウル市鐘路区にある憲法裁判所庁舎(Wikipedia より)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

韓国保守派の極右化を憂える

西岡力 / 2025.04.07 (月)

 4月4日、韓国の憲法裁判所が尹錫悦大統領を罷免した。韓国は陰謀論に取り付かれて戒厳令を宣布した大統領を憲法の枠の中で退けることに何とか成功した。

 ●戒厳宣布の大統領罷免
 憲法裁判所は全員一致で、戒厳宣布を重大な憲法違反、法律違反と認めた。韓国憲法は大統領に戒厳宣布の権限を付与しているが、「戦時、事変またはこれに準ずる国家非常事態」の場合、という要件を付けている。
 戒厳談話や憲法裁判所の審判で尹氏と弁護団は、野党が圧倒的多数を占める国会が「犯罪者集団の巣窟となり、立法独裁を通じて国家の司法・行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企てている」として、宣布要件が満たされていたと主張した。また、現在の国会議員を選出した昨年4月の総選挙で国外勢力の介入による大規模な不正が存在したとか、戒厳宣布は野党の横暴を国民に知らせるための「警告性戒厳」「啓蒙令」だったと主張した。
 しかし、憲法裁判所は、野党との葛藤や不正選挙への疑いは「政治的、制度的、司法的手段を通じて解決すべき問題であって、兵力を動員して解決できるものではない」と述べ、国民への警告は憲法の定める戒厳の目的に当たらないとした。

解散命令は信教の自由を侵す―旧統一協会問題 −西岡力−

写真:東京地方裁判所(Wikipedia)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

解散命令は信教の自由を侵す―旧統一協会問題

令和7年3月31日

 3月25日、東京地裁は世界平和統一家庭連合(旧統一協会)に対して宗教法人としての解散命令を下した。家庭連合は即時抗告をするというので、上級裁判所の判断を待つことになる。だが、今回の決定で、わが国の信教の自由は大きく制限されたと思う。家庭連合の教義には全く同意できない。しかし、数十年間、この国で宗教法人として認められて宗教活動を行ってきた団体が、政府の突然の法人解散要件の変更とその遡及的適用で解散請求がなされ、地方裁判所が請求を受け入れる事態に、恐怖を感じざるを得ない。

“解散命令は信教の自由を侵す―旧統一協会問題 −西岡力−” の続きを読む

「慰安婦は売春婦」発言の韓国教授の無罪確定 −西岡力−

写真:「歴史認識問題研究会」のサイトより
2023年3月16日、歴史認識問題研究会訪韓団と
懇談する柳錫春元教授(写真左から2番目)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

「慰安婦は売春婦」発言の韓国教授の無罪確定

韓国の学問の自由は守られた。大学講義の中で戦時中の慰安婦の強制連行を否定し、慰安婦は「売春の一種」に従事していたと発言したことで刑事訴追された柳錫春・前延世大学教授の無罪が確定した。2月13日、韓国最高裁判所は、この発言は名誉毀損罪に当たらないとした高裁判決を維持し、検察の上告を棄却した。

 

“「慰安婦は売春婦」発言の韓国教授の無罪確定 −西岡力−” の続きを読む

有本明弘さんのご逝去について − 西岡力 −

写真:拉致被害者御家族等との面会 (有本明弘さん:前列の右)
令和6年3月4日(首相官邸のサイトより)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長

有本明弘さんのご逝去について

2月15日、家族会の創設メンバーである有本明弘さんが逝去された。

明弘さんは奥様の故嘉代子さんとともに、家族会・救う会ができる前から、拉致被害者救出運動に取り組んできた先駆者だった。その有本さんご夫妻がついに恵子さんと抱き合うことがかなわなくなってしまった。一緒に戦ってきた者として、悲しいし、悔しい、そして申し訳ない。

明弘さんは90歳を過ぎても新聞とテレビでニュースを見て国内外の政治情勢について考え、恵子さんをはじめとする拉致被害者をどのように助けるのかについてご自身お考えをまとめて、私たちや、首相や担当大臣を始めとする政府、有力国会議員に伝えてきていた。

昨年12月、林芳正担当大臣に政府がどのような道筋で被害者を助けようとしているのかを明らかにせよと強い調子で迫っていた姿を思い出す。

ご逝去の翌日の16日、私たち家族会・救う会は合同会議を開き「時間がない、政府は親の世代が存命のうちに全拉致被害者の即時一括帰国を実現せよ」という新運動方針を決めたところだった。

残る家族会メンバーの親世代は横田めぐみさんの母の早紀江さんお一人になってしまった。私たちは新運動方針に沿った国民運動を全力で展開していく決意を新たにするものだ。

 

