虚像と実像 −久保田典彦−

『キリシタン史からのメッセージ』
 高槻・Ucon:第29回 

 

 

━ 久保田 Ucon 典彦 ━

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

虚像と実像

● 私たちの 主イエス・キリストにも、髙山右近にも、当時の、残された画像があるわけではありません。

 イエス・キリストの場合は、「 聖書 」 があります。また 歴史史料を補助として、“ 私のキリスト像 ” を心に描いていくことになります。
“ これが正解 ” というものが ないわけですから、百人百様 の キリスト像になります。
絵画 ・ 彫刻 ・ 小説 ・ 映画 ・ ドラマ ・ 音楽 ・・・・・ いろいろな形で表現された キリスト像を見て、共鳴し・感動してきました。
それぞれが、真摯に、精一杯の キリスト像を描き ・ 演じ ・ 表現しています。
それぞれに対して、私の琴線に触れるものには、私も共鳴していくことになります。

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コロナ危機による失業問題の積極的な解決策について −金井 望−

論説委員 金井 望

「あなたがたもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を支払うから」
「自分の分を受け取って帰りなさい。私はこの最後の人たちにも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ」
(マタイ20:4,14)

  ぶどう園のたとえ

 冒頭に掲載した絵は、イエス・キリストが語ったたとえ話の一場面を描いたものです。紀元30年頃のユダヤ社会には、自分の農地を持たない日雇い労働者がいました。

 ある農園主が夜明け頃に町に出かけて行って、1日1デナリオン賃金を支払う約束で労働者を雇い、ぶどう園に送りました。農園主はその後もたびたび労働者を雇い、「ふさわしい賃金を支払う」と言って、ぶどう園に送りました。その日、早朝から働いた者たち、9時頃から働いた者たち、正午頃から働いた者たち、午後3時頃から働いた者たち、午後5時頃から働いた者たちがいました。夕方6時頃になると主人は管理人に命じて、最後に来た者から始めて最初に来た者まで順番に、労働者全員に1デナリオンずつ賃金を支払わせました。

 すると、最初に雇われた労働者たちが農園主に不平を言いました。
「俺たちは、この暑い日に一日中、辛抱して働いたんだ。それなのに、なぜ1時間しか働かなかったこの連中と俺たちの賃金が同じなのか」
農園主は応えて言いました。
「私は不当なことをしていない。あなたは私と1デナリオンで契約したではないか。私はこの最後の人たちにも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。自分の金を自分のしたいようにして、何がいけないのか」

 1デナリオンはローマ帝国の銀貨で、当時、一日の労賃の標準となっていた金額です。午後5時頃に雇われた労働者たちは、その時刻にそこに来たのではありません。彼らは一日中そこに立っていたのですが、誰も彼らを雇ってくれなかったのです。雇用者は当然ながら、能力の高い労働者から雇って、連れて行きます。最後に残るのは、能力が低い労働者たちです。元気で勤勉な青年男子は真っ先に雇ってもらえますが、老人や女性、子ども、病人、障がい者、外国人などは後に回されがちになります。けれども、生活費として一日に1デナリオンを必要としているのは、どこの家庭も同じでした。

イエスは「天の国は次のようにたとえられる」と言って、この話をしました。「社会主義の国を造れ」と言っているのではありません。天の父がひとりひとりの人権と生活に配慮しておられること、神の御心が実現する世界ではこの世と異なった価値観が支配することを、イエスは教えたのです。

  10兆円の予備費と失業問題

さて、新型コロナウイルス対策を推進するために編まれた今年度第2次補正予算が6月12日の参院本会議で可決、成立しました。一般会計の追加歳出は補正予算として過去最高の31兆9114億円であり、財政投融資や民間融資なども含めた事業規模は117兆1000億円にのぼります。第1次補正予算と併せた事業規模はGDP(国内総生産)の4割にあたります。

 第2次補正予算は(1)雇用調整助成金の拡充(2)資金繰り対応の強化(3)家賃支援給付金の創設(4)医療提供体制の強化 が柱となっていますが、さらに10兆円の予備費が計上されています。これを用いて、コロナ危機による失業問題を解決する方策を、筆者はここで提案します。 “コロナ危機による失業問題の積極的な解決策について −金井 望−” の続きを読む

キリスト者の社会的責任とは? −西岡 力−

・写真:横田拓也さん提供(2020年6月8日 葬儀)

 

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長
モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授

キリスト者の社会的責任とは?

