髙山飛騨守とロレンソ −久保田典彦−

※ 写真の正面の山が、沢城のあった 城山 ( 525m )

『キリシタン史からのメッセージ』
 高槻・Ucon:第35回 

 

 

 

━ 久保田 Ucon 典彦 ━

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

 

 髙山飛騨守とロレンソ

● 大和を治める 松永久秀 ( 弾正 ・ 霜台 ) のもとにあって、大和 ・ 沢城を託されていたのが、髙山飛騨守 ( 右近の父 ) でした。

主君の松永久秀は、熱心な法華宗徒でしたが、家臣の髙山飛騨守も 同様でした。

飛騨守は、同じ 松永久秀に仕える ・ あれほどの学識のある結城山城守、そして、清原枝賢までもが、キリスト教の話を聞き、信じて、洗礼を受けたことを知り、これは 重大な出来事であり、キリスト教には、何か 重要なことがある と感じました。

● 丁度、二人に洗礼を授けるために 奈良に来ていたヴィレラ神父が、日夜、ロレンソ修道士を通訳として、神のことを伝えていた集まりに出かけて行き、くりかえし熱心に、神 ・ デウスのことを聴聞し、異常なほどの感銘を受けたのでした。

そして、ただちに、そこで ヴィレラ神父から洗礼を授けてもらい、
“ ダリオ ” の霊名を授かったのでした。 髙山ダリオ飛騨守

“髙山飛騨守とロレンソ −久保田典彦−” の続きを読む

「電子書籍」クリスマス特別販売_2020 のご案内 −井草晋一−

10年前より、キリスト教文書の電子書籍を制作・発行している「Piyo ePub Communications」では、この度、著者の先生方のご協力により、アドベント(11/29)より「クリスマス特別販売」開催中です。

● 「電子書籍」クリスマス特別販売_2020 のご案内

クリスマスプレゼント(無料)/半額販売)

期間:11/29(アドベント)~ 12/30

ーーー

プレゼント(無料)と半額の「電子書籍」をご用意しています。

皆様、この機会にどうぞ「電子書籍版」をお読みください。
どれも、とても素晴らしい「キリスト教 信仰良書」です。

■ 今回は、以下の5冊が「クリスマスプレゼント(無料)」です。

“「電子書籍」クリスマス特別販売_2020 のご案内 −井草晋一−” の続きを読む

書評 倉山満著『ウッドロー・ウィルソン』 −中川晴久−

 

 

中川晴久
東京キリスト教神学研究所幹事
日本基督神学院院長
SALTY-論説委員

 

<はじめに>

 倉山満著『ウッドロー・ウィルソン』には、「全世界を不幸にした大悪魔」という副題がついています。
かつて私はこんな問いを投げかけられたことがあります。

「〈オレは悪魔だ。〉という人間と〈オレはキリストだ。〉という人間のどちらが悪魔だろうか?」と。

当時の私はどっちもどっちだと思って返答できませんでした。みなさんなら何と答えるでしょう。もちろん二者択一の答えなどないわけです。子供の頃に同級生のやんちゃな友達が「オレは〇〇だ!」と言っていた中に、「悪魔だ!」「神だ!」もあったでしょう。自分でもそんなことを言ったことが一度や二度あるかもしれません。でも、現実がちゃんとこれを否定し矯正してくれるものです。しかし、大人になっても「オレは悪魔だ。」「オレはキリストだ。」と本気で信じている人がいたとしたら、どうでしょう。
この『ウッドロー・ウィルソン』を読むと、この問答の正解が差し出されているようにも思えてくるのです。

“書評 倉山満著『ウッドロー・ウィルソン』 −中川晴久−” の続きを読む

キリスト者の政治との付き合い方 ~”不正選挙”にのめり込んでよいのか?~ −明石清正−

写真:By Tom Arthur from Orange, CA, United States – vote for better tape, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5131677

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

米大統領選の不正選挙のニュースが、英語、日本語問わず、私のフェイスブックのタイムラインに入ってきます。その中で、不安な思いにさせる文言が流れてきます。「クリスチャンは何も知らない」「今回の大統領選は光と闇を分ける分岐点」であるとか。

 一種の霊的エリート主義に陥っているのではないか?と感じました。つまり、「あなたは未だ、このことについて知らない」として、私たちは知っているから、この情報を得なさいと誘い、そして、その先には、ディープ・ステイト(影の国家)を粉砕する、世を救うトランプ大統領がいる、という流れです。

“キリスト者の政治との付き合い方 ~”不正選挙”にのめり込んでよいのか?~ −明石清正−” の続きを読む

米中対立の向うに(第3回)−亀井俊博−

・写真:Merry Christmas !  (Mukogawa Christ Church_2017)

