新型コロナウイルス感染拡大と教会(3)−大橋秀夫−

・写真:雪の中のフキノトウ

大橋秀夫牧師の『新型コロナウィルス感染拡大と教会』の<第3回・最終回>です。
世界各国の危機的な状況の中で、世界のニュー・ノーマルと教会のニュー・ノーマルについて論述され、これからの教会の歩むべき道と新たな可能性を指し示しておられます。
皆様、ぜひ、ご一読ください。

・第2回 より  <—– クリック!

● 3回の連載:<第3回・最終回>

 

 

大橋秀夫
「日本教会成長研究所」
(現、JCGIネットワーク)
コメンテイーター、理事、全国講師
日本福音自由教会
クライストコミュニティ教会  顧問牧師

 

3,これからの教会

② 世界のニュー・ノーマルは「共生」である。

 新型コロナウイルスの拡大に伴って、いろいろの言葉が使われるようになった。その中の一つにニュー・ノーマルと言う言葉がある。これは12~3年前の大景気後退(リーマンショックを含む)を受けた金融界が、その後の在り方について使った言葉だったが、コロナ禍の中とその後の在り方を探る言葉として復活してきた。

 新型コロナウイルスの発生直前の世界を振り返ると、「分断」と言う言葉がどこででも使われていたように思う。事実、世界は対立と分裂を繰り返していた。しかし、ウイルスは、人間のどんな思惑や主義主張にかかわらずに襲ってくる。すでに世界のトップリーダーたちが感染している。

 まず、彼らこそが目を覚まさなければならない。これまでのような「分断」ではなく「共生」の道を探して、知恵と力と資力を注がなければこの世界の終わりは早まりこそすれ遅れることはないだろう。

③ 教会の原点は「互いに愛し合う」こと

 教会は、初めの愛に立ち返らなければならない。ヨハネの黙示録にエペソの教会について警告されたこのみ言葉は、いまこそ世界の教会にとっての警告ではないだろうか。ある人々は、このみことばを個人的で内的な心の状態として受け止める。「はじめ」をキリストを知った時のことと理解するからである。しかしそれは、み言葉の経緯からすれば間違いである。
エペソの教会に宛てた手紙で使徒は、彼らを「愛に根ざし、愛に基礎をおいているあなたがた」(3章17節)と言っている。その愛に立ち返るようにと勧告しているのだ。「都市生活者」になってしまったキリスト者たち、あるいは教会は、愛の宣伝者ではなく実践者にならなくてはならない。教会は、「共生」する世界のけん引者として生まれ変わらなければならない。

 とは言え私は常々思うのだが、世界人類を愛することは容易なことだが、隣人を愛することは難しいことだ。それでも私たちの主は、「世界」をよりも私たちの「隣人」を愛の対象とされたことを忘れてはならない。

④ 教会のニュー・ノーマル

 教会では、現在インターネット礼拝がニュー・ノーマルである。外出時のマスク着用、ソーシャル・デスタンス、それにテレワークにインターネットによる会議などもすでにニュー・ノーマルである。しかし、それはどれを取ってみても物理的な人間の行動でしかない。私は、教会とキリスト者にとってのニュー・ノーマルが求められていると思う。その基本は「互いに愛し合う」あるいは、「共に生きる」と言う生活であると思う。

 どのようにしてこれを教会のニュー・ノーマルとすることができるか。それが今まさに私たちに問われている。ビフォアー・コロナを求めるのではなく、アフター・コロナ、いやウイズ・コロナとして「互いに愛し合う:共生」の信仰生活共同体は、どのようにして形成できるかである。

 その答えを私が持っているわけではない。ただ私が常々取り組んでいることは、使徒の働き2章43節~47節を徹底的に調べ、実践することが回答に近づく道であると思う。新型コロナ禍が拡散したときに、私たちの教会では、信徒たちの経済的支援のために日頃から用意している「愛の献金の融資制度」を利用してくださいと信徒たちへ呼びかけた。

 今の教会は、「都市生活者」型に偏向している。人よりも活動や奉仕をプログラム化することに比重が置かれ、信徒たちはプログラムに参加することで満足するように作られている。新型コロナウイルスは、そんな教会を容赦なく打ってきたと思っている。もしも私たちの教会が、あの初代教会のようであったならば、一人一人の生き方として「互いに愛し合う:共生」の生活を取り戻すことこそが出来ると信じている。

<第1回>

<第2回>

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参考文献

 

・アルベール・カミュ著
「ペスト」(新潮社)

・フレデリック・F・ジャートライト著
「歴史を変えた病」(法政大学出版局)

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*・写真:雪の中のフキノトウ
・撮影場所:能勢川バイブルキャンプ(川西市)
・撮影: Shinichi Igusa      ・2009-1/26