〜横田滋さんの決断と召天に寄せて〜

 横田滋さんの召天により、北朝鮮による拉致問題に対する関心がまた、高まり出している。その中で、安倍政権が結果を出していないことを激しく批判する一部の政治家やマスコミに対して、横田めぐみさんの弟の哲也さんが、安倍政権はよくやっている、拉致を否定していた勢力が、その結果、被害者救出が遅れているのに、今になって安倍政権批判をするのは卑怯だという趣旨の発言をされた。
(6月9日:横田滋さん死去で家族が記者会見)

その会見の席にいた私は全く同感だった。

 そして、2002年に北朝鮮が拉致を公式に認めるまで、大多数のキリスト教関係者が冷たい態度をとっていたことを想起して、様々なことを考えた。

 キリスト者の社会的責任とは、一部の政治勢力に同調して政権批判をすることなのか。自分の頭でしっかり現実を認識して、サタンの手先とも言える北朝鮮個人独裁政権、中国共産党政権による重大な人権侵害、そこには信教の自由侵犯も含まれている、に声を上げることこそ、日本のキリスト者に今求められている社会的責任ではないかと強く思っている。

 安倍政権をいま批判する勢力が過去に横田めぐみさんたち救出運動をいかに妨害してきたのかを、産経新聞に寄稿した。ぜひこれを読み、キリスト者の社会的責任について深く考えるきっかけにしてほしい。

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「滋さんの思い出」− 西岡力 −

6月8日、川崎市にある中野島キリスト教会で行われた横田滋さんの葬儀で、西岡力(SALTY 主筆)が語った「滋さんの思い出」です。

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長

 

私もキリスト者の末席を汚す者ですので、聖書の言葉をまず引きます。

新約聖書エペソ書2章8〜10節

あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。
行ないによるのではありません。だれも誇ることのないためです。
私たちは神の作品であって、良い行ないをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行ないに歩むように、その良い行ないをもあらかじめ備えてくださったのです。

天国に召された滋さん

 滋さんとお目にかかって23年以上が経ちます。滋さん、早紀江さんご夫婦と、日本全国そして米国、韓国などさまざまなところにご一緒させていただきました。その中で、日曜日にあたり、なおかつ少し時間の余裕があるときは早紀江さんと近所の教会に行ったり、ホテルにて二人で聖書を開き祈る時をもつことがありました。そのとき、滋さんはあまり良い顔をされませんでした。
「早紀江がキリスト教を信じることは、それがなければ悲しみのため精神がおかしくなったかも知れないから良かったと思う。しかし、自分は信じない。神がいるならなぜ、愛する娘を突然奪うこのような不条理を許しているのか。どの神さまでも拝んだらめぐみを連れてきてくれるなら拝みます。神は弱い人間が心の安定を図るために拝むものだ。一番苦しいのは北朝鮮にとらわれている娘だ。彼女が苦しんでいるのに、父である自分だけが宗教に頼って心の安定を得たら申し訳ない」

 このような趣旨のことを話されるのを何回か聞いたことがあります。ただの人間にしか過ぎない私には、なぜ、神さまがめぐみさんと横田滋、早紀江ご夫妻にこのような過酷な試練を与え、いまだに解決を与えないことについて、理由を説明できません。わからないことの方が多いです。しかし、滋さんがキリストを信じて洗礼を受けられました。それは滋さん本人や早紀江さんなどの努力によるものではありません。滋さんが良い行いをしてきたことへの報いでもないです。ただ、不思議な神さまの賜物、プレゼントでした。

・横田滋さんの葬儀(横田拓也さん提供 3枚)

 しかし、聖書は言います。人にはこの世でなすべき良き行いがあらかじめ備えられている。滋さんにとってそれは強いられた「良い行い」だったかもしれません。しかし、その道を勇敢に戦い抜きました。よくやった、もうこれくらいでいいよ、天国で休んでめぐみさんを待ちなさいと神さまに言われて、天国に旅立ちました。

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元慰安婦の挺対協批判と日本の教会 −西岡 力−

・写真:ムクゲの花(韓国)と桜(日本)

西岡 力 教授(SALTY 主筆)

 

 

 

西岡 力

日本キリスト者オピニオンサイト
-SALTY-  主筆
国基研企画委員兼研究員
・麗澤大学客員教授

 

元慰安婦の挺対協批判と日本の教会

 牧師が教会員から献金を集め、ある問題の被害者を支援する団体に寄付した。ところが、被害者が「集められた寄付金は団体リーダーが勝手に使っていて、自分たちの支援に使われていない、団体は自分たちを資金集めに利用してきた、もうその団体主催の行事に参加しない」と批判し、連日、マスコミがその団体とリーダーの不正を暴露し、検察が本格的に捜査に入り、団体事務所が家宅捜索を受けた。そのような事態が起きたとき、その牧師はどうすべきか。少なくとも、献金をしてくれた教会員に現状を報告し、団体に対する評価を間違えてしまったことを謝罪すべきではないか。私はそう考える。

 今、韓国で約30年間、元慰安婦のおばあさんたちを前面に立てて、日本を含む全世界から莫大な寄付を集め、継続して反日活動を展開してきた挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会、数年前に正義連と改称)とその前代表で国会議員当選者の尹美香氏が、30年共に運動をしてきた元慰安婦李容洙氏から激しい批判を浴び、それが契機になって連日、会計不正と政治的偏向などが暴かれ、ついに検察が事務所を家宅捜索する事態が起きている。