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「米中対立の向うに」

執筆:2020年11月12日

<第3回(最終回)>
・3回の連載で掲載いたしました。(SALTY編集部)

—–>  <第2回>より

 

(9)中国の改革

世界史の二系列

 その際、特に中国は何を西欧・日本から学ぶべきかを次に考えます。その前提に経済史の速水融元慶応大教授(TVの歴史番組で人気の歴史家、磯田道史氏の師)の説く「世界史の二系列(複線)説」を紹介します。(ブログ、2020・12・2“新しい世界史像への挑戦”

 この説は、京都学派の生態学者梅棹忠夫元京大教授の「文明の生態史観」に強く影響を受けた説です。即ち世界史は従来の西欧中心の歴史学が説く、古代→中世→近代、と単線的に発展したものではない。これはアジア大陸の東西辺境の地、西ヨーロッパと日本にのみ共通した歴史発展理論であり、これを「世界史の第一系列」と速水氏は呼ぶ。それに対して、アジア大陸の中央部(中国、インド、モンゴル、ロシア、アラブ)では、古代に形成された専制的諸帝国の興亡が循環するだけで、歴史的発展が「化石化」し、いわゆるアジア的停滞となった。これが「世界史の第二系列」です。

“米中対立の向うに(第3回)−亀井俊博−” の続きを読む

米中対立の向うに(第2回)−亀井俊博−

Embed from Getty Images

・写真:GettyImages 「闇に輝く光」(あべのハルカス・キャンドル)

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「米中対立の向うに」

執筆:2020年11月12日

<第2回>
・3回の連載で掲載いたします。(SALTY編集部)

—–>  <第1回>より

(5)パンダ・ハッガー、ドラゴン・スレイター

米国の対中政策の転換

 この間(かん)米国は、経済学者ロストウの説く、共産革命抜きの近代化開発理論の実践により成功した日本、韓国、台湾、アセアン諸国にならって、中国も経済が発展すれば、やがて政治も民主化できると支援を惜しみませんでした。しかし、改革開放以後の米国を脅かす経済発展と裏腹に、政治は共産党一党独裁を強化し、民主勢力は弾圧、香港民主化運動弾圧は明日の台湾、韓国、日本の姿と言う危機感を覚える様になりました。

 そこで米国は中国への関与、パンダ・ハッガー(パンダ中国支援)政策の失敗から、ドラゴン・スレイター(龍退治)政策にシフトしました。果たして、米国は20世紀前半の日独伊全体主義、後半のソ連東欧の共産主義、高度成長日本の挑戦に各勝利したように、21世紀、中国の覇権主張を退けることが出来るでしょうか?

“米中対立の向うに(第2回)−亀井俊博−” の続きを読む

米中対立の向うに(第1回)−亀井俊博−

・写真:赤いバラと聖書(薔薇はアメリカの国花)

 

 

 

バイブル・ソムリエ:亀井俊博

「西宮北口聖書集会」牧師
「芦屋福音教会」名誉牧師

 

「米中対立の向うに」

執筆:2020年11月12日

<第1回>
・3回の連載で掲載いたします。(SALTY編集部)

(1)米中対立の向うに、踏み絵

 最近、あるキリスト教福音派のオピニオン・リーダーの方より、中国との関係を日本の福音派キリスト教も考えなければならないときが来たと言う、お話しを個人的に頂きました。それに刺激を受けて、私が今まで発表した幾つかの中国論をめぐるエッセイを、中間報告的にではありますがまとめてみたいと思います。
なお、発表済みのエッセイ、ブログ“バイブル・ソムリエ”の掲載日時はその都度記します。また、本論は拙著「カイザルと神」(電子書籍)中の「政治のナラテイヴ」、「歴史のナラテイヴ」をベ-スとしています。

 中国の急速な台頭と米国の相対的な退潮、と言う歴史的激変を背景に、日本は防衛安全保障は米国との安保同盟関係、経済は貿易相手国第一位の中国の発展に与る、このバランスの上に成り立ってきました。しかし、ここにきて米中対立が激しくなり、いわゆる「ツキジデスの罠」(米政治学者グレアム・アリソンの論。つまり古代ギリシャの歴史家ツキジデスが描いた故事にならう説。紀元前5世紀のギリシャ「ペロポンネソス戦争」、新興都市国家アテナイが、旧勢力都市国家スパルタに挑戦した事が歴史上繰り返され、その現代版が新興国家中国の旧勢力米国への挑戦、として再現されている。)と言うのです。

 今や、米国は中国関与政策を止め、封じ込め政策にシフト。経済的にだけでなく軍事的にも欧州のNATO(北大西洋条約機構)にならって、東南アジアでSEATO(東南アジア条約機構)を再編しようとしているとか。勿論、今回の米大統領選挙の結果、従来親中派の民主党のバイデン大統領が誕生した場合、事態は少しは緩和するかもしれませんが、米国の基本方針の転換は後述の理由で変わらないと言われます。そこでアジア外交の主要プレイヤーである日本も傍観者、いわゆる“戦略的あいまい策”(ストラテジック・アンビギュイテイ)でなく、米中どちらに就くのか踏み絵を踏まされる状態になってきました。さらには米中対立打開の道と、その向こうにどの様な世界を描くか、福音派の立場から考えます。

“米中対立の向うに(第1回)−亀井俊博−” の続きを読む

城の維持管理 −久保田典彦−

※写真:芥川城跡説明板より

『キリシタン史からのメッセージ』

 高槻・Ucon:第34回 

 

 

━ 久保田 Ucon 典彦 ━

阿武山福音自由教会 教会員
「髙山右近研究室・久保田」主宰

城の維持管理

━ 久保田 Ucon 典彦 

● わが町 ・ 高槻にも、城跡が遺(のこ)されてきているものとして、

「 高槻城 」 と 「 芥川城 」 が ありますが、

お城 というと、とかく、天守などの建物や 土塁 ・ 石垣 ・ 堀 が 関心の中心に なりますが、築城された後の 維持管理が、実は、なかなか 大変だったようですョ。

● 城には、配備される 軍勢 ・ 城兵が、有事でなくても、何十人規模で 常駐することになります。
彼らを いっさい、理由もなしに、城外に出してはいけませんし、何か用事があって 城外へ派遣する場合は、特別に、城主が出す手形を 門番の兵に見せて、外出することになります。
臨時的な ・ その場しのぎの城でなく、ある程度の期間 使おうとする城の場合、維持管理が出来ていないと 意味がありません。

“城の維持管理 −久保田典彦−” の続きを読む

「分断」を前提とした「融和」ではなく、「柔和」・「協和」な生き方を −井草晋一−

 

井草晋一
SALTY 論説委員
ピヨ バイブル ミニストリーズ 代表
日本メノナイトブレザレン教団
武庫川キリスト教会  協力牧師

「分断」を前提とした「融和」ではなく、「柔和」・「協和」な生き方を

〜「分断」の表現・指摘は、民主主義を破壊する!〜

 ●明確な主張は、分断を煽ることなのか?
 一昨日(11/8)、ジョー・バイデン候補が主要な激戦区でドナルド・トランプ大統領を僅差で破り、次期のアメリカ大統領として選出された(当選確実)との報道があり、現在、政権移行に向けての準備を加速しているとのことです。
 今回のアメリカ大統領選挙でも感じましたが、勢力が拮抗した候補者の主張や支援者の動向、また、明確に見解が相違する優劣や判断が難しい課題に対する「明確な見解」を主張することが「分断に繋がる」「分断を煽っている」との欧米、また、日本のメディアの指摘や報道姿勢があります。
僅差の開票動向を指摘する中で、同様な見解を述べる人々もありました。
 選挙結果で一票でも多い方が勝利し、該当する立場(大統領、首相、また、議員、社会組織の長、など)としてそのの職責を担うことは、民主主義の基本です。

 しかし、 「分断」=<悪> 「融和』=<善> のような二元論的な考え方の行き着く先は、民主主義の破壊や、全体主義、強権的な国家運営の出現や組織運営の逸脱・歪曲につながると危機感も覚えました。

“「分断」を前提とした「融和」ではなく、「柔和」・「協和」な生き方を −井草晋一−” の続きを読む

今世紀の惨劇=「神なき道徳相対主義」−明石清正−

画像:2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降2011年までにイスラム過激派の攻撃を受けた国(ウィキペディア Angelo De La Paz – 投稿者自身による作品

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

中東諸国では、トランプ?バイデン?

 米国の大統領選が投票集計の渦中にあります。米国内のみならず、超大国であるため世界の国々が固唾を飲んで、その結果に注意を寄せています。中東諸国も同じです。私はイスラエルを注視していますが、そこはトランプ支持者が多いです。アラブ諸国はと言いますと、大半がトランプ支持です。イランとカタールでは、バイデン支持になっています。

 ここに如実と、中東の勢力関係が明らかになっています。イランが地域覇権を目指し、テロをアラブ諸国に輸出しています。カタールも同じです。ムスリム同胞団を庇護している国であり、ハマスはムスリム同胞団から出た組織であり、ムスリム同胞団は、世界のイスラム化を目指している組織です。アラブ諸国は、対イラン、対ムスリム同胞団と戦う最前線におり、それゆえ同じ敵と戦っているイスラエルと協調してきているという構図になっています。(参考記事

“今世紀の惨劇=「神なき道徳相対主義」−明石清正−” の続きを読む