令和7年2月17日

北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長 西岡 力

不正選挙陰謀論を信じる尹氏と支持者 −西岡力−

写真:尹錫悦大統領と青瓦台

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

不正選挙陰謀論を信じる尹氏と支持者

2020年 1月20日

韓国の尹錫悦大統領支持派は昨年12月31日に大統領への逮捕状が出てから連日、数千から数万人を集めて路上集会と大規模デモを行ってきた。その一部が1月19日未明、勾留令状発付を決めたソウル西部地裁を一時占拠し器物破壊を行った。
尹大統領支持派は白地に赤い文字で「STOP THE STEAL」と書かれた紙のビラを持っている。これは米大統領選でトランプ氏の支持者が掲げた「不正選挙で票を盗むのをやめろ」という意味のスローガンだ。裏側には「CCP OUT」の文字があった。「中国共産党出て行け」という意味だ。尹大統領支持者は韓国で中国共産党が介入した不正選挙があったと信じているのだ。

“不正選挙陰謀論を信じる尹氏と支持者 −西岡力−” の続きを読む

トランプ氏当選を拉致解決のチャンスとせよ−西岡力−

写真:2019年6月30日 米朝首脳会談(Wikipedia)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

トランプ氏当選を拉致解決のチャンスとせよ

トランプ第2期政権の登場は、北朝鮮による拉致被害者救出のチャンスになり得る。

トランプ氏は第1期政権時代、日本人拉致問題に精力的に取り組んだ。2017年の国連演説で「13歳のかわいい少女」が拉致されたとして横田めぐみさん拉致に言及し、北朝鮮を糾弾した。拉致被害者の家族会とは2回もじっくり面談して訴えを聞き、その場で被害者有本恵子さんの父、明弘氏が渡した手紙に、直筆の返事を送ってきた。故安倍晋三元首相は私に、「一緒にゴルフをすると大統領と長時間話ができる。トランプ氏と最初にゴルフをしたとき、カートの中でずっと拉致の話をした」と語った。 “トランプ氏当選を拉致解決のチャンスとせよ−西岡力−” の続きを読む

韓国与党惨敗で政権運営に厳しさ増す −西岡力−

写真:尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領  2023-3/16

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

2024.04.15 (月)

韓国与党惨敗で政権運営に厳しさ増す

 4月10日、韓国で国会議員選挙があった。韓国の国会は300議席の1院制で、任期は4年で解散はない。1回の選挙でその後1年間の立法府の力関係が決まる。結果は与党「国民の力」が108議席しか取れず、惨敗した。第1野党の「共に民主党」が175議席、曺国・元法相が3月につくった祖国革新党が12議席、その他野党5議席で、野党の合計は192議席だ。

“韓国与党惨敗で政権運営に厳しさ増す −西岡力−” の続きを読む

北の揺さぶりに日本は原則を曲げるな −西岡力−

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

北の揺さぶりに日本は原則を曲げるな

北朝鮮の金正恩政権の対日姿勢が突然硬化した。岸田文雄政権はこれまでと全く変わらない原則的なことを言っているだけなのに、北朝鮮はそれを問題視し、いかなる接触も交渉も拒否すると高官が繰り返し表明している。

“北の揺さぶりに日本は原則を曲げるな −西岡力−” の続きを読む

北朝鮮核脅威をなぜ直視しないのか 〜西岡力〜

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

北朝鮮核脅威をなぜ直視しないのか

2023.12.25 (月)

 12月18日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射訓練を行った。火星18は固体燃料型で、4月と7月に試験発射が行われていた。私がこれまで繰り返し強調しているように、試験発射とされるのはまだ開発が終わっていない段階であり、開発が終わると実戦配備されて発射訓練が行われる。従って、ついに固体燃料型のICBMが実戦配備されたことを意味する。

“北朝鮮核脅威をなぜ直視しないのか 〜西岡力〜” の続きを読む

慰安婦の真実めぐる戦いは続く−西岡力−

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
麗澤大学特任教授
国基研企画委員兼研究員

慰安婦の真実めぐる戦いは続く

2023/11/21

ソウルで開催 学術シンポジウム

 慰安婦問題の真実を巡る激しい闘いが続いている。9月5日、ソウルで日韓の学者らが集まって学術シンポジウムを開いた。実証的研究をもとに「慰安婦は軍が管理した公娼(こうしょう)であって、強制連行された性奴隷ではない」との立場でシンポが韓国で開かれるのは史上初だった。私を含む日韓の参加者は「慰安婦のウソと戦う日韓真実勢力共同声明」を採択し、次のように主張した(一部略)。

“慰安婦の真実めぐる戦いは続く−西岡力−” の続きを読む