 李容洙氏は挺対協が30年近く、ソウルの日本大使館前で続けているいわゆる水曜集会についても、憎悪を煽るだけで解決につながらないと批判して不参加を宣言した。

 日本の牧師やキリスト教関係者で水曜集会に参加して謝罪を行い、寄付金を渡してきたものはかなりの人数になる。それらの方々が現在の事態について考えを公表したものをいまだ、私は目にすることができない。

 私はキリスト者学者として慰安婦問題に30年取り組んできた。その立場から、現在の事態について書いた拙文二つをクリスチャン・オピニオン・サイトであるソルティ(SALTY)にアップする。主の前にタブーのない、議論をして行けたら幸いだ。

 

・暴露された慰安婦支援団体の偽善(2020-5/25)

・【韓国情勢】韓国でも暴かれ始めた慰安婦問題の虚構(2020-5/25)

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『集団免疫』を求めるのか、それとも『日本民族の姿』を求めるのか? −井草晋一−

 

井草晋一
SALTY 編集長
日本メノナイトブレザレン教団
武庫川キリスト教会  協力牧師

『集団免疫』を求めるのか、それとも『日本民族の姿』を求めるのか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感染防止の取り組みについて、西洋社会の一角、それも、20世紀以来の福祉国家と言われる、スウェーデンの「集団免疫政策」の報道を知り、驚きを禁じ得ません。

<Newsweek 2020-0501>
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93307.php

しかし、日本の場合は、発熱者、体調不良の自覚者のみを検査し、軽症以上の人を自宅待機、指定されたホテルでの自主隔離、また、重病の方や重症化の危険性のある方のみを入院させるという方法は、この「スウェーデンの集団免疫政策」に近いのかも知れません。(4月末現在)

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日本語 は むずかしい! − 久保田典彦 −

『キリシタン史からのメッセージ』
 高槻・Ucon:第28回 

 

 

 

━ 久保田 Ucon 典彦 ━

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

 【 日本語 は むずかしい! 】

● 1549年8月15日に、フランシスコ ・ ザビエルは、祈り ・ 願っていた 日本の地に やってきたのでしたが、

日本に来るまでの 2年間の 準備の間、日本に関する 情報を集め、日本語についても、少しは 習得しようとしたはずです。

しかし、言葉を語って、キリスト教のことを 伝えていこうとしている宣教師にとって、言葉の問題は、一番大きな課題でした。

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日本経済を守る~リフレ派理論~ -中川晴久-

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
主の羊クリスチャン教会牧師
SALTY 論説委員

トランプ大統領は、新型コロナウィルスの影響で困窮している自国民のために、早い段階でお金を配ることを決断しました。日本政府のおそい対応とはまるで正反対です。

米国がなぜお金をすぐに配ったか?

 経済学におけるリフレ派理論が確立していたからです。
米国ではすでに恐慌についての分析と研究ができています。さらに恐慌から抜け出すノウハウもある。だから、米国はそのマニュアルに沿ってお金を出しました。
ノーベル経済学賞の受賞者が出るくらいのちゃんとした最先端の経済理論があってのことです。
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イースターメッセージ~イエスとの出会い~ -中川晴久-

 

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
主の羊クリスチャン教会牧師
SALTY 論説委員

イースターメッセージ「イエスとの出会い」
Ⅰコリント15:1-9

イースターとは、イエス・キリストが復活されたことを祝う日です。
少々難しく言えば「イエス・キリストは十字架にあって死を打ち破りよみがえった。主イエスは死を打ち破り、人類を罪の支配から解放して下さった。」ということでしょう。
このイエス・キリストの死からのよみがえりを、<復活>といいます。
ただ、そんな堅苦しい言い回しではなく、もっとそこにはキリスト教の本質的なあり方と意味があります。

さて、「復活」は信仰者でない人たちにとっては「最大の難所」ともいわれています。教会に初めて来た人が「復活」について「それは後の人が勝手にでっち上げた物語だ!」と言うのを、私も聞いたことがあります。
この死からの復活という「最大の難所」を通ることができれば、信仰を持っていないよという人も、信仰を持つことができるでしょう。
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イースターおめでとうございます

よみがえられたイエス・キリスト

イースターおめでとうございます。

皆様と、ご家族お一人お一人の上に、神様の守りと慈しみが豊かにありますように、お祈りいたします。

 

神の大能の力の働きによって私たち信じる者に働く神のすぐれた力が、どれほど偉大なものであるかを、知ることができますように。

(新約聖書・エペソ人への手紙1章19節)

 

2020年(令和2年)4月12日

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-
代 表:後藤献児朗
主 筆:西岡 力
編集長:井草晋一
編集会議・論説委員一同