田口 望
大東キリストチャペル 教役者
大阪聖書学院 常勤講師
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY- 論説委員
この冊子の中に隠れた忌むべき「ガラテヤ主義」的思考
むしろ、キリスト者であるからこそ、福音主義者であるならなおのこと、この冊子の内容にこそ全力で怒るべきです。キリスト者であることに福音を信じる以外に条件をつけるな!と
ただ、同時にこうも言っておきましょう。いつの日か、日本のキリスト教界で天皇制を支持することが当然視され、「日本人キリスト者たるもの、天皇制を支持しなければならない。」といって、天皇制に反対する人が、キリストの福音から遠ざけられるようなことがあれば、それもまた形を変えたガラテヤ主義ですから私はそれに対しても反対します。
※もし、このエッセーを読んでいるクリスチャンじゃない人へ、キリストは自民党支持者でも、国民民主党支持者でも、社民党支持者、無党派であってもあなたを受け入れて下さいますからね。
十二弟子も政治的見解は一致しなかったはず。
イエス様の弟子(12使徒)の中にもローマ皇帝の権威を認めずユダヤの独立を願った「熱心党員シモン」という人がいました。今風に言えば、反ローマの急先鋒のテロリストです。かと思えば、「徴税人マタイ」という人もいました。税務署の職員といえば聞こえはいいでしょうが、実態としては、ローマ帝国の権勢を笠に着て、同胞からみかじめ料を奪い取る、ヤ○ザのような人でした。まさに「ローマ帝国の犬」です。こんな2人の弟子がもし「ローマ帝国についてどう考えるか?」なんていう政治的なテーマを出されたら、一致できるはずもありません。
イエス・キリストは「神の国」という概念こそ提示されましたが、政治的にどちら側につくということもなさいませんでした。それがイエス様の牧会のスタイルでもありました。しかし、このJEAが出したこの冊子がいうところは、多神教徒のローマ皇帝に反対したシモンは良いクリスチャン。ローマ皇帝と妥協した徴税人マタイは二流のクリスチャンだというに等しい事がこの冊子には書かれています。
だからこそ、わたしも、ここまで怒っているのです。私だって、できれば空気を読んでJEAのお偉方の牧師さん達と仲良くしたいですよ。しかし、キリスト者の交わりの中にガラテヤ主義をもちこまれ、イエス様の弟子訓練のスタイルにまでケチをつけられるようなことをされてまで、そこまでされて怒りを押し殺して日本の狭いキリスト教界を世渡り上手でいたいとは思いません。そんな生き方をしたら、それこそ私はイエス様に申しわけがたたないと考えます。
※次項から冊子の具体的問題点について触れていきます。