日本民族「性悪説」の檻から出よ −西岡 力−

写真:日本国憲法(国立公文書館デジタルアーカイブ)

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授

日本民族「性悪説」の檻から出よ 

 わが国が主権を回復して70年になる。ところがロシアの侵略戦争を前にしても憲法を改正して国軍を持つという主権国家なら当然なすべきことを未(いま)だにできないでいる。その根本的理由は日本民族「性悪説」の檻(おり)に閉じ込められ、精神における主権回復ができていないことだと、私は考えている。

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拉致問題・慰安婦問題、今後どのように向き合うべきか ~ 明石清正 ~

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 ユニークな起業家たちが集まって、お互いの熱い思いを語る「ビズテリア・クラブ」という集まりがあります。私、明石清正は、毎月、「激動の世界情勢を聖書から読み解く」という勉強会を担当させていただいています。

 ソルティーの主筆である西岡力先生にも、かつてビズテリアでお話ししていただいたことがありました。昨年11月「わが体験的コリア論」という新著を出されて、ソルティーでも私が書評を書かせていただきましたが、それを見た、ビズテリアの代表、勝山牧生さんが、「ビズテリアの共創トークで、出演していただけませんか」とのご依頼を受けました。

 ところでビズテリアには、笠ひろふみ議員が関わっておられます。笠先生は、長年、拉致議連で積極的に関わっておられ、西岡先生ともよく知り合っている仲です。そこで笠先生にもご出演をお願いし、今回のトークが実現しました。

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キリスト者の多様性を失わせる「牧師・教会」としての主張 ー 臼井猛 ー

写真:「キリスト者から見る〈天皇の代替わり〉」教会と政治フォーラム発行

臼井猛
SALTY論説委員

 以下は、東京基督教大学理事長の朝岡勝牧師による、「2・11平和の集い」における、オンラインでのお話です。(39:30辺りから)
https://youtu.be/zSwmPdpHvX0?t=2055

 クリスチャン新聞にも記事になりました。

祖父の神社参拝と検挙が当事者性の核にある「2・11平和の集い」で朝岡氏

 様々なお働きに敬意を持っています。それと、ここでお語りになっていることは是々非々で、私の考えを述べさせていただきます。

 やはり仰っていることの起点が、日本がかの戦争で戦っている、しかも後期、終戦直前のことを、今の時代にもそのまま残っているという視点で語られています。もちろん、あの時の状況は大変だったので、それを反省して、歴史的に検証していくという試みは、絶えず必要だと思います。

 しかし、日本の社会で、今、起こっているあらゆることを、あたかも、当時の天皇主義の復古であるかのように色づけてしまうことはいかがなものなのでしょうか?例えば、朝岡先生は、佐渡金山の歴史戦というものも、天皇主義の復古として取り上げています。これは、ソルティーの主筆である西岡力教授も、最前線で取り組んでいるわけですが、歴史における学説を検証し、また、韓国の民族主義における対日の外交戦という側面も強い動きです。それを、どうして一括りにして話してしまうのであろうか?と思います。 “キリスト者の多様性を失わせる「牧師・教会」としての主張 ー 臼井猛 ー” の続きを読む

歴史的事実に基づいて反論せよ −西岡力−

写真:史跡佐渡金山(Wikipedia より)
(Photo by Aney, 2005-08-27)
多くの設備が操業当時の姿のまま残されている

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授

佐渡金山の世界遺産登録

 昨年12月28日、文化庁の文化審議会は「佐渡島の金山」(新潟県)を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産登録推薦候補に選定した。ところが政府が今回の推薦を見送る方向で調整しているという報道が出ている。
 佐渡金山が推薦候補に選定されるや韓国外務省は「強制労働被害の現場である佐渡鉱山を世界遺産として、登録を目指すことに対して非常に嘆かわしく、これを直ちに撤回することを求める」とコメントを発表した。韓国マスコミも「朝鮮人強制労働の現場を推薦するな」との報道を続けている。
 政府はこのような圧力をはね返し、粛々と推薦手続きを進めるべきだ。そして官民が協力して歴史的事実に基づいた反論を行わなければならない。慰安婦や戦時労働者についてきちんとした反論をせず中途半端な対応をしてきた結果、問題はこじれにこじれた。そのような轍(てつ)をもう踏んではならない。歴史的事実に踏み込んだ国際広報こそが求められている。

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「わが体験的コリア論」~西岡力先生から信仰を学ぶ~ −明石清正~

 

明石清正
SALTY論説委員
カルバリーチャペル・ロゴス東京 牧師
ロゴス・ミニストリー 代表

 正月に、本書を完読しました。

「わが体験的コリア論 ―― 覚悟と家族愛がウソを暴く」(西岡力著)

 拉致被害者を救出する「救う会」の会長で、朝鮮半島の研究者である西岡力先生による著書です。実は、ご本人から贈呈いただきました。日本キリスト者オピニオンサイト-SALTY-の仲間です。西岡先生が主筆で、私は論説委員の末席を汚しています。

論文の主張が、日本国を動かした

 本の内容は、これまで西岡先生が取り組んでこられた主に二つの事が、体験的に書かれています。一つは慰安婦問題、もう一つは拉致問題です。西岡先生のライフワークの二本柱です。

 この二つの領域において、彼の働きは、日本国そのものを動かしたと言っても全然言い過ぎではありません。慰安婦問題においては、文科省が、21年9月、教科書の記述について「従軍慰安婦」ではなく単に「慰安婦」とするのが適切であるとしました。拉致被害者救出運動については、拉致そのものがタブー視されている状況から、金正日が拉致を認め、日本政府が拉致問題対策本部を設置し、米国が核問題で北朝鮮に対する圧力外交をするにあたって、拉致問題を取り入れて交渉するほどにまでなっています。

とても小さな事でも真実を見続ける

 しかし、初めの時は、非常に小さなところから始まっています。真実、事実をもって嘘を暴き、それが次第に大きなうねりを持っていって、国全体まで動かしていく様子が克明に描かれています。それはあたかも、山に雨が降って、それが小さな水の流れとなり、川となって、下流は大きな河川となっているようなうねりです。そこで大事なのは、どんなに小さなことであっても、真実と正義に基づいて動くという初心から、決して離れないことです。そして勇気を持っています。恐れとの戦いに一つ一つ取り組み、戦い抜いています。

 例えば、西岡先生が、三十年前、拉致事件を論文として発表した初めての人ですが、その時のエピソードを書いています。 “「わが体験的コリア論」~西岡力先生から信仰を学ぶ~ −明石清正~” の続きを読む

家族会前代表・飯塚繁雄さん逝去に思う −西岡力−

<写真> 中央:家族会の飯塚繁雄代表と安倍首相
(2019年2月19日 首相官邸にて撮影)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授

家族会前代表・飯塚繁雄さん逝去に思う

西岡力 / 2021.12.20 (月)

 12月18日、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)前代表の飯塚繁雄さんが亡くなった。83歳だった。飯塚さんは拉致被害者田口八重子さんの長兄だ。初代家族会代表の横田滋さんの後を継いで2008年から14年間、家族会代表を勤めた。横田さんの代表在任期間は10年8カ月だったから、それよりも長い年月、拉致被害者を取り戻すための国民運動の先頭に立っていたことになる。

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『わが体験的コリヤ論』(西岡力著)の出版 −後藤献児朗−

 

 

 

 

 

日本キリスト者オピニオンサイト-SALTY-代表
有限会社サーブ介護センター 代表取締役

2021年11月8日

日本人であれば誰もが関心を持つ「北朝鮮拉致問題」に、クリスチャンとして人生をかけ取り組んで来られた西岡力先生が、信仰を前面に出した『わが体験的コリア論』を出版されました。

「拉致なんてない」と政治家自らが拉致を否定していた時代がありました。また、その言葉に同調し、キリスト教界もが「拉致」を否定していた時代があります。そんな頃から活動を続けて来られた西岡先生の孤高の戦いが、今に至るまで続いてきました。そして今も尚、拉致被害者の方々の完全奪還を目指し、全国を飛び回っておられる西岡先生のパワーはどこから出ているのでしょうか?

そう! 紛れもなく信仰から出ているのです。拉致された方々やそのご家族に対する「愛」ゆえの活動です。朝鮮半島情勢を誰よりもよく知る西岡先生の本です。楽しみにしておりました!!

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大学の講義によって刑事事件の犯人とされた柳錫春教授事件を憂慮する −西岡力−

写真:柳錫春教授(YouTubeから)

 

 

西岡力

日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授

*この記事は、著者の依頼により、Japan Forward より転載しました。

「大学の講義によって刑事事件の犯人とされた柳錫春教授事件を憂慮する」

2021年9月19日

「韓国は重要な隣国だが、価値観を共有しているとは言えない」。これが、現在の日本政府の隣国に対する評価だ。

2014年までは価値観の共有を認めていた。当時の安倍晋三首相は、「韓国は、基本的な価値や利益を共有する、最も重要な隣国」と演説している。だが、その後、朴槿恵大統領(当時)に関する記事をめぐって産経新聞のソウル支局長が起訴されるという事件が発生し、安倍首相は、2015年の施政方針演説で「韓国は、最も重要な隣国です」として「価値観共有」という評価を取り下げた。

その後、2018年10月に韓国最高裁が1965年の国交正常化の際に両国が解決したと合意した日本統治時代の清算について、日本の統治が当初から不法なものだったから賠償責任が残っているという国際法違反の判決を下す等の出来事があり、日本政府は継続して韓国に対して、「価値観を共有する」という評価をしていない。

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米国によるアフガン民主化失敗の文明論的意味 −西岡力−

・写真:C-2 輸送機(8/23 アフガンに向けて出発)

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授

米国によるアフガン民主化失敗の文明論的意味

 「我々はアフガンに1兆ドル以上を使って彼らが必要とする全ての道具を提供したが、未来のために戦うという意志まで提供することはできなかった。アフガン軍が自ら戦おうとしない戦争で米軍が戦うこともできず、戦ってもいけない」
バイデン米大統領が8月16日にホワイトハウスで演説した内容だ。

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最近の韓国のアンチ反日の動きについて(1)−西岡力−

 

 

西岡力
日本キリスト者オピニオンサイト -SALTY-  主筆

歴史認識問題研究会会長・モラロジー研究所教授・麗澤大学客員教授

最近の韓国のアンチ反日の動きについて(1)

*『 歴史認識問題研究 』 第8号 (2021年3月19日)より転載

はじめに

 二年前から、韓国人の対日観に革命的変化が静かに起きている。その一環として、令和2年(2020)12月、拙著『でっちあげの徴用工問題』が韓国語で全訳され、書店に並んだ。訳者は『反日種族主義』の共著者の1人である李宇衍博士、韓国語版のタイトルは『ねつ造された徴用工のいない徴用工問題』だ。出版社は、慰安婦問題について事実に基づく発信を続けている「メデイア・ウォッチ」(黃意元代表)だ。

 同書出版直後、いくつかの保守ユーチューブテレビが好意的に取り上げた。チャンネル登録67万人のペンアンドマイクTVもその一つだ。ペンアンドマイクTVでは1月12日に、過去『月刊朝鮮』の特ダネ記者として有名であり、『反日種族主義』の共著者であるジャーナリスト金容三氏が、拙著の翻訳者李宇衍氏と約1時間、本を紹介する対談番組を放映した。その中でつぎのようなやりとりがあった